前回は幸せの絶頂から一瞬で暗闇に突き落とされた可哀想なジウク。
これから暫く悩めるジウクが続きます
では、29話です。
完全ネタバレになっているのでご注意下さいね
その瞬間までは、キラキラと輝く朝日のような幸せを手にしていたはずなのに…。
その写真を見たその瞬間…ジウクの手からサラサラと乾いた音を立ててこぼれ落ちて行ったその輝き。
『私もそうです。私には父が二人いるんです。私の話は、今度します。機会が来たら。』
『私の父も火事で亡くなったんです。』
父は火事で亡くなったと言っていたボンヒ。
その火事とは、自分の両親が亡くなった火事と同じなのか…?
いくら考えても答えが出るはずもなく…悩み続けるジウク。
韓ドラあるある!男性主人公はシャワーを浴びながら悩む

台所で朝食の準備をするジウク。
朝食には多すぎるくらいの食材をズラリと並べて、片っ端から調理していきます。
考えまいとしても、浮かんで来るボンヒ父の写真。
朝食には多すぎるくらいの食材をズラリと並べて、片っ端から調理していきます。
考えまいとしても、浮かんで来るボンヒ父の写真。

思わず手が止まってしまいます。
一方、ジウクが悩んでいるなんて知るはずもなく…

幸せいっぱいで身支度を整えるボンヒ。
深呼吸してから部屋を出ます。
緊張して台所に向かったボンヒ。

『わ~、香りが良いわ。』と、恥ずかしそうにジウクに声をかけます。
『よく眠れたか?』
『はい。よく眠れましたか?』と、微笑むボンヒに『うん。』と言って微笑むジウクですが、その笑顔はどこかぎこちなくて…。
朝食の量が多い事をボンヒに尋ねられて返事に困ってしまうジウク。
考え事をしていたから気付いていなかったのでしょうね

ズラリと料理が並んだテーブルを一緒に囲む事務所のメンバー。

料理を口に入れた瞬間、顔をしかめるピョン代表たち。
『おいおい!お前たち(ジウクとボンヒ)、俺を殺すつもりか?何だこれは!?』と、怒るピョン代表。
『これ、ウン弁護士が作ったみたいだね。そうでしょう?』と、ウニョク。
『ノ弁護士さんが作られたのでは絶対にないでしょう。』と、パン係長。
『違いますよ!』と、慌てるボンヒ。

『美味しそうに見えるけど…そうじゃないんですか?』と、一口食べて思わず口を押さえるボンヒ。
驚いたようにジウクを見るボンヒですが、皆の会話は全く聞こえていないジウク。
『お前はやっぱりダメだ!俺は話を全部聞いたんだ。俺は反対するつもりはなかったけど、やっぱりお前の事は反対だ!』と言ってボンヒを指差すピョン代表。

『本当に私じゃないのに…。』と、悲しそうな顔をするボンヒ。

そっと、隣に座るジウクを見てみると…暗い顔で黙ってテーブルの上を見つめています。
先日、自分がやった放火で違う人が逮捕された…と話していた男性(イ・ジュネ)を検察に呼び出したユジョン。
ジュネに自白の事を尋ねると『でも、そのまま帰らせたじゃないですか、検事さん?』と、ジュネ。
『気が変わったんです。軽い事じゃないでしょう?』と、ユジョン。
『私もです。気が変わりました。自白…撤回します。』と、ユジョンを見つめるジュネ。
ちょうど検察にやって来ていたウニョクは、帰ろうとするジュネを追いかけるユジョンを見かけます。
何となく気になりながらも歩き始めると、目の前にジヘが現れます。
ニッコリと微笑んで挨拶するジヘ。
先日の一件で、ウニョクを意識しているようです!
同じく微笑んで挨拶する社交的なウニョク。
『ああ、ちょっと聞いて良いですか?』と、ウニョク。
『もちろんです。いくらでも。』と、何やら勘違いして嬉しそうに答えるジヘですが…ウニョクが尋ねたのはさっき見たユジョンが追いかけていた男の事

