幸せ/募金/病気の子供は(以下略) | ヨコオタロウの日記
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良い人間のあり方を論じるのはもう終わりにして
そろそろ良い人間になったらどうだ

自省録 / アウレリウス



クリスマスの時に書いた日記
http://ameblo.jp/yokota6/entry-10418904981.html
を読んだ方から、

 「ヨコオさんは自分が幸せになる事がイヤなんですか?」

と言われました。

もちろん僕は幸せになりたいですよ。
すっかり忘れていましたが、一応書いておきます。

でも冷静に考えたら、

 ・自分のだらしないパラメータ。
 ・不安定な社会の様子

これらから考えるに、十分過ぎるほど幸せな気もしますな。
食えてるし、生きてるし、ゲームも作れてる。



ハイチの地震大変みたいですね。

被災地ハイチ、深刻な食糧難 道路寸断され支援届かず
http://www.asahi.com/international/update/0120/TKY201001200500.html

この前知ったんですが、google で募金やってるんですね。
google で、というかいろんな団体への募金ですけど。

 ハイチの災害救援活動にご協力ください
 http://www.google.co.jp/intl/ja/relief/haitiearthquake/

こういうのを募金するときに、僕は、なんていうか、普通では居られない、です。

現地に届かないんじゃないか?とか、
現地に届いても地元有力者がガメてしまうんじゃないか?とか、
せっかく金を送ってもアグネスがしゃしゃり出てきて成人マンガ規制とか始めてしまうのでは?とか。
そういう良くないイメージがグルグルグルグルあふれ出してきてしまう訳です。肛門のアタリから。

だから、僕はこういう偽善的な事をする時には自分を騙す為の物語を想像します。たとえば、こんな話。


 この募金は弾丸だ。
 一発10円。
 一発でも敵に当たれば、飢えた子供の口に少しだけビスケットが入る。
 しかし、少しだけのビスケットでは子供は助からないかもしれない。
 それに、途中には裏切り者(良くない大人達)が沢山居る。
 裏切り者が弾をかすめ取る可能性も大きい。
 今、僕の手の中には稼いだ金で買った銃弾が1000発ほどある。
 さ あ 何 発 撃 つ ん だ?


わかりづらいな。
もうちょっと判りやすく書いてみよう。


 70歳。死ぬ間際。ベッドの上。
 ゲーム制作で偉業も達成して、国から勲章も貰った。
 会社の業績も安定し、後進に任せる事が出来た。
 家族も出来た。一人娘も無事に嫁に出した。孫の顔も見る事が出来た。
 もう何も思い残すことは無い。
 ……
 ……いや、一つだけ。
 今から30年前のあの時。
 僕はハイチの地震に募金をしなかった。
 たかだか何千円かを惜しんで、クリックしなかった。
 もちろん、金持ちになった後は沢山募金した。
 しかし、死の淵に立った今、何故か思い出すのは
 30年前のあの冬の日。
 何故だ!
 あの日に募金をしておくべきだったのだ。
 ベッド脇に立つ家族にそれを伝えようとしたが、
 もはや体を動かす事は出来なかった……


想像される未来(募金が届かないとか)を、別の想像(銃に置き換えたり、未来の可能性を考えたり)で上書きして、なんとか自分をゴマカスわけです。

しかし、パッとその場で考えた奴では物語に深みが無いんですよね。
もっとなんていうか、ガッと心をエグるようなストーリーを誰かに用意してもらいたいなあ。嘘でもいいから、ダマされてもいいから金を払いたくなるようなストーリーを!



↓こんなのでお願いしたいキモチ。

ジョニーウォーカー黒ラベル
http://www.youtube.com/watch?v=WNBwJAaekkA