Jという国のKという町で起きたお話。
駅の近くのカーディーラー前に置いた自転車を取りに行く。
そこまでは約2kmある。
歩いて行くのはちょっと面倒臭いって思っていた。
途中には真っ暗な公園の横を通り警察官の多い通りを通る。
交通量も多く交通事故も頻繁に起きている。
最近は特に多い。
事故も多いが、何か事件でもあるのだろうか?
今日はやけに警察官が多いな・・・
壁に書かれた不思議な絵が薄暗く浮びあがる。
絵がこっちを見ている。
正直怖いと思ったことは今までに1度も無かったが・・・
そこである老人が絵を書いている。
こんな時間に?などと気になったが通り過ぎて行った。
なんか、こわい・・・
正直、なんで歩いて自転車を取りに行くんだろうと思っていた。
車で行って乗せてくれば良いかなあとも考えた。
しかし、車のトランクに入るか分からないし入ったとしても車に傷はつけたくないし・・・
だいたいそんなことで変な事故でもあったら大変だからな・・・
そんなことを考えながら通りを抜けた。
歩いて行けば20分くらいはかかるところ。
途中、寒いので羽織ったPジャケットの右のポケットに入れた携帯のメロディーが流れた?と思って携帯を触ろうと手を入れる。
すると震えてない。
?
その音が後方だったんだと気付いたのは何気なく振り向いた時だった。
メロディーは僕の着信音と同じだった。
その人は顔の色が白く黒い髪の長い女性だった。
その人が立ち止まるが、僕は後ろを1度振り向いただけで前を向いて歩く。
髪の黒いロシア人?って思うような顔立ちだったなあ・・・
すると前から歩いてきた人が同じ顔で、かなり焦った。
とっさにさっきの人?と振り帰ると、まったく同じ顔の2人。
向かって来る同じ顔の女性。
隣を通り過ぎるとき目が合ってしまった。
「しまった・・・」声にならない声がでてしまったようだった。
すると何もなかったようにその女性が通り過ぎる。
このとき、そう言えば地元で有名な双子らしいが最近見なかったなあと思った・・・
そのまま振りかえらないようにして歩いたが、
無意識に、たまらなくなって走ってしまった。
逃げるように走っていたのかもしれない。
逃げている?どうして?
なんで逃げるんだ?
オレなんで逃げているんだ?
しばらくたって同じ着信音が鳴った。
マジカヨー!
「おわーっ。」
声が出てしまった。
絶対に振りかえれない。
無意識に逃げてしまったのに気がついたのはあとでのこと。
しばらく走ると着信音が聞こえなくなった。
息を切らし、呼吸が乱れている。
喉がカラカラ。
水が飲みたい・・・
後方が気になる。
見てはいけない気がするが気になる。
二人がいたらどうしよう・・・
いつのまにかぴたっとその場に止まってしまった。
見なくて良い。
後ろは見なくて良い。
後ろだけは見なくて良い。
どんなに気になっても振り向かなくても良い。
そう考えると気になって気になって・・・
ゆっくりと振りかえってしまった。
二人は・・・ い・・・な・・・い。
双子はいない。
誰もいない!
ホッとして前を向く。
(自分の自転車が見える。そうだった。自転車を取りに行く途中だったということを思い出す。)
「良かった。そうだ、オレは自転車を取りに行くんだ。」
そう思った瞬間・・・
「自転車の鍵を忘れた!」
本当にあった怖い話Ⅱおわり