その日から猫ちゃんは動物病院に入院することになり、カテーテルを通して手術をしてもらったり、経過観察のために入院したまま様子を見てもらったり…でしたが、2ヶ月後には、半身に麻痺は残っているものの、だいぶん元気になってきていて、そろそろ新しい飼い主さんを探さなきゃね。という状態にまで回復してくれました。

 

 

私はその猫ちゃんに《まるちゃん》という名前をつけて、仕事帰りに時々、お見舞いに(様子を見に)行っていました。

当時担任していたクラスの子どもたち(中学3年生)に「まるちゃんがね・・・♪」とよく話していたため、クラスの子どもたちは私が病院に行けない時にまるちゃんのお見舞いに行ってくれることもありました。病院のスタッフの皆さんがとても寛大に対応してくださったことに感謝しています。

 

 

3月末になり、訓練所に入所する2~3日前に、治療費の支払いをするために動物病院へ行きました。

「飼い主として治療費を払います」と言ったものの、一体どれだけの費用を請求されるのか?と不安な気持ちになることも勿論ありました。

何度か手術をしたし、入院期間も長かったので、『治療費100万円です』と言われてもおかしくないよな・・・と、自分で決めたことなのに、ザワザワした気持ちになることもありました。

 

 

そして、支払いの当日。

医師から告げられた言葉を私は今でもはっきり覚えています。

 

『Yokorinさん、私たち病院のスタッフはYokorinさんの思いや行動に心を打たれ、感動しました。治療費は何十万とかかっていますが、スタッフ全員と私の気持ちで、請求する金額は手術や入院にかかった実費だけ。10万円だけいただきます』と言って下さいました。

 

驚いた私は、本当にそれで良いのでしょうか?と尋ねましたが、それでいいです。と仰ってくれた病院の方々のご厚意を有り難く頂戴して、私は10万円をお渡しして、病院を後にしました。

 

私が訓練所に入所し、その後すぐに海外へ赴任するという事情を理解してくださった病院側のご配慮で、スタッフさんがまるちゃんの里親探しを引き受けてくれることになりました。3月末のことでした。

 

そして、同僚から『餞別に・・・』と1枚のナンバーズをもらったのも3月末でした。

いただいた翌日、何気なく新聞を読んでいました。

新聞の片隅にナンバーズの当選番号が載っていたのですが、期待のかけらもなくナンバーズを手に持っていた私は、当選番号を見て、唖然・・・

 

え?

4桁

いっしょ・・・

え?

ほんま?

もいっかい 見よ

ほんまや

これ・・・当たってる

 

ひやぁ~

 

という感じでした。

 

そして、その直後に頭にす~っと浮かんだのは、猫の姿です。

それも、宝くじ売り場に必ず置いてある『招き猫』。招き猫の姿と共に、「にゃ~」とか細く鳴くまるちゃんの声が聞こえたような気がして、ぞくっとしました。

そうなんです。

私はその時、「あ、まるちゃんの恩返しだな」と確信しました。

まるちゃんしか考えられない。

まるちゃんが私に100万円をくれたんだなと思いました。

 

信じる信じないは人それぞれの感性かなと思っています。

あなたは猫の恩返しを信じますか?