名著で読み解く 日本人はどのように仕事をしてきたか 海老原嗣生・荻野進介 中公新書ラクレ | うみパパのブログ

名著で読み解く 日本人はどのように仕事をしてきたか 海老原嗣生・荻野進介 中公新書ラクレ

§1 戦中~戦後という奇跡的な時代環境が協調経営を形作った(『日本の経営』ジェームス・アベグレン)、§2 欧米型vs.日本型「人で給与が決まる」仕組みの正当化(『能力主義管理』日本経営者団体連盟、『職能資格制度』楠田丘)§3 「Japan sa No.1」の空騒ぎと、日本型の本質(『日本の熟練』小池和男、『人本主義企業』伊丹敬之),§4 栄光の余韻と弥縫策への警鐘(『心理学的経営』大沢武志、『日本の雇用』島田晴雄、『知識創造企業』野中郁次郎・竹内弘高、§5 急場しのぎの欧米型シフトとその反動(『人材マネジメント論』高橋俊介、『コンピテンシー人事』太田隆次)、§6 雇用は企業ではなく社会が変える(『定年退職』清家篤、『雇用改革の時代』八代尚宏、『新しい労働社会』濵口桂一郎、という構成で、戦後からの日本企業の人事制度について解説する。

 

本書ではセクションごとにその時代の経済的な背景を解説し、その時代に刊行されc企業の人事制度、働き方に大きな影響を与えた書籍を紹介、その著者との往復書簡という形で進行します。

日本企業は年功序列、終身雇用、定年制、企業内労働組合などが特徴で欧米の成果主義、実力主義の制度とは大きく異なると一般にされておりますがそれは真実なのか。

バブル景気の後に大きな景気後退の波にまみれているが、そこからの処方箋はないのか、といった問いかけがなされています。

 

またワーキングプアと非正規雇用とは必ずしも等号で結びつけられる関係ではなく、非正規雇用者は主婦、高齢者、学生が多くの部分が占められ、年収200万円に達しない正規雇用者がその中心にいるという指摘も新たな視点を与えてくれるものです。

人事制度とはかくも重要なのだということを再認識させられました。