遅くなりましたが、ページターナー第二部②です。
ネタバレしているのでご注意下さいね
母と娘が言い争った翌朝、ユスル母が家の前を掃除していると…
『おはようございます、お母様!』と、大きな声が
驚いた母が顔を上げると…
髪を黒く染め、メガネまでかけてキッチリした服装のチャシクが立っています。
『どうですか?まだ僕が無知なチンピラに見えますか?』と、チャシク。
『盗み聞きしたのね…』と昨日の愛想笑いの顔と違い、忌々しそうにチャシクを睨む母。
その時、ユスルが家から出て来ます。
ユスルに聞こえるように『どうですか?今日はチンピラじゃないでしょう?』と、大きな声で母に尋ねるチャシク。
『チンピラと言うより、暴力団の下っ端ってとこね。』と、ユスル母。
『わ~…』と、チャシクは呆気に取られます。
その時の事をビラ(母の代筆の仕事の)を貼る手伝いをしながら母に話しているチャシク。
『何ですって!?暴力団の下っ端!?大切に育てたよそ様の子に向かって何て事を!あんたそんな言い方されて黙ってたの!?』と怒るチャシク母。
『いいや!黙っているわけないだろう?当然!』と、語気を強めるチャシク。
『そうでしょうとも!黙ってたらダメよ!それで、何て言ったの?』
『謝ったさ!』
その息子の言葉に『何ですって!?』と、呆れる母。
*朝の続き(時間が行ったり来たりするのでちょっとややこしいかも)
『ガラが悪くてすみません!』と、ユスル母に頭を下げるチャシクwww
今日のファッションの問題点は何でしょう?仰って下されば次は完璧なファッションをお見せします…と、あくまで下手に出ますww
そんなチャシクにますますカチンとくるユスル母。
『お母さん!』と、母の態度に腹を立てるユスル。
『ユスルが僕を選んでくれたじゃないですか。その選択を後悔させないための僕の強い意志だと思って頂きたいのです。まあ、ファッションは一日ではどうにもならないでしょうが、僕が一生懸命に努力します!お気に召されるまで!』と、母に一礼するチャシク。
『行ってきます。』と、チャシクのポケットに手を入れて歩き出すユスル。
『好きにしなさい!』と、怒る母ですが…
心配そうに二人の後姿を見つめます。
すっかりチャシクの自転車に乗る事が当たり前になっているユスル。
途中で突然『何か買ってあげようか?』と、チャシクに声をかけます。
『何だって?』と、驚いて自転車を止めて振り返るチャシク。
今まで迷惑をかけてるし、お母さんの事もそうだし…私は迷惑をかけたままにしておく事ができない性格なの…と、ユスル。
そんな事は気にしなくていい…と、言っていたチャシクですが、ふと思いついたように『いや!謝罪の代わりにして欲しい事がある。』と、また自転車をこぎ始めます。
チャシクは通路のピアノの前にユスルを連れて来て、ピアノを弾いて欲しいと頼みます。
ピアノが上手らしいけど、どれくらいの腕前なのか見せてくれ…と。
ピアノはもう辞めたんだからイヤだ!と断るユスルですが…
迷惑をかけたままでは気が済まない性格なんだろう?と、チャシクに言われて『分かったわよ!弾けば良いんでしょう?弾けば!ピアノはどこにあるのよ!?』と、怒鳴ります。
負けず嫌いのユスルww
『ここだよ!気をつけろ…』と、嬉しそうにユスルをピアノの前に座らせるチャシク。
私は弾く事ができるだろうか?
