わしは火盗みの罰として、人間どもに一つの災厄を与えてやる。
人間どもはみな、おのれの災厄を抱き慈しみつつ、喜び楽しむことであろうぞ。
仕事と日 / ヘシオドス
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と言うわけで、GDCに行ってきました。
GDC自体は別に面白くなかったです。
面白い・重要なセッションは日本にも伝えられるし老人は行く意味無いですな。20代の若手とかは「仕事で渡米」という刺激は良いのかもしれないけれど。
でも、今回の渡米自体は楽しかったです。とても。
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MicrosoftはXbox LIVE上にゲーム民主国家を建国する
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20080221/mskn.htm
XNAGS が発表されたときのガッカリ感を払拭すべくいよいよ配信システムが整備されつつあります。嬉しいけれど、これはゲーム業界に災いをもたらすパンドラの箱かもしれない。
今は自由にアップ出来るとは言っていないけれど、「仮に」 Youtube 程度の自由な配信が可能になればどういう事が起きるか。
まず数が質を圧倒してしまい、企業が出すダウンロード系のソフトは徐々に淘汰される。※そして時には質すら企業のソフトを超えるだろう。
次のステップとして「仮に」課金が可能になったとする。「自由に作って配信出来る事」だけではなくて「 MS が管理する集金システムをエンドユーザーが利用出来る」ようになった場合。
PC で作っても金儲けにならないけれど、360 なら MS が金を集めてくれるなら、多くのクリエイターは 360 に投稿するだろう。
それでも、500 MPS だったら企業ソフトを選ぶ人の方が多いかもしれない。
だけれど「仮に」そのソフトが無料だったら?
つまり、広告収益モデルも選択可能だったら?
こうなると Windows のシェアウェアの販売とは本質的に異なってくる。
「DVDしかない世界に、突然テレビ放送がやってくる」のに等しい。
しかもそのテレビ局は MS 一社だけ。
クリエイターは一攫千金を狙って投稿しまくり、ユーザーは無料のゲームをダウンロードしまくる、というポジティブスパイラル突入する。
SCE がこの戦略に気づいて google と手を組んだり、Linux での開発環境を公開する頃には、MS は一気にケリを付けてしまっているだろう。
なぜなら、インフラ独占の旨みを一番知っているのは MS だから。
やがて、映像コンテンツも広告収益モデルで配信されるようになり、自前で課金回収システムを持たないテレビ局もしぶしぶ Xbox-Live での配信を行うようになる。
次にオンデマンドが発達し、レンタルビデオと地上波が死滅。
かくして営利目的のゲーム・映像産業のほとんどが Xbox-Live の下へと集う。
その時に各企業が、インターネットと Xbox-Live の違いを知っても、既に遅いのであった……
……とか妄想したんですけど、どうですかね?
ま、ないか。
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ちなみに、バンドラの箱には「災厄」ではなく「幸福」が入っていた説もあります。
最後に残った一欠片は「希望」だそうで。
http://ja.wikipedia.org/wiki/パンドラ
