乱舞 有吉佐和子 集英社文庫 | うみパパのブログ

乱舞 有吉佐和子 集英社文庫

全国屈指の勢力を誇る日本舞踊梶川流の家元猿寿郎が壮年にして交通事故で急逝し、その家元の跡目をめぐる争いが勃発する。

 

そもそも猿寿郎が先代の妾の子で、その先代が手を付けた弟子寿々の連れ子の秋子が猿寿郎の妻、そして秋子の異父妹千春の実父は先代。

さらに猿寿郎には愛人が何人かいて子もいるが皆芸者であって認知はしていない。

秋子に子はなく其々の子どもの後継人が家元後継の正当性を主張し泥沼の跡目争いが始まるも秋子が見事にその騒動を収拾する。

 

まだ花柳界華やかなりし頃、日本舞踊は富裕層の女子だけでなく、芸者衆にも必須の芸事であり、全国規模の家元ともなると莫大な利権が発生し、その跡目相続は紛争の元となるようです。

この辺の古典芸能の世界を書かせては有吉佐和子の右に出る人はいないのではないでしょうか。

歌舞伎役者や政財界の大物まで巻き込んだスケールの大きなお話になっています。

 

猿寿郎の乱脈な女性関係をはじめ現代では少々時代錯誤の感はありますが、家元制度はどうなっているんでしょうか。

完全に過去のものになっているとも思えません。