名作入門 平田オリザ 朝日新書 | うみパパのブログ

名作入門 平田オリザ 朝日新書

副題が、日本近代文学50選。第一章 日本近代文学の黎明(樋口一葉、森鴎外、尾崎紅葉、北村透谷、二葉亭四迷、坪内逍遥)、第二章 「文学」の誕生(国千田独歩、正岡子規、中江兆民、島崎藤村、夏目漱石、与謝野晶子)、第三章 先駆者たち、それぞれの苦悩(石川啄木、田山花袋、若山牧水、泉鏡花、北原白秋)、第四章 大正文学の爛熟(芥川龍之介、志賀直哉、川端康成、谷崎潤一郎、有島武郎、萩原朔太郎、岸田國士)、第五章 戦争と向き合う文学者たち(小林多喜二、宮沢賢治、堀辰雄、高村光太郎、江戸川乱歩、井伏鱒二、林芙美子、火野葦平、永井荷風、中島敦、金子光晴)、第六書 花開く戦後文学(太宰治、坂口安吾、織田作之助、大岡昇平、檀一雄、高橋和巳、安部公房、三島由紀夫)、第七章 文学は続く(開高健、北杜夫、司馬遼太郎、井上ひさし、石牟礼道子、別役実)という構成で、日本の近代文学の発展に大きく寄与した作家50名とその作品を紹介する。

 

明治維新で日本が欧米先進国を見習って近代化を進めた時、すでにドストエフスキーはトルストイ、モーパッサンなどの文豪はその代表作を発表していた。

当時の日本の文学を志した人たちは彼我の差に呆然とし日本は文学でとても西洋には追い付けないと絶望的になった。

しかしその困難に敢然と立ち向かった先駆者たちがいて近代日本文学は発展していった。

その流れがとてもよく理解できる構成になっています。

樋口一葉の『たけくらべ』が日本の近代文学の中でどれだけ重要な位置を占めているのか、北村透谷や二葉亭四迷たち先駆者の苦悩や多くの犠牲によって後進の助けになっていったのか、など初めて知ったような気がします。

 

著者は劇作家なので劇作家も何人か選に入っておりますがかなり納得のいくものになっています。

とても勉強になりました。