こんにちは。
金田音楽教室の金田です。
生徒が、ひと通り譜読みができて、両手でひけるようになってくると、
そろそろバッハの曲でも弾かせようかなー・・。
と思う先生もいると思います。
バロック音楽を学ぶのに最適なバッハ。
いきなり、インヴェンションを弾かせるのは無理があるので、何から弾かせようか悩む方もいることでしょう。
そろそろ良いかなー、と思って与えたバッハの曲をツラそうに弾いていたり、なかなか弾いてこない、弾けないという問題にぶち当たった先生も少なくないと思います。
私もそういう経験があります。
見た目には簡単そうに見えても、弾きにくく難しいと感じるバッハ。
私は、バッハなどのポリフォニー音楽を弾かせる前に、バルトークの「ミクロコスモス」を弾かせています。
ピアノや音楽に詳しい方は、えーっ!と思う方もいると思います。
バルトークはバロックの人じゃないし・・。
「ミクロコスモス」は、1巻ではユニゾンで始まり、徐々に2声が独立した別の動きをする曲へと進みます。
2声をとらえる耳を育てるのに適しています。
音符も少なく、見た目はシンプルな楽譜ですが、決してやさしいわけではありません。
「ミクロコスモス」の1~2巻を弾いたあとで、バッハの小品などを弾かせると抵抗なく進めるような気がします。
「ミクロコスモス」4巻を勉強するときは、バッハの「アンナ・マクダレーナ・バッハのためのクラヴィーア小曲集」を弾くと良い、とバルトークは言っています。
「ミクロコスモス」は、旋法でできている曲も多いですし、音も響きがちょっと変わっています。
ご父兄から「あのちょっと汚い響きの曲集は、あれでいいのですか?」と質問されることもあります(笑)。
子供には、ちょっと刺激的な音楽と思われても、大人には「汚い」と感じるのかもしれません。
当然ですが、この曲集は教える私達(先生)も全曲弾いて勉強し、理解しなければなりません。
必ず、生徒に模範演奏をしてあげることも大切です。
私も慣れるまで時間がかかりました。
急いでバッハを弾かせて「バッハ嫌い」になることは絶対に避けなければなりません。
そのため、私はバッハに関しては、テクニック的にかなり余裕をもって与えています。
そうすれば、わりとラクに弾けるので短期間で暗譜までできます。
余裕があると、曲に耳を傾けることができるので、バッハの良さを理解しやすいと思います。
私自身のバッハとの出会いがそんな感じでした。
だから今もバッハが大好きです。
結論として、バッハ・インヴェンションを弾く前に
①バルトーク「ミクロコスモス」1~3巻
②バッハ小品集(全音)
③プレ・インヴェンション(全音)
④アンナ・マクダレーナ・バッハのための小曲集(各社)など
⑤ピュイグ=ロジェ ピアノ教本1(音友)
などの順番で弾くのがよいかと思うのですが・・。
以上はあくまでも一例です。
よく弾けていれば、①~⑤の中から適したレベルのものを選べばよいでしょう。
1冊全部弾くのではなく、抜粋して弾かせてよいと思います。
②の小品集と、④のアンナマクダレーナ・・・~は、メヌエットやガボットなど同じ曲が入っていますので、②の小品集をやったら④は弾かなくてよいと思います。
他にもバロック曲集はたくさんあります。
指導者の判断で、生徒の能力に応じて選択するとよいと思います。
指導者の判断で・・というのは「好み」ではありません。
たまに「私、この曲が好きなのよ!」と言って、それを生徒に弾かせている先生を見かけることがありますが、自分(先生)が好きだから、生徒もその曲を好きとは限りません。
生徒のために適した曲を選ぶべきです。
曲(曲集)を選んだら、それがどれだけ素敵な曲であるかをアピールするために、模範演奏やアナリーゼなどもするのが良いと思います。
先生もいろいろ勉強しなければなりませんね!
でもバッハには、それだけの価値があると思います。
「ミクロコスモス」の良さについても、触れたいところですが、それはまた別のときにしますね。
では、また明日[E:paper]