事故に遭ってから、初めてピアノに触れるユスル。
そんなユスルの不安な気持ちを知る由も無く『俺の知ってる曲を頼むよ。』と、のん気な事を言うチャシク。
『知ってる曲があるの?』と、呆れながらピアノの音を確かめるユスル。
『ピアノの音があんたみたいね。』
『どんなふうに?』と、ピアノの音に似てると言われて満面の笑みを浮かべるチャシク。
『下品で鈍臭い音。』
『おい!お前もお前の母さんも俺に喧嘩売ってるのか!?謝罪の気持ちが感じられないじゃないか!』と、怒るチャシクですが…
ポロロロロ…と、滑らかに鍵盤を叩くユスルを見て
『うわ~~!スゲエ!!』と、驚きの声を上げますwww
一つ溜息をついて『あんた!私がここでピアノを弾いたことを誰かに喋ったらダメだからね!』と、チャシクに凄むユスル。
『心配するな!この秘密、墓場まで持って行くよ!』と、約束するチャシク。
『お母さんが墓場なの!?フンッ!その秘密、墓場まで持って行くって言ったのに、今私に漏らしているじゃない。』と、拗ねるチャシク母ww
『お母さんに秘密を作りたくないから話したのに!本当に心外だ!!』と、逆ギレするチャシク。
息子が母親に秘密を持つのは大人になった証拠なのに、あんたがペラペラ喋るから…と、慌てて言い訳する母ですが…
『今後は何があってもお母さんには何も話さず秘密を守る!』と、拗ねるチャシク。
ムスッとしてビラを貼り続けます。
『チョン先生!スネちゃいましたか~?』と、ご機嫌を取ろうと焦る母ですが、チャシクの機嫌は直りそうにありません。
『どうだった?ピアノは上手だった?』と、チャシクの顔色を窺いながら尋ねる母。
すると…
『マジで凄かった!世界で父さんの次に上手かった!』と、目を輝かせるチャシクwww
『そうなの?どれくらい上手だった?』と、嬉しそうに尋ねる母。
『何て言うか、こういうのあるだろう?』と、ウットリしながらユスルの演奏を思い出すチャシク。
音がすごく綺麗な虹みたいだった
美しい音色を奏でるユスルを嬉しそうに見つめるチャシク。
*この時ユスルが弾いていたのはベートーベンの第九(よく年末に合唱されている曲)をリストがピアノ曲として編曲したもの。
リストの曲は超絶技巧で有名。←私にはとても弾けません
ありえない美しさで
突然人を天使みたいにするような…
世界を天国みたいにするような…
そんな虹
何のためらいも無く鍵盤を叩くユスルの演奏は、見えていた時と変わらず美しく…
その美しい音色に、胸がいっぱいになるチャシク。
最後の一音が消えていくのを…目を閉じて感じているユスル。
『見てるだけで幸せで、永遠に消えなければ良いと思うような…そんな虹みたいだった。』
その虹のような音色を思い出しながら、幸せそうな顔をする息子を見て『すごくステキだったみたいね。』と、母も嬉しそうです。
だけど不思議なことに、それからその音楽がずっと夢に出てくるんだ…と、チャシク。
『そうなの?どんな夢なの?』と、尋ねる母。
少し戸惑って『知らない!目が覚めたら忘れてるから…。』と、慌てて歩き出すチャシク。
どんな夢だったのよ~!と、母がしつこくチャシクを問い詰めていると、母の携帯に電話がかかってきます。
それは母が代筆した客からの電話でした。
母が書いた自己紹介書が良くなかったから、公務員試験に全部落ちたんだ!というクレームの電話です。
電話の相手に謝る母。
母が電話を切ると、チャシクは『そいつに能力が無いから落ちたんだ!母さんのせいじゃない!』と、激怒します。
『正直、お母さんに文才があればこんな暮らしはしていなかったわ。就職して家を買って暮していたはず…。』と、寂しそうに呟く母。
そんな母の姿を見て『待っててよ、母さん。このチョン・チャシクがいつかビルを建てて母さんをビルの主にしてやる!ビラ貼りも嫌な電話に出ることもしなくていい。家政婦を雇って百貨店で買い物して、海外旅行だってさせてやる!』と、母に言うチャシク。
その言葉に何も答えず…またビラを貼り始める母。
ふと、その手を止めて…
『ユスルが弾いたそのピアノ…それがどんなのか分かる気がする。今あんたが言った言葉…その虹みたいだった。世界を天国にする虹。』
そう言って、母は幸せそうに息子を見つめます。
『そうだ。その通りだ!』
チャシクも嬉しそうに母に微笑みます。
