愚者が賢者から学ぶことよりも、
賢者が愚者から学ぶことのほうが多い。
/ ミシェル・ド・モンテーニュ
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米光さんのところの記事
無人島問題に操られると
http://blog.lv99.com/?eid=871399
を読んでいて思い出した事。
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僕がまだ会社員だった頃。
会社命令で管理職研修みたいなモノに行かされた事がありました。「コーチング」やら「チームマネジメント」なんていう、よくわからない話を聞いたんですが、大変意義深いモノでした。いや、皮肉抜きで。
その中に以下の様な設問があった事を覚えています。
※うろ覚えなので正確ではないです。
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貴方はベビーカー販売会社の中堅社員です。
会社は業績下降気味なので起死回生の策として高級ベビーカー市場を狙う事になり、開発をしました。あなたは上司の黒川に販売チームを任されます。
チーム編成をする上で黒川から見せられたのは、5名の社員のプロフィールシート。そこには名前・年齢から本人のキャリアに対する嗜好などが書かれています。
あなたは黒川の命により5名の中から3名を選ばなくてはいけません。さて、誰を選びますか?
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こんな感じです。
設問には他にも会社の資産規模や市場の動向なんかのいろんなグラフが付属していました。
「それぞれの人のどういうところ見るの?チームを組む上で考えるべき事は何?」ってな質問です。
最初に書いておきますが、このタイプの設問の最終的な(研修の中での)結末は「正解なんかない。考える事が大事なんだ」っていう道徳の教科書みたいなボンヤリした話になります。
モヤモヤする事ウケアイ。
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僕の回答は以下のような感じでした。
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選べません。理由は以下の通りです。
プロフィートシートに書かれた情報だけではそれぞれの人間性や関係性など判らず、面接をしない現状で5名から3名を比較検討して選ぶ事は出来ません。
また「高級志向のベビーカー販売」という目標ですが、マーケティングデータの羅列がなされているばかりで、肝心のベビーカーの写真など画像資料が一切存在しませんでした。この書類と販売プランを作成した人物(上司の黒川氏)が商品特性を正確に把握しているかどうか疑問です。
これらの状況から類推するに、本プロジェクトにおいての最大の問題はおそらく黒川氏であり、よりプロデュース力に長けた上司を配置する事が最善の解決方法だと考えます。
上司の配置変更が不可能な場合は、大変な困難を伴う事が予想されますので、予算を増やす上申をし、販売チームの部下を3名ではなく5名に増員するようにします。
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まあこんな感じです。
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で、それに対する周囲の反応はこんな感じ↓
「ヨコオはもう本当にしょうがないなあ(笑)じゃ、真面目にやりましょうか」
完全に空気読めない子になりました。
確かに奇を衒ったところはあるんですが、僕の予想だと「みんなもっと色んな(奇抜な)可能性を探し出す」って流れになるかなーと思っていたので意外です。
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後から講師の人に聞いた話ですが、ベビーカーの設問で上司の黒川に対する問題提起をした人間は今までいなかったとか。「さすがゲームを作るひとは発想が違いますね~」みたいに苦笑いをしていた講師の人の顔を今でもおぼえています。
結局のところこうしたセミナーでは「みんなに望まれてる回答」ってのがあって、それに沿う事が善とされる訳です。
そういう時にちゃんと周囲に同化出来ないのは、やはりマネージメント力が欠如していると言わざるを得ないでしょう。
上司の能力を疑ったり空気を読めない人間は、マネージャには向かないのです。マネージャには、というか会社員に向かない。
よく考えれば僕も米光さんも会社員じゃないしな……
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ちなみに最初に書かれていた無人島問題のリンクはこちら。
悪いのは誰? - ある無人島漂流の物語
http://d.hatena.ne.jp/takerunba/20090116/p2
興味がある人はちょっと見てみるといいかもしれません。
僕の回答は以下の通りでした。
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「この問題で他人の何かを測ろうと思っている設問者の性格は安っぽい歪み方をしている。それと比べれば無人島の人はみんな善人だ」
それでは、また。
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