「認知症治療病棟に行くと、患者様の認知が低くなる。」
これは、私たち課内でよく耳にする言葉です。
本来、治療や支援の場であるはずの病棟で、逆に認知機能が低下してしまう。この矛盾に、私は作業療法士として強い危機感を覚えています。
なぜ、そんなことが起きるのか?
入院により生活環境が大きく変わること、日常的な活動の減少、コミュニケーションの機会が限られてしまうこと…。
さまざまな要因が重なり合って、認知機能の低下を引き起こしているのかもしれません。
でも、だからこそ私たち作業療法士の出番だと思うのです。
作業療法士として、できることは何か?
・「その人らしさ」を取り戻す関わり
・日々の活動を、意味ある“作業”に変えていく工夫
・スタッフやご家族と連携し、生活の中での小さな成功体験を積み重ねていく支援
・「できること」に目を向けた評価と、前向きなプランニング
治療という言葉には「よくなる」という期待が込められています。
であれば、私たちの関わりが「よくなるきっかけ」にならなければいけないと思うのです。
「病棟に行くと認知が低くなる」なんて、もう言わせたくない。
そう本気で思っています。
目の前の一人ひとりと、ていねいに向き合うこと。
日々の関わりの中で、変化をつくっていくこと。
それが、今の私にできる最初の一歩です。