父のクリスマス

   

クリスマス スマホの中に 雪が降った 

奇跡か?と思った

 

それは夢にまで見た人

 

奇跡の再会は 再会できた事 それ自体が奇跡で

その後の奇跡は何も 起こらなかった

 

クリスマスが誕生日だなんて 素敵な日に生まれた子だね

 

肩車して歩いた横断歩道 もうこのまま

死んでしまってもいいと思った

 

あの頃の孤独と 今の孤独と 孤独の意味が 違うんだよ

だって 今の孤独は 決して 一人じゃない

僕の血を 受け継いだ人がいる

 

守れない 世話もできない 仕事が一息ついた時 

君の事を想う 父はひたすら 祈りを捧げる

 

君はきっと そんな父の事を 恨む事だろう

 

お父さんだって ずっと 

お父さんの事が嫌いだった

だって 自分の好きな事ばっかり

してるだけじゃないか?って

 

そう 母から あのセリフを聞いた日までは

 

あの日 母がボソッと言った 何不自由なく 

暮らしていけたのは 夢さえ諦めて ずっと働いていた

父のおかげだと

 

父はただ 働く事しかできなかった

祈る事しかできなかった

 

いつか 君に 父の背中を 見せるため

俺の背中を 越えて行け

 

もう2度と逢えない君と いつか必ず再会 できると

信じている君と

 

今日も 父は 精一杯の祈りを捧げる

 

今夜はメリークリスマス!

 

君の人生に奇跡が起こる事を

父はずっと 信じている

 

いつも 

 

いつでも 

 

いつまでも

 

 

〜 横須賀しおん第一詩集 

いつだってアイはあのころのまま」収録作品〜