【日記】「死ぬのがこわくなくなる話」の感想。 | ヨコオタロウの日記
ヨコオタロウの日記-51D29K8M9PL._SS500_.jpg


彼女は、消えたのだ。

/ 渡辺浩弐



小説家の渡辺浩弐氏が書いている「死ぬのがこわくなくなる話(以下しぬこわ)」を読み中。「しぬこわ」は Twitter 上で連載されているコラム(?)で、下記でログを読む事が出来ます。

死ぬのがこわくなくなる話
http://w-cat.sakura.ne.jp/rensai/kowakunakunaru.shtml

かなり長編なのでまとめると、

 ・死後の世界なんて無い。
 ・永遠の命を手に入れるにはどうすればいいのか?
 ・身体を残す方法とか、記憶を残す方法とか。
 ・利己的遺伝子の話とか。
 ・そうこうしているウチに、謎のHPと出会う。
 ・ページの名前は「SHINE」。
 ・アドレスはこちら↓アクセスは自己責任で。
  http://shineshineshineshine.web.fc2.com/
 ・「SHINE」は永遠の命を得られる会員制SNS。
 ・ただし入会金は1億円。
 ・渡辺氏は SHINE に捨てアドで偽装入会しようとする。
 ・入会拒否の返事。しかも本アドレスに。
 ・SHINE に拒絶の理由を聞く。
 ・SHINE の言った理由
  >「渡辺氏の貯金が1億無いので」
  >「生命保険で支払う方法もあるが、渡辺氏が癌なので」
 ・ここで渡辺氏が自身を癌だとカミングアウト。
 ・渡辺氏は会員へ向けて情報提供を呼びかける。

ここらへんまでがパート36までのまとめ。
間違いがあるかもしれない、というかあると思うので、気になる人はログを読む事をオススメします。



この連載は最初から気になっていました。

まず、「天国が無い」など他人の宗教観・死生観に触れそう事をバンバン書いて煽った事。こんな大風呂敷を広げて大丈夫か?と。

次に、永遠の命が得られる事を示唆している事も気になりました。永遠の命が得られるとは思えませんし、仮にその情報を氏が持っていたとしても公開出来ないでしょうから。

最後に……これが一番重要なんですが、連載を「フィクションです」と明言せずに始めた事。僕が知る限りこの話が作り話である事を渡辺氏はツィートしていない気がします、

「死ぬのがこわくなくなる」話は、話が事実であるという前提があるから面白いのであって、フィクションという事になると突然面白くなくなります。しかし、永遠の命はどう考えてもフィクションとしか思えません。

ではどこで嘘をついてるのか?どうやって収拾を付けるんだろう?……というのが、気になって読み続けていました。



まあ、それ以前に渡辺氏の小説が好きだった事が興味の最大の理由ですけど。



そこから先、ログのパート36以降には続きがあります。
それが今日(9/19)発生しました。

簡単に概略を書きます。

 ・氏の家に荷物が届く。
 ・ここから先は実況(風)に書かれている。
 ・荷物の中はピンクの携帯電話。
 ・携帯電話に出ると女の声。
 ・女は SHINE の会員だと名乗る。
 ・女は氏を監視していると言う。
 ・窓の外のビルを見ると裸の女が立っている。
 ・渡辺氏が写真を撮ってアップする、と言う。
 ・(ここで突然渡辺氏のツィートが消え始める)
 ・写真はアップされないまま。

このあたりの経緯は TypeIE 氏
http://twitter.com/#!/TypeIE
が非公式RTしています。開始は以下のツィートあたりから。
http://twitter.com/#!/TypeIE/status/115760261855576065

何せ渡辺氏がツィートしても片っ端から消えていくので追うのが大変。渡辺氏も非公式RTを推奨したので、読んでる人はリロードしまくるか「@kozysan」で検索して他の人のRTを待つしか無い状態に。Twitter を常に見ていないと読めないので、リアルタイムに読めていた人は100人も居ない気がします。

その後、女は謎めいて意味不明な台詞を繰り返した後、ビルの屋上からジャンプする。投身自殺に見えるが電話からは女の声が続いている。※その部分のログは発見出来なかった。(※追記:その後まとめログに追加されたようです)
その後、は以下のログを参照。

http://togetter.com/li/189967

 ・女からの電話は続く。
 ・死体を確認しに渡辺氏が外に向かう。
 ・途中で携帯の電池が切れそう、とツィート。

結局渡辺氏のツイッターのログは全て消えてしまう。
数時間後、渡辺氏は戻って来てツィートを再開。これ以降は削除されず。

 ・ビルの下には死体は無かった。
 ・管理人に聞いても特にトラブルは無かった。
  ※写真はアップされないまま。

ここまでが今日の流れです。



いずれどこかにまとめが出ると思いますが、ここまでで一旦自分の中で区切りがついたので、感想。

結局「フィクションかどうかは明示しないまま進行する」件に関しては渡辺氏は現実として提示したまま、読者の多くは(ツィートが消えたあたりから)フィクションとして捉えていました。

「なんだよ嘘かよ」というバッシングにならないのは、好意的な人間のみが読む Twitter の特性と「ネットのそういう仕掛けを判って当然だよね~こういうのを楽しめなきゃ」的な空気に飲まれたから……だと分析。

Twitter の仕掛けを使った演劇を見ているようで面白かったです。が、見ている人数も少なく(※)メリットが少ない割には、ログ削除や、氏自身が今後は狼少年になるリスクもあり、仕掛けとして本当に効果的なのかなあ?という印象です。(※こうやってブログとかに書かれて拡散される事を狙っているのかもしれませんが)

今後ですが「このままズルズルと真相は闇に」というパターンで終わりそうな予感。イベントとしては楽しめましたが、個人的にはどこかでハッキリと決着を付けてほしいなあ、というのが現状。



ちなみに途中で電話の女から「結婚がどうこう」って話が出てきて、お?このまま渡辺氏の現実の結婚報告につながるのか?虚構に現実世界の大ネタをかぶせるとか新しいな……とか思っていたんですが、ハズレました。



「死ぬのがこわくなくなる話」はまだ続いているので、興味のある人は渡辺氏の Twitter を読んでいただければ。

http://twitter.com/#!/kozysan


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□