2年前か3年前か、たまたま通ったところを気に入ってその場所を探してドライブしてきた。

その場所は、国道から側道を入り右に折れ、駅前の高架を潜り左にカーブするバス道路。

カーブの付近できれいな白い家が並び、そして線路を渡る。

街並外れた通りは桜がきれいな並木道で右側に小川と小学校と歩道、

右手に一瞬だけ開かれた山野が見え、

その奥には小高い山を背にした赤い屋根の民家と小さな小屋がその左手にあったはず。

バス停が近くにありカーブする山道に来たかのような錯覚が・・・という記憶だけである。

これを頼りに今日ある場所へいってきた。


記憶を元に地図で下調べをしたときは、小高い山と目立つ建物といえば古寺か神社・・・

そう考えていた。

民家だと思うが、いまどき、あそこのような場所にそんなものがあるのだろうか・・・

いや、でも俺は見たんだ。確かに・・・


その国道を通り、最初に行った先は、Tという駅の近く。

どう考えてもこの交差点ではないと判断しその先のNという駅の近くに行った。

駅前のトンネルは初めてなのでここも違うと瞬時に思った。

しかし以前から航空写真で見ていた「特徴に一致する場所」と思い込んでいたので行ってみたかった。

車を進めているうちに絶対に違うと思ってきたがその場所へ行くと、やはり違った。

しかし、ここは何かで通った記憶がある。

その記憶を無視し、必ず違う場所に存在すると信じS駅付近を目指そうと車の向きを変えた。

カーナビのディスプレイはさっきとは逆を向いたが同じような風景でも迷わず上を目指して矢印を点滅させていた。

山際の道を進むといくつか気になる交差点があったが、

どうかんがえてもこの風景ではないと思い、そのN駅とT駅からの山の手付近を通り過ぎていった。

違う。知らない、通ったことはあると思うけど今日の目的の場所ではない。

だけど、なんかこんな感じの雰囲気ではある。

決定的な記憶が蘇らないまま桜の咲く山際を思い出していた。

いくつかの交差点を過ぎるとOという駅の電車工区が現れ、次の交差点をS駅を目指し通過し、

鳥居や卍の地図記号に反応しながら小高い山の中腹の赤い屋根の古い民家を探した。


カーナビのディスプレイに国道と線路の高架と高速道路、

そして駅前から少し行ったところからのカーブの連続と線路を探しながらゆっくり進んでいった。

左側はいまだ山際で右手は田畑と丘の上には駅周辺にある町並みと住宅だった。

山際を見ながら走っていると若い二人組みのバイクを乗った男性が抜いていった。

ビックスクーターにまたがった二人は自分好みに変えたマフラーの音と共に見えなくなっていった。


ある交差点の信号を過ぎたとき右側の田畑が急に山になって左側の山も急に迫ってきた。

山際に立つ灰色の4階建てのハイツが目を引き右側には一軒の住宅が見え、

その道路の正面には左側に商業施設が見えてきた。

カーナビを見るとOという町名。

さんざん地図で見てきた場所で指や目で通ってきた場所であり目的の場所ではなく通り道として通過していた場所だった。


ふと左手を見た地元の人らしき人が歩いている。

後ろから車が来ていたので「この辺は桜の並木道はありますか?」と聞きたかったが断念した。

少し進んで左手を見ると、見覚えのある風景が自分の記憶と逆方向に、しかも少し違うかのように写った。

ああ、この風景・・・?でもどうだろう・・・中腹にあったと思った民家が見えない・・・。違うのか・・・

信じられなかった。

見覚えのある小高い山と、山の上までを見渡した開けた感じがそっくりに感じた。

この風景、間違いない。車がつながっているのでUターンをあきらめ、

次のAという駅付近のS公園の周りの交差点を3度右折し元の道へ戻った。

気持ちが逸った。


回想する・・・

気持ちよく走る車、テレビの音、花粉で悩んでいた春先・・・

今年の花粉は多いらしく今年から花粉症になる人も多いという。

しかしどうだろう、この見事な桜並木は・・・

そして右手に開けた山野の風景。

その中腹にぽつんと一軒の赤い屋根の民家。

中腹の赤い屋根の民家まではのどかな畑や背の低い垣根と土の色。

それとこれから芽が出て葉がついていくであろう広葉樹の木々の色と見事な薄ピンク色の桜が山を潤していた。

うっとうしい気分を一瞬にこんなところがあるなんて、と感動した心の奥の記憶。


少しドキドキしながら後続車を警戒し車を停めハザードを点灯させた。

車を停めてから思った。

間違いない。

自分の記憶の道順とは違うけど、探していた場所は見つかった。