チャシクにとってはユスルのピアノが…
母にとってはチャシクの言葉が…
世界が天国に変わるような、そんな美しい虹だったのです。
ある日、一人きりで体操服に着替えようとするユスル。
誰もいない教室にチャシクに連れて来てもらい、外で見張っていると言うチャシクの申し出を断り、先に運動場に行っているようにと言います。
チャシクが行ってしまってから着替え始めるユスルですが…
ユスルが着替えている所を撮影する男子学生
その時、ワザと大きな声を出してユスルに近くに人がいる事を知らせるジンモク。
ジンモクはその男子学生を離れた所に連れて行き、その胸ぐらを掴みます。
『一緒に見るか?ユスルは目が見えないんだから、撮られた事にも気付かないさ…』と悪びれる様子も無い男子学生。
怒って男子学生に殴りかかるジンモク。
喧嘩を始めた二人を同級生たちが慌てて止めに入ります。
その夜…
手に包帯を巻いて家に帰って来たジンモク。
明後日、知り合いの結婚式でピアノを弾く予定だったジンモク。
父に『手を怪我して弾くのは無理そうです。』と、包帯を巻いた手を見せます。
『学校で友達とちょっとあって…。』と言うジンモクですが、父は『今さらキャンセルだなんて…。すぐに(相手に)連絡しなさい。』と母に言うだけで、ジンモクを見ようともしません。
代わりが見つかるだろうか?と、心配する父にジンモクは怒りをぶつけます。
『それが心配なのですか?僕よりもそれが心配なのですか?ピアノをしている息子が手を怪我したのに!「大丈夫か?なぜ怪我したんだ?」そう言うものじゃないんですか?父親なら…そうでしょう!?これを見れば結婚式よりも僕をまず心配すると思っていました!』
そう言って包帯を巻いた手を父に見せるジンモク。
そんなジンモクに『お前、ピアノに自信が無いんだろう?そんなヤツに限って「関心を持ってくれ」だの「心配してくれ」だの言うんだ。今のお前みたいに。』と、冷たく言う父。
諦めたように、傷ついた手を下ろすジンモク。
『お前は天才じゃない。自覚があるから否定されると傷つくんだ。これからどんどん自信を失って、後で文句ばかり言う様になるだろうな。』
やりきれない思いをピアノにぶつけるジンモク。
包帯が解けても、構わずピアノを弾き続けます。
そして…
鍵盤を両手で叩き付けるジンモク。
同級生たちが掲示板の前に集まっているのを見つけて『何だ?何だ?』と、駆け寄るチャシク。
皆が見ていたのは『二つのピアノコンクール』のポスターでした。
ポスターを見つめて『夢と同じだ…』と、嬉しそうに呟くチャシク。
『これに出るにはどうしたら良いんだ?』と、皆に尋ねるチャシクに『もう一度生まれ変われば?』と笑う同級生たち。
『真面目に聞いているんだ!俺には才能があるんだ!』と、怒るチャシク。
そこにやって来て『お前みたいなヤツが出られるわけがない。何を根拠にそんな事を?血液型占いか?星座占い?それとも子どもの頃にした適性検査か?』と、バカにするジンモク。
『俺の父さんはヒョン・ミョンセなんだ。』そう言って、チャシク母とヒョン・ミョンセが一緒に写っている写真を見せるチャシク。
それを見て『それが証拠なら、この国中が彼の子供だらけになるわ。』
『演奏後に観客と写真を撮ったりするんだよ。』
『名誉毀損で訴えられるぞ。』と、口々にチャシクをバカにする同級生たち。
皆から笑われ、『もし、俺がこのコンクールで優勝したらヒョン・ミョンセの息子だと信じるか!?』と、声を荒げるチャシク。
そんなチャシクに『入賞するまでもない。予選通過したら認めてやる。』と言うジンモク。
『OK!そうしよう。』と、ジンモクの肩をポンと叩いて立ち去るチャシク。
その話しをチャシクから聞いて…
『おかしくなったの?病院に行きなさいよ。あんたは出会ってから今まで、たったの一瞬でもマトモだったことが無かったわ。』と呆れかえるユスル。
『三ヶ月の間、一つの曲を死ぬほど練習すればコンクールに出れるだろう?』と、言い返すチャシク。
あんたがヒョン・ミョンセの息子でなく、モーツァルトの息子だとしても無理だ。
息子だと証明したいのならDNA検査でもしろ。
私が三ヶ月で棒高跳びの大会に出られると思う?
10年以上も練習してきた人たちに、たった三ヶ月で追いつけると思うの?
