藤井聡太はどこまで強くなるのか 谷川浩司 講談社+α新書
副題が、名人への道。
第一章 最高峰を極める、第二章 王道の将棋、第三章 過酷な戦い、第四章 「打倒藤井」戦略、第五章 史上最年少名人への道、第六章 巨星の軌跡、第七章 最前線の攻防、という構成で将棋の藤井聡太八冠の強さについて17世永世名人が解説する。
本書が書かれたのが2022年の藤井聡太5冠の時代です。
将棋のタイトルで一番の伝統のある名人位にはまだ届いていませんでした。
著者は当時の名人襲位の最年少記録を持っていて、藤井が名人への挑戦権を得るためのA級順位戦に初めて昇級したタイミングでした。
この昇級一年目で順位戦に優勝してタイトル戦に勝たなければ最年少記録更新には届かないというギリギリのタイミングです。
本書を読むとA級の順位戦で優勝することは容易ではないことが理解できます。
それでも著者は優勝して最年少記録を更新する可能性がかなりあることを記しています。
その辺のところは藤井の強さを熟知したプロならではの見立てでしょう。
後半は今までの名人戦で活躍した強豪たちを紹介しています。
今までの将棋の歴史を振り返っても藤井の実力は一時代を築いた数少ない天才棋士たちと比肩するところまで来ているように見えます。
歴史的な現場に立ち会っているといえそうです。