地図を見ても航空写真を検索しても何も明確にはわからなかったところを、

記憶の特徴だけを信じ、きっとそこだろう!と気になって気になって行ってみて、

やっぱ航空写真を見て違うって思ってたもんな・・・

とあきらめていたところを必ず確認だけはと思って、違うってわかってたけど行ってみた。

その帰りにたまたま通ったところで気がついた。

すぐにkaoruさんのある力のことを思い出してしまったくらい自分にもこういうことよくあるんだよな・・・

とつぶやきながら・・・ 不思議というか、なんというか・・・

嬉しかったね。


今度は忘れぬようにと、バス停を入れた全体写真と手帳にメモをして、そして再度写真を撮っておいた。

その時、近所に住んでいるであろう年配の方がいらっしゃったので声をかけこの辺りのことを聞いてみた。

特別なことを期待はしてないが、

この辺に桜並木があること、山の中腹だけでなくこの辺は桜が多く咲くこと、

桜の公園の名前とバス停の名前の由来だけは聞いて覚えておき、そしてメモをした。

お礼を言い、桜の季節に再度また来ようと誓い車へ戻った。

車に戻り、カーナビにメモリの旗を打ちその場を離れようとした時、カーナビの卍のマークに気がついた。

それはその山の今いる場所の反対側にあるお寺だった。

記念に御参りしてこよう。そう思って山際をわざと走り目的のお寺へ向かった。


5分後、そのお寺へ到着した。

誰もいないお寺でお賽銭をあげ手を合わせ帰ろうと思った。

到着して、お寺を見上げる。

小さいお寺(正式名称:高野山真言宗瑠璃山医王寺薬師堂)。

そこには、お寺のお座敷でお祭りごとの準備に来られていた地元の人たちが集まっていた。

帰ろうかな・・・普通の人は帰るのだろうな。

ここで帰る僕ではない。

まず帽子を取り、方々に対し頭を下げ、再度何度か方々へ会釈をしながら賽銭箱の前に進む。

お賽銭をあげ、手を合わせて帰ろうと思った。

しかし、地元の方がすぐに近寄ってきて座敷に上がるようにすすめる。

自分がなぜここにきたかということを伝えても、中からは、上がってお茶でも飲んでいきなさいと長老がおしゃる。

「このような格好で失礼です。」と伝えても、車なら酒はまずいだろうからお茶くらいいいじゃないかという。

そして一人のご老人が、上がらぬならこれを持って行けとお土産を手渡すではないか。

大祭は●●日で、本当は神主さんが護摩を焚いて拝んでくれる御札だが、これを持って行きなさい。

そしてこれは縁起物の団子だからお茶と一緒に持っていきなさい。という。

いいから上がってお茶でも飲んでいきなさいとすすめられる。

遠慮しながらも、目上の方、しかもご老人の方のすすめを断るのは失礼にあたる。

帽子を取り迷わず奥の座敷へ上がらせて頂くことに。

すぐさま僕に近寄り、中を案内してくれるご老人は丁寧にいろいろと教えてくれた。

奥に見える黄金の像には目を引いた。

ここは眼病に良いとされているのですよ。

そうですか・・・。

そして奥いある像を説明してくれた。

中央に金色に輝く薬師三尊(薬師如来立像、脇侍の日光・月光菩薩立像)、左右に十二神将像が安置されていた。

手を合わせた。

「ここの地元の方々のご健康をお祈りいたします。」


そして、どうしてここへ来たのか?など、いろいろな質問攻めにあい、つかの間のご老人たちとの時間を過ごした。

賽銭箱へ小銭を入れて無い自分は用意してきた小銭を入れて再度手を合わせ、

皆さんのご健康を・・・と祈り、再度頭を下げ、ご馳走になります。ありがとうございました。

と頭を下げ、小さな境内を見渡しながら歩き、車を停めた境内の前の空き地へ戻り、再度一礼して車へ乗り込んだ。


車を進めながら先ほどの山際の道を左折しA駅へ向かい住宅ち商業地を抜けっして国道へ出た。


短く小さな旅だったなあ・・・。


今日はいちいち細かいところまで書いてみたが、フォレデリックフォーサイスの本の影響かな?

違うだろう!

お前の駄作の「本当にあった怖い話シリーズ」だろう!!って言われそうだな。

ハハハ・・・。

でも良いんだ。

今日は、本当に思いつきでね。

車で出掛けよう!ってあの場所を探しに行こう!って思い、

車に乗る10分前までは、サマーベッドで寝ながら読書していたんだ。

少しはその影響もあるかもね。

「ジャッカルの日」がなかなか進まなくてやっと250ページを超えてね。

それが凄いんだ。

事細かに本当に書いてあってさ。

今日のヨコタノテは、こんな感じよ。

では、また明日!

ちょっとだけ疲れたね。

でも、満足よ。