神が愛だと言うのなら、我々は神になるべきだ。
プラネテス / 幸村誠
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以前 Twitter でもチロっと書いたような書いてないようなそんなボンヤリしたキモチですが、「ディレクターとプロデューサーの定義」について。僕は
プロデューサー = 金を用意する(させる)
ディレクター = 製品を完成させる
という考えです。これが出来ないといくら他の事が出来てもこの職業を名乗れないと思います。利益を上げたり、面白いゲームを作ったり、というのはその後についてくるオマケみたいなものです。クソゲーでも完成すれば立派なプロデューサーとディレクター。
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「当たり前じゃないか」とか「何故そんなに志が低いのか?」と皆さん思われるかもしれませんが、実は市場に出ている製品の裏には10倍くらいの「発売出来なかった企画」が存在していて、そこには膨大な数の「ディレクターになれなかった誰か」や「プロデューサーになれなかった誰か」が居る訳です。
製品の「おもしろさ」や「利益」と違って、「金を用意して」「製品を完成させる」というのは大変地味なんですが、そこには莫大な労力がかかります。最初のアイデアは多くの人が持っていたりするんですが、その後のゴールにたどり着ける人は本当にごくわずかです。
なのでどんなに売れなかったクソゲーでも、それを世に送り出しただけで「プロデューサー」と「ディレクター」は存在できる、というのが僕の考え方です。
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「発売出来なかった企画」にも、思いついて口にしただけのものから、完成直前でペンディングになったモノまでイロイロあります。
居酒屋やブログで「あのゲームはダメだ」とか「この映画は面白い」とか言っている開発者を見たことがあります。僕は「居酒屋ディレクター」と呼んでいるんですが、やっぱりそういう人達の言葉にはリアリティがありません。
ミリタリーオタと本物の軍人が違うように、
童貞と非童貞が違うように、
居酒屋ディレクターとディレクターは全く異なるのです。
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たとえばゲーム作りに於いて「ゲームのおもしろさ」に対する作業は1%あるか無いかです。で、残りの99%は「雑用」になります。
「じゃあその1%に注力すればいいじゃないか」
と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ところがどっこい(シゴ)その99%の雑用をこなさない事には発売が出来ないんですよね。
発売までの過酷な道程をたとえるなら、フルマラソンをやっているようなもので、発売後は100mダッシュです。発売出来る状態にするだけで多くの製品は余力がなくなります。
なんとかようやく発売にこぎつけたけど、中身はボロボロ。なんでこんな事になったんだろう?……というゲームの裏事情は概ねそんな感じです。
ユーザーの皆さんの見ている100m競争は、44.1kmを走ってきてようやくスタートラインに立てた製品達なのです。
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ま、ユーザーさんの目線ではクソゲーは単なるクソゲーには違いないんですが。
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あと、漫画なんかだとサラリーマンが「辞めて責任を取る」という事を良く言います。しかし実際にディレクターをやってて思ったのは「辞めて責任取れる事」なんか殆ど無いというのが実感です。
じゃあ、どうやって問題を乗り切るのか?というと、
・他人の首を切ること。
・嘘をつくこと。
・好き勝手な仕事を「させない」こと。
という、常識人には苦痛に思える行為をする必要があると。これに耐えられない人は脱落していきます。
各業界で成功しているディレクターの人に良く言えば尖った人、悪く言えば自己中の人が多いのはその為です。そうでないと生き残っていけない……ということを、生き残っていない無職は思う訳です。
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漫画「プラネテス」でロックスミスというキャラクターが出てきました。彼は宇宙船の計画責任者なのですが、大事故を起こして多くの作業員を死に至らしめます。そこで彼が取った言動は、辞任でも何でもなく
「爆発した二号エンジンの残したデータの内容には満足してい
ます。次は失敗しません。ご期待下さい。」
という言葉でした。別のキャラクターが
「ああいう悪魔みたいな男はイイ仕事をする」
と言っていますが、全くもって同感です。
「何か」を完成させようとするときに、その「何か」よりも大事なモノがある人間はそこが弱点になります。全てを失ってもなお「何か」の為に奉仕するような歪んだ人間だけが到達出来る場所、というのは実際にあると思います。
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で、本日の日記はここからが本題。
ブランドデビューできるチャンス!「第2回 おしゃP GIRLSオーディション」開催
http://news.ameba.jp/20110606-185/
「おしゃP」というのは「おしゃれプロデューサー」の略だそうです。詳細はこちら↓でも読んでください。
「JJ」に異変あり! 総力をあげて打ち出す「おしゃP」とは一体?
http://www.cyzowoman.com/2010/06/post_2054.html
プロデューサーがオーディションで選ばれるってのもスゴイんですが、そのオーディションの入賞者の特典がまた輝いています。
> 上位10名に「おしゃP GIRLS」として誌面、テレビ番組、
> ブログで活躍できる権利が与えられるほか、反響によっ
> てはブランドプロデューサー、プレス、「おしゃP.com」
> をはじめとするサイト等、様々なジャンルで活躍できる
> チャンスも。
注目なのは、先に「誌面、テレビ番組、ブログで活躍できる権利」があって、その後に「反響によってはブランドプロデューサー」になれるという逆転状態。
プロデュースしなくてもプロデューサーになれる……なんという世界。
自分の考えていた男臭いプラネテス的な価値観はすでに崩壊して、新たな時代が到来していたようです。大体、表紙に書いてある「ガーリーボヘ」
http://news.ameba.jp/image/20110606-185/
って何ですかね?もう何も見えないよパトラッシュ。
……未来のおしゃD目指して頑張ります。
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