光秀の定理 垣根涼介 角川文庫 | うみパパのブログ

光秀の定理 垣根涼介 角川文庫

戦国時代、十兵衛(明智光秀)は辻博打の胴元を務める怪僧愚息とその連れで兵法者の新九郎と出会う。

浪人中であった十兵衛は愚息の教えも得て後の将軍足利義明を救い朝倉家に仕官し、信長から厚遇で迎えられその期待に応えるも次第に十兵衛は信長から離れていく。

 

明智光秀が戦国武将の中では貴種で信長にも劣らない大局観を持つ傑物であったという。

その光秀の活躍を六角義賢との戦で一番の手柄を立てたところで終わり、その後は15年後の1597年に愚息らが回想する形をとる。

 

愚息の博打が伏せた4つの椀の中に一つだけ石の入っている椀を当てるというものと、3つの賽を同時に振って一つでも6の目が出れば勝ちというもの。

回を重ねる内に何の仕掛けもないのに必ず愚息が勝つ。

そのからくりに迫るところに本書の主題がある。

 

誰もが知っている史実に対してこんなアプローチもあるのだという視座の転換の面白さを示してくれる。

ユニークな歴史小説でした。