半落ち 横山秀夫 講談社文庫 | うみパパのブログ

半落ち 横山秀夫 講談社文庫

W県警の警察学校に勤務する梶聡一郎警部は妻を殺害したと自首してきた。

一人息子を白血病で亡くし若年性アルツハイマー症にり患した妻が不憫で紋殺したと自供するも妻の殺害日から自首するまでの空白の2日間の行動については口を閉ざした。

梶は事件の翌日に新幹線に乗って上京し歌舞伎町にいたという証言も出たが警察のメンツを保とうとする上層部の意向で自殺の場所を探して彷徨していたという供述になっていた。

 

捜査一課の志木、検事の佐瀬、新聞記者の中尾、弁護士の植村、裁判官の藤林、刑務所の矯正処遇官の古賀と主語として事件を語る人がリレーされる異色の展開です。

嘱託殺人犯でありながら澄んだ目をしていながら50歳で死ぬことをほのめかしている49歳の梶の口を閉ざした2日間をめぐるミステリー。

 

警察、検察、裁判所、弁護士、マスコミ、刑務所において其々組織に盲従していたり、組織を守るために事実が曲げられることに義憤を感じたり、様々な人々の人間模様が描かれているなかなかの意欲作でした。

頑として口を閉ざしていた梶の歌舞伎町に行った理由というのが少々現実味にかける気がした。

厳しい言い方になるが竜頭蛇尾の感ぬぐえず。