それは無謀でなく無礼なのよ…と、ユスル。
『そうだな。お前の言う通りだ。俺が無礼だった。悪かった。』と、ションボリするチャシク。
元気のない声で『行こう。』と、ユスルの手を取り歩き出します。
自転車に乗っている時も、チャシクは落ち込んでいるのか?ずっと黙っています。
いつもと様子の違うチャシクに、さすがのユスルも気になるようです。
チャシクは自転車をこぎながら、母に夢の話をした時の事を思い出していました。
母には夢の内容は覚えていない…と言っていたチャシクでしたが、本当はちゃんと覚えていたのです。
夢の内容は母さんには秘密だ
俺が毎日どんな夢をみているのか
その虹のように美しい音楽が流れる
そのステキな夢が
どんな夢なのか
話さなかった
ステージの上で…
ピアノを弾くユスルと…
ユスルと向かい合ってピアノを弾くチャシク。
その夢の中で俺はユスルと一緒にピアノを弾いている
夢の中で俺はチンピラみたいじゃなく
まるでステキなピアニストみたいなんだ
夢の中でユスルは視力を失っていなくて
嬉しそうに俺を見て笑ってくれる
そして、その微笑みは…
死ぬほど可愛いんだ
ステージの上で…
ユスルと一緒にピアノを弾く夢を見ていたチャシク。
その夢を見てから俺は
あの通路のピアノの前で自転車を止めるチャシク。
その夢の向こうに行きたくなった
『何で止まるの?前に何かあるの?』と、尋ねるユスル。
『ユスル。お前ここで、前に弾いた曲を覚えてるか?それをもし俺が弾いたら…俺にも可能性があるんじゃないか?』と、真剣な顔をするチャシク。
『それをあんたがどうやって弾くのよ?ありえないわ。』と、呆れるユスル。
『だから、もし俺が弾いたら…俺を認めてくれよな。』と、チャシク。
『何よ?何でそんなに自信があるのよ?』と、不思議そうに尋ねるユスルですが…
『あ~あ!チョン・チャシク!あんた私を甘く見てるわね。』と急に納得します。
目が見えないからって、他の誰かにピアノを弾かせて自分が弾いたように騙すつもりなんでしょう?と、ユスル。
チャシクは疑うユスルを『失礼するよ。』と、ヒョイッと抱え上げピアノの前に座らせます。
そんな二人の様子をじっと見ている露天商のおじさん。
今後、おじさんの編み物に注目です!
ユスルの隣に座り…
その手を取って自分の手の上に乗せるチャシク。
『これなら信じるか?』
そう言って、ユスルの手を乗せたまま…
ユスルがこの前弾いた『第九』を弾き始めます。
チャシク自身がピアノを弾いているのを確信したからか?
そっと手を離すユスル。
すごく短い夢だったけど
後になっても
一生の記憶として刻まれる
そのステキな夢を
夢だけで終わらせるのが凄く惜しくて
時間がかかっても実現させようと決心したんだ
人知れずピアノの練習を始めていたチャシク。
毎日毎日、あの通路のピアノに向かい…
暗くなっても、ずっと…
指が切れて血が出ても…絆創膏を巻いて練習。
最初は途切れ途切れの「音」でしかなかったチャシクのピアノですが、少しずつ一つのメロディーへと繋がっていきます。
そんなチャシクを隣で黙って見守っていたおじさん。
一生懸命にピアノを弾くチャシク。
チャシクの演奏を真剣に聴いているユスル。
そのなかなかの腕前に、通りかかった人も足を止めます。
おじさんも耳あてを外してチャシクの演奏を聴いています。
そして…
チャシクの演奏が終わり…
『どうだ?これでもありえない事か?』と、ユスルに尋ねるチャシク。
『いいえ…ありえるみたい。』と、呟くユスル。
ユスルを自分の方に向かせて『一緒にコンクールに出よう、ユスル!』と言うチャシク。
ニッコリと笑うユスル。
夢への一歩が始まった
チャシクも嬉しそうに笑います。
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今まで楽譜を見た事も無かったチャシクが、いくら毎日血が滲むような努力をしたとしても…
こんなに短期間で超絶技巧のリストの曲を弾く事は、現実では不可能でしょう。
でも、そこはドラマです。
ドラマだからこそ可能で、だからこそドラマは面白いのです
夢を失ったチャシクが、新しい夢へと踏み出した瞬間。
それはユスルをピアノの世界に引き戻す瞬間でもあったのです。
さあ、これからコンクールへ向けてユスルとチャシクの挑戦が始まります。
二人はコンクールで入賞する事ができるでしょうか?
そんな二人を見てジンモクはどう出るのか!?
それは…最終話をお楽しみに~
それでは、長文を最後までお付き合い頂いて有り難うございました
画像お借りしました。