裏銀座の旅2日目。

4時半起床、5時出発。同宿だった単独行のお兄さんに

見送られ雲ノ平に出発。

彼は昨日まで3日間雲ノ平に停滞していたそうだが、

悪天候でずーーと真っ白だったそうで。

「今日は晴れますよ。いいなあ~」とのコトバにほくそ笑む。


確かに野口五郎の頂上ではこんな朝焼けに見送られ。





朝日に染まる野口五郎岳からのモルゲンロート





とにかく静かな山の朝を独り占め。


 急登の先にある水晶小屋を越え

 雲ノ平を上から俯瞰しつつ


 着いた~。水晶岳。10時なり。


今日の予定は水晶経由、雲ノ平泊まりだったんですが

あんまり天気も良いのでさくさく順調にここまで来てしまったこともあり、

せっかくここまできたんで、温泉沢を経由して高天原温泉に

入ってから雲ノ平まで上がるか。と軽い考えで予定変更。


※高天原温泉とは


北アの山中にある、どの登山口からも途中に1泊挟まないと

辿りつくのは困難と言われる、おそらく日本で一番行きにくい温泉。

ちなみにこのサイトでは交通 富山地鉄有峰口駅よりバス70分後、徒歩11時間


というものすごく何の役にも立たない行き方情報が出ていて大笑い。



 温泉沢に向かう分岐に向かって歩き始めたのはいんですが


途中から高度感もものすごい断崖絶壁になり

ざくざくと一気に高度を下げてうへーこんなにおりるの?とげんなりしていたら



いきなりこんな川にぶつかるし。

水の流れはがんがん激しくなり、指示標もほとんどなくなってきて

あれーこれでいいのかなあ、と疑念は強まるばかり。

しまいには


さて問題です。

ルートを示す右→左の赤丸の間にごうごうと流れる川。

どこを通るのが正しいのでしょうか?(/TДT)/


正解 靴を脱いで水の中を渡る (泣)


たしかに地図上では点線になってて、「熟達者向け」とは書いてあったような気がするけど。

降り始めと降りた後の標高差とともに、その辺のことはろくに読んじゃあいないワタシ。

でも、昭文社の地図には川なんぞ載ってなかったぞゴラア!

幅20メートルもあるような川なんですが。ヒドイ。


それにしても歩けども歩けども、上のようなたび重なる渡渉により

コースタイムはとっくにオーバーしているのに、全然高天原小屋の気配も

見えてこない。


これは絶対道に迷ったよ~。どうしよー。

お日様は暖かく、青い空と冷たい水の流れ、鳥の鳴き声もよそに

一人で半泣きのワタシ。


と、不意に鼻腔に飛び込んできた硫黄のニオイ!

高天原温泉だ!



  川っぺりにいきなり現れる掘っ立て小屋のように見えますが

  ちゃんとかけ流しの硫黄泉



 女性専用風呂も親切についており


 つくりはなかなかワイルドですが無問題。



普通はお風呂抜きで過ごす山の中で空を眺めながら

草津温泉も真っ青のかなり硫黄のこゆい、結構なお湯に

つかりながらぼーっとしている幸せ。

さっきまで半べそかいていたのも忘れて1時間半ほどぼーっとすごす。


隣の混浴風呂には人の気配がしますが、女湯は完全に貸切です。

ああ~、し、至福うう。

のぼせると一度外にでて、しばらくしたらまた入る~

をひたすら繰り返す。


お風呂があまりに素晴らしくてこの後3時間ほどかけて

雲ノ平へと登り返して今日の宿の雲ノ平山荘へと

向かう本来の行程など当然のことながら

まったく遂行する気すらなくなり

おとなしく高天原山荘に向かいます。




しかし、高天原山荘からお風呂まではこのような山道を片道15分から20分かけて
下りていかなかければならず

いくら「お風呂付きの小屋!」と謳っているとはいえ

ちょっとタイヘンです。まあ、それでもこんな山奥で素晴らしい温泉に

入れること自体に大感謝です。


小屋はうわさどおり全体的に傾いており(笑)

やはり空いてて今日の宿泊予定者は都合8名。



夜になるとランプが灯り、食事を注文した4人と

宿のご亭主とおかみさん6名で食卓を囲みます。


 う・ま・~!!

客は 今夏休みの最中の小屋番のバイトだという20代の女の子1名。

高松からやってきたというおじさん1名。

食事の途中に到着した関西からのおじさん1名。

水晶登頂のあと、その先の牛首岳までピストンしてから

やはり温泉沢を迷いながら降りてきたそうで。

「あの道、わかんないですよね!も~、二度と下りたくない」という

話をしてたら、ご亭主がさすがにちょっと気を悪くされたらしく


「もともとあの道は登山道ではないんです。私が小屋に

来てからあれでもかなり整備したんです。夏には団体さんも通りますよ」

と言われてしまった。スミマセン。


でも、ほんとにあの温泉沢はきつかったよお。。。

ほんとに、地図をもっとちゃんと読もう。コースタイムだけでなく

地形とか標高差とかも読み込めるようにならないと、

と反省しきりの一日でした。


3人ともかなりいろんなところに登っているらしく、

山話に花が咲く。

小屋番女子は、なんと今日鏡平からここまで来たそうで。

CT10時間?12時間?いやーあんたすごいよ。若いっていいなあ。


四国のおじさんはクルマで折立まで走ってきて

そこに停めて登ってきたそう。

登る前に日本列島をかなり横断気味の長旅してます。

そのバイタリティもすごい。


やはり広々ーと部屋を使ってぐっすり眠る。

この小屋に、最盛期はなんと150人の団体が強引に泊まるらしい。

食堂とか玄関とかに無理やりに。当然一つの布団に3人くらいずつ寝たそうでう。

もう一度声を大にしていいたい。

山は9月にごゆるりと。


消灯9時。


高天原小屋は近々建て直しするそうなんで、あの独特の

雰囲気を味わいたいかたは、お早めに!