夜渡湘水(夜に湘水を渡る)

客行貪利涉
夜裏渡湘川
露氣聞香社
歌聲識探蓮
榜人投岸火
漁子宿潭煙
行侶時相問
潯陽何處邊





夜に湘水を進んでいく。

船旅は、進める時に足を稼ごうと夜のうちに湘水を進んでいく。 

露の湿り気に杜若の香りが混じり、歌声の中に蓮の歌が聞き取れる。


船人は岸辺の焚き火で身を休め、漁師は水辺の煙の中で夜を過ごす。 

旅の友が時に尋ねる「潯陽はどの辺りでしょう」




わたしの解釈 


杜若が咲くのは5月中旬から5月末頃の花です。

春の過ごしやすい夜の時間に湘水を進んでいく様子を表現した詩です。



旅の友とは、自分と同じように湘水を渡る旅をしている人なのでしょうか。


「潯陽はどの辺りでしょう」という最後の部分ですが、道を尋ねるように、水上で方向を尋ねる様子が不思議だな〜と感じました。


露の湿り気に杜若の香りが混じっている点やや蓮の歌聞こえるという点に、穏やかさと静けさが感じました。


時の流れがゆったりしている雰囲気を表現している詩だなと。


個人的に好きな漢字はこれです。

蓮、夜、露、聲