新しい星を発見するよりも新しい料理を発見するほうが
人間を幸せにするものだ。
/ ジャン・アンテルム・ブリア=サヴァラン
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ワインが旨い季節になりました。いや、ワインはいつでも旨いですが。
停電だった近所のジャスコ(品川シーサイド店)の酒屋が「1200円でパーカーポイント90点はお買い得過ぎる!」みたいなあおり文句が上手くて、ついつい買ってしまいます。※ちなみに本当に美味しくてお買い得。
あの店にはビレッジバンガード的な仕掛け人が居る気がします。
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最近のコンビニ弁当は美味しい。
どういう人達が開発してるんですかね?
やっぱりゲーム会社と同じような感じなんでしょうか。
……あるコンビニ弁当開発部の会議。
若手男A「部長の味のセンスは古いっすよ」
若手男B「というか、コンビニ弁当は味じゃないっす!ふいんき重視!」
部長 「何言ってるんだ。美味しいモノを作ればちゃんとお客さんだって……」
若手男B「誰もコンビニ弁当に味は期待してないっすよ」
若手男B「今は笑いとか、そういう空気感だと思うんすよ」
若手男A「ギガとかメガの次は、激辛とか激甘とか……」
若手女C「だめだってそんなの。今の女子は食べないよ」
若手女C「ダイエットでヘルシーな女子向け弁当とかの方がいいてt」
部長 「女子向け弁当なんて、結局過去には成功例なんて無いじゃないか!」
若手女C「そんな事言ってたら何も新しいものなんて作れませんよ!」
そこに入ってくる紫色のスーツの宣伝部員。
宣伝部員「トゥィース」
部長 「……前にも言ったが、ちゃんと挨拶出来ないのかね。チミは」
宣伝部員「まあいいじゃないっすか。スタイルっつーことで」
宣伝部員「そんな事より、次回のタイアップすよ」
若手女C「タイアップ?」
宣伝部員「ジャーン!次回タイアップで沢尻エリカ取ってきました!」
宣伝部員「なんかあ、沢尻さんっぽい弁当を秋に向けて売っていきましょう!」
宣伝部員「でも、予算無くなったんで激安で作ってくださいね」
宣伝部員「あっ、それと弁当名だけ決まってます」
宣伝部員「『エリカ様の手作りセレブ弁当』」
宣伝部員「サブタイトルは『別に……』でいきま」
若手女C「ちょ、沢尻エリカって料理すんの?」
宣伝部員「知らないっすよ。安かったんすよ。何故か」
若手男A「最も弁当から遠いイメージのキャラだな……」
若手男B「だいたい、手作りとセレブってコンセプトがバッティングしてるだろ」
宣伝部員「でももう契約しちゃったからなあ。高城氏と」
若手男A「そっちかよ」
部長 「うううむ。仕方あるまい。じゃあ、今回は沢尻さんの手作り……」
飛び込んでくる営業担当。
営業 「大変です!ウチの系列の牛乳工場で偽装問題が発覚しました!」
若手男A「あ~あ。いわんこっちゃない」
部長 「3年も前の牛乳を売ってたからな」
若手女C「結局、ウチらだけが会社を支えてるんだよなあ」
若手男B「あ~忙しい忙しい(嬉しそうに言う)」
営業 「それで……プリンの在庫が大量に余ってるんでそれを弁当に……」
若手男A「出来るわけないだろ!どんだけスイーツだよ」
若手男B「プリンと飯でプリンメシってか!何もかかってないわ!」
携帯電話でなにやら話してた宣伝担当が話に割り込む。
宣伝部員「プリン飯。いいじゃないですか!」
宣伝部員「ガッツリ系でありつつもチャンネーグイグイ系だし」
若手男B「何一つわからねーよ」
宣伝部員「あっ、そうそう。エリカさんの件は電通ザギンでスーシーなんで野菜マシマシでお願いしますよ。じゃー」
的な。
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いやでも、コンビニ弁当各社対抗でテーマ決めて弁当対決してほしいなあ。
それは是非テレビで対決をやってほしい。開発風景とか超見たい。
普通のグルメ番組とは違うアプローチなんだろうなあ。「中国産の鰻だってこうすれば無毒化出来ます!」とか「これで原価が50円ですよ?」とかみたいな。
安い食材求めてアマゾンの奥地に行き、変な魚を食って「部長!これマグロに似た味がします!」というドラマも期待したい。
キャンペーンで売れば、その弁当はバカ売れ間違いなし。
コンビニ各社とTV局の皆様。どうかこの企画を是非実現させてください。