9月19日。
2時半。寝たような寝てないような微妙な状況で起き出す。
今日はCT約9時間の長丁場だが、1時半の新穂高からのバスに
乗るためにはこれだけ早立ちしないと間に合わない。
ゼリー食料とカロリーメイトで簡単な朝食をしてから、
ヘッドライトを点けていざ出発。
見上げれば満天の星。
黒い夜空を埋め尽くすかのように輝く、青白い点々が
まるで生き物のように瞬いているさまは、ちょっと恐怖感さえ
感じてしまうほどきれいだった。
くー、こういうのを写真にとるためには
やっぱり一眼レフかついで登るしかないのかなあ。。
夜は渡河は危険と判断して、敢えて三峰蓮華山頂から
双六を縦走するコースを選ぶ。
30分ほどで三峰山頂。遠くに松本市内と思われる夜景がきれい。
さらに尾根道をあるくと、東の空がだんだんこんな感じに。
私は無神論者だが、こういう瞬間に立ち会うと
やはり神はいると感じざるを得ない。
さらにどんどん歩き、双六山頂を目指す。
景色に見とれたり写真撮ったり、それから少し
痛くなってきた足の手当てをしたりしながらなので
双六につくまでにCTを約1時間あまりもオーバーしてしまった。
双六はまーるい山で、そのなだらかな尾根の向こうに
このように槍の穂先が見える風景はなかなか絶景だ。
しかし、ほんとこの裏銀座ルートは、飽きるほど
槍の美しい姿を見ながら歩ける。
難所も特になく、ほんとうに素晴らしいルートだ。
双六山頂を超えて双六小屋に降りるころには
陽射しがもう暑い。まだ7時を回ったくらいなんだが。
この先はほぼ平坦な道が、弓が岳分岐のあたりまで
続く。走りにも近いほどペースを上げてどんどん行く。
最近あまり遭遇していなかった登山者も
すれ違うようになってきて、天上から地上に
降りてきたような感じがする。
鏡平を抜け
河原の道へ。たくさんの登山者が登ってくる。
・・・しかし、今回の山行でもっともつらかったのは
この先だった。。
昭文社地図によると、そこから50分でたどり着けるはずの
わさび平小屋が、1時間経ってもまったく見えてこない。
すれ違った登山客に「あと10分くらいかしらー」と
適当なアドバイスをもらったのも災いして、すぐそこに
あるはずなのに一向に見えない目標ポイント
にいらだち、疲れもどっとくる。
結局着いたのは1時間半後だった。。絶対あの地図変だって!
さらにそこから延々と続く林道歩きだ。これだけ整備されている道なのに
タクシー含む一般車両は通行禁止らしい。
頼むから乗せていって~!と行き交う工事車両にお願いしたいくらい
だった。疲れた足にコンクリの触感がつらい。。
永遠にも思える林道歩きは、不意に林が途切れ、新穂高ロープウェイの
建物が見えたところで途切れた。・・しかし、最後の最後でバス停に
向かう道を一本間違え、少し道を引き返す。
もうバスの時間までいくらも無い。
自分が憎い。
さらに、新穂高バス停の隣にある無料温泉には、3日間の垢と汗を
落とすためのシャンプーも石鹸も無かった・・・。
先客が残していった試供品の石鹸で無理やり全身と髪を洗う。
こんなことならロープウェイ脇の有料温泉に入ればよかった。
またもや自分が憎い。
さらに後日談だが、この無料温泉の目の前にあるドライブインで
シャンプーを販売していたことが判明。ああ、憎い。自分が。
ともあれ、バスに乗り込み3日間過ごした山域に別れを告げる。
山を降りてくる途中で、担当企業が2度目のリストラをするとの
メールを受信してしまい、一気に現実に引き戻される。。
明日からまた仕事。ただ、この3日間の無謀山行は、確実に枯れかけていた
自分の芯になにかエネルギーを与えてくれたような気がする。
ありがとう裏銀座。ありがとう黒部源流。
今度は相方や友人や、私の大好きな人たちを
連れて、また必ず来ます。