ゲームのシナリオライターになる方法(中編) | ヨコオタロウの日記
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壁にぶつかった人は、幸せだ。
壁までたどり着けない人が、大勢いるんだ。

/ 中谷彰宏



前回のあらすじ

「ゲーム業界のシナリオライター募集なんて審査が適当なんだから落ちてもあんまりガッカリしない方がいいんじゃないですかね?」

では続きを。



ゲームのシナリオを書いている人のパターンを分別すると、

 A・プランナーが兼任している。
 B・ゲームシナリオ専任の人。
 C・小説家の人。
 D・ノベル系の人。

って感じかと思います。
以下にそれぞれを軽くご紹介。



最初は「A・プランナーが兼任」のパターン。

これは結構多いです。
文章力が無い、というデメリットがあるんですが

 ・ゲームの構成をよく知ってる。
 ・実際に現場でトライアンドエラーが行える。

というメリットがあります。
ゲームはイベントの構成(2D立ち絵なのか?ドラクエ的キャラ絵なのか?遠距離の掛け合いなのか?リッチなムービーなのか?)によって、しゃべり方や記述すべき情報が変わります。たとえば「嬉しい」という気持ちを伝えるのに、リッチなムービーでは表情で伝える事が出来ますが、ドラクエ的なイベントでは「うふふ」というような台詞が必要になるわけです。

描写に過不足あるかどうかを調べるには、実際に組んでみないと判らないケースが多いので、現場に近いプランナーが書く事はそれなりにメリットがあります。

その反面、台詞や文章が見られたもんじゃない、という場合もありますけど。



次は「B・ゲームシナリオ専任」のパターン。

このパターンでお仕事をされている方も結構居ます。
仕事の流れとしては結構いろいろあって、

 ・プランナーが基本骨格を書いた後に、それをリライトする。
 ・大量の台詞がある場合に、台詞生成専門の仕事を行う。

後者の場合は募集かけたりしてる場合もあります。
大規模RPGのNPCの台詞や、ひたすらソーシャルゲームの台詞でバリエーションを作ったりするようなケースです。

いずれもゲームのストーリーやシステム骨格が決まっているのでエラーが起きづらいというメリットがあります。もちろんゲームシナリオのプロですから、エラーも発生しづらい。その反面、開発当初から現場に居ないので根幹部分の立案にはなかなか関われないのが現状で、悩ましい部分ではありますが。

この職業をしている人は「過去にゲーム開発者だった」という人がいらっしゃいます。



次は「C・小説家の人」。

これは結構レアケースです。
「面白い話や良い台詞回しは出来そう」と思う反面、「『先生』だから高いんじゃないか」とか「ゲームの事を良く判っていないから上手くいかない気がする」とか、そういう配慮が働いてしまうので。

でもまあ作家さんや開発に強い意向があれば、小説家の人がゲームシナリオを書く事は全然可能ですけど。



最後に「D・ノベル系の人」

開発としては同人などからスタートした比較的小規模なイメージで、ゲームの構造上、文章は大量に必要ですしゲーム的な制約もあまり無く、小説に近い描写が可能です。
求職欄で「ゲームシナリオライター募集」と書かれる場合の多くはこのパターンです。

ゲームでシナリオライター専業を狙うならここが一番手っ取り早い気がしますが、競争も激しいので頭角を現すにはかなりの技量が問われると思います。
※企業のプランナーがシナリオを書く場合は、文章力があまりなくてもゲームとしての完成度にひっぱり上げられる場合がある。

しかし、ノベル系の開発の現場に立ち会った事が無いので正確なところは良く判らないです。今度そのジャンルの方に会ったら聞いておこう……



という事で、そもそもどのジャンルを狙うかで就職攻略が変わってきます。
企業の正社員プランナーでは「シナリオ重視を嫌う」人も居るので、あんまり前面に出さない方が良かったり、コネやチーム作り、コミュ力が大事だったりする場合もあり、一概に「これが正解」という攻略は無い気がします。

それでもなんとなく言えるのは「どうしても書きたいなら、頑張っていればそのうち書けるようになるよ」という事。文章なんて9割方は訓練ですから、数書いていれば上達します。運の要素もありますが、運なんて何度も挑戦していればそのうち当たりますから。

ということで、本日はここまで。
次回でオシマイですので、もうしばらくのご辛抱を。

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