保育の現場では、子ども一人ひとりの「心」と「体」の発達を支えるために、国が定めた
「保育の五領域」に基づいて保育が行われています。
この五領域は、子どもの健やかな成長を総合的に支えるための大切な考え方。
保育士や幼稚園教諭を目指す方にとって、指導案づくりや実習にも欠かせない知識です。
この記事では、五領域それぞれの意味とねらい、そして実際の保育現場や指導案への活かし方について、わかりやすく解説します。
五領域とは？目的と位置づけ
「保育の五領域」とは、文部科学省の『幼稚園教育要領』や厚生労働省の『保育所保育指針』で示されている、子どもの発達を支える五つの領域のことです。
具体的には次の五つがあります。
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健康
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人間関係
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環境
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言葉
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表現
これらはそれぞれ独立したものではなく、日々の遊びや生活の中で自然に重なり合いながら、子どもの「生きる力」を育てていくためのものです。
① 健康 ― 元気に遊び、心と体を育てる
「健康」の領域は、体を動かす楽しさを感じながら、心身の調和を図ることを目的としています。
たとえば、戸外遊びやリズム遊び、食事や排泄など、日常生活のあらゆる場面で育まれる領域です。
ねらいの例：
・健康な体をつくり、生活のリズムを身につける
・自分の体を大切にしようとする気持ちを育てる
指導案への活かし方：
活動を計画するときには、「体を使って何を感じてほしいか」を意識することが大切です。
たとえば、ボール遊びを通して「力加減を知る」「友だちと協力する」といった学びを設定することで、身体的な成長と社会性の発達を両立させられます。
② 人間関係 ― 仲間と過ごす中で思いやりを学ぶ
「人間関係」の領域は、友だちや大人との関わりを通して、人と関わる喜びや信頼を育むことを目的としています。
ねらいの例：
・友だちと一緒に遊ぶ楽しさを感じる
・相手の気持ちに気づき、思いやる態度をもつ
指導案への活かし方：
集団遊びやごっこ遊びなどの活動では、子ども同士の関わりを意識して展開することがポイントです。
教師が「仲立ち」になり、トラブルのときには気持ちを言葉にして伝えるサポートをすることで、人間関係の育ちを支えることができます。
③ 環境 ― 自然や身近な世界に興味をもつ
「環境」の領域は、身の回りの自然や社会、季節の変化などに触れ、興味や関心を広げていくことを目的としています。
ねらいの例：
・身近な自然に親しみをもち、命を大切にする
・生活や社会の中での決まりやルールを理解する
指導案への活かし方：
園庭や近くの公園、地域との関わりなど、子どもが実際に「感じる」「触れる」活動を計画します。
たとえば、秋の散歩で落ち葉を拾う活動を通じて、季節の変化や自然の美しさを感じ取る経験を積むことができます。
観察・発見を通して「知る喜び」を感じられるように導くことが重要です。
④ 言葉 ― 伝える力と聞く力を育てる
「言葉」の領域は、話す・聞く・読む・書くなど、言葉によるコミュニケーション能力を育むことを目的としています。
ねらいの例：
・自分の思いや考えを言葉で表現する
・友だちや先生の話を注意して聞き取る
指導案への活かし方：
絵本の読み聞かせや、毎日の会話を通して「ことばのやりとり」を大切にしましょう。
単に話す力を伸ばすだけでなく、「言葉で気持ちを伝える」「相手の話を受け止める」など、心のやりとりを意識した活動を組み立てることがポイントです。
⑤ 表現 ― 感じたことを自由に表す
「表現」の領域は、音楽・造形・身体表現などを通して、感じたことや思いを自分なりに表現することを目的としています。
ねらいの例：
・音やリズム、色や形に親しみをもつ
・感じたことを自分なりの方法で表現する
指導案への活かし方：
自由画、リトミック、劇遊びなどの活動では、「上手に描く・演じる」ことよりも「表現する喜び」を重視します。
子ども一人ひとりの感性を大切にしながら、他の領域（言葉や人間関係など）とつなげて展開することで、より豊かな学びが生まれます。
五領域をバランスよく保育に取り入れるには？
五領域は、単独で存在するものではなく、日々の遊びや生活の中で自然に重なり合うものです。
たとえば、「友だちと一緒に鬼ごっこをする」という活動は、「健康（体を動かす）」「人間関係（協力・ルールを守る）」「言葉（声をかけ合う）」など、複数の領域が関わっています。
指導案を作成する際は、どの領域を中心に置くかを意識しつつ、他の領域とも関連づけて展開することが大切です。
ヨコセンの授業では、このように実践的な視点から五領域を学び、実習や保育現場での応用力を身につけていきます。
横浜高等教育専門学校で学ぶ「五領域」の実践
ヨコセンでは、保育士・幼稚園教諭を目指す学生が、五領域の考え方をもとに「子どもの育ちを支える保育実践」を学んでいます。
授業では、教育要領や保育指針の理解にとどまらず、「子どもにとって意味のある活動とは何か？」をテーマに、具体的な指導案作成や模擬保育を通して実践的に学びます。
また、保育実習や幼稚園実習では、実際の子どもたちの姿から「五領域のつながり」を感じ取る機会が多くあります。
先生方の指導を受けながら、活動の意図や子どもの反応を振り返ることで、「保育者としての気づき」を深めていくことができます。
五領域を理解することが、良い保育の第一歩
保育の五領域は、子どもたちが将来、自分らしく生きていくための「学びの土台」をつくる考え方です。
保育者に求められるのは、五領域をバランスよく理解し、子どもの成長段階や興味に合わせて柔軟に保育を展開する力です。
ヨコセンでは、知識だけでなく「子どもの姿から考える力」を大切にしながら、2年間で保育士・幼稚園教諭の免許・資格を取得できます。
子どもたちの未来を支える先生を目指したい方は、ぜひ横浜高等教育専門学校で学んでみませんか？