思いっきりガッカリして、ウニョクに渡そうと思っていた自分の名刺を後ろに隠すジヘ。
ちょっと可哀想
ちょっと可哀想

『放火犯です。誰かの家だか車だかを放火したそうです。』と、バツが悪そうに答えながら隠した名刺を握り締めます。
『放火犯?』と、何か気になる様子のウニョク。
自分の部屋にパン係長を呼び出したジウク。
『お願いしたい事があるんです。個人的な事で。』と、言い辛そうにするジウクを見て『個人的な事ですか~。お二人の婚姻届けですか?』と笑うパン係長ですが、真面目な顔のジウクを見てすぐに『すみません。面白くないですね。』と、態度を改めます。
『僕の両親の事故について知りたい事があるんです。その事件の状況やでなければ…』と、言葉をためらうジウク。
パン係長も真剣な顔でジウクを見つめます。
『でなければ…犯人の事なんかを。そんな所です。』
『なぜ、突然そんな事を?』
『何となくです。突然。』と、誤魔化すジウク。
『分かりました。出来るだけ早く…』と言うパン係長の言葉を『いや、いや…。ああ、そこまで急ぐ必要はありません。その…急用じゃないから、ただゆっくり…ゆっくり、調べてください。』と、遮ります。
『はい。分かりました。』と、それ以上は何も尋ねる事はせずに部屋を出て行くパン係長。
パン係長がいなくなると、ソファーに座って考え込むジウク。
それから、落ち着かないのか事務所中を念入りに掃除し始めるジウク。

掃除が終わると冷蔵庫を開けて中の物を全部取り出して片付け、それが終わると食器を全部磨き始めます。
事務所で、何やら悩んでいたウニョクが顔を上げると目の前にジウクが立っています。
『どうした?』と、驚くウニョク。
『ただ、見てるんだ。お前は何してるんだ?』
『俺は仕事してるんだ。何だよ?』
『ああ、仕事してるのか。手伝ってやる!手伝えって言ってただろう?複雑なのでも良いし、単純なのでも良いぞ。ただ、俺が今、考え事をしたくないから、時間を潰せる事なら何でもいい。手伝ってやる。』と、突然のジウクの申し出に驚くウニョク。
『どうしたんだ急に親切になって!?まあ有難いけど、無いぞ。』
『無いのか?』と、ガッカリするジウク。
『ああ。お前が嫌いな書類整理があったけど、ほとんど終わったし。刑事事件は…それは、俺がこの前話した火事の上訴審の事件しかないぞ。』
その言葉を聞いて返事に困るジウク。
『有難いけど、気持ちだけ受け取るよ。』と、仕事を始めるウニョク。
少し考えて『やるよ!その事件、俺がやる。』と言うジウク。
『火事の事件だぞ、ジウク!?』と心配するウニョク。
『いや、大丈夫だ。俺が検事時代に火災の事件を受けなかったわけでもないし。ああ、できるみたいだ。できるはずだ。大丈夫だ。手伝ってやる。』
『お前、本当に大丈夫なのか?』と、確認するウニョクに『ああ。』とジウクが答えている所にボンヒがやって来ます。
『一緒にやりましょう、ノ弁護士さん。私もお手伝いします。』と言うボンヒに慌てるジウク。
少し躊躇って『大丈夫なのか?』と尋ねるジウクに頷くボンヒ。
ウニョクは黙って書類をボンヒに渡します。
書類を受け取りジウクを見て微笑むボンヒに、困ってしまうジウク。
ウニョクはジウクとボンヒに事件の詳しい経過を説明しています。

『カン・ソンイルさんが有罪判決を受けた理由は、殺人動機、状況証拠、目撃証言のためだ。』と、ウニョク。
火事で亡くなったチェ・ソンウに娘を轢き逃げされたソンイルは『このままでは済まさないぞ!娘の恨みをはらしてやる!』と、ソンウを脅迫していた経緯があったようです。
そんな事があって警察がソンイルに目をつけていた所、火事でソンウが亡くなってしまった。
『それで今、カン・ソンイルは「俺は無実だ、無罪だ」と、こう主張しているんだな?』と、確認するジウクに『そうだ。』と答えるウニョク。
同じ頃、イ・ジュネの自白からソンイルの事件に辿り着いていたユジョンは、この事をジヘに相談していました。

事件を追及しようとしているユジョンを心配するジヘ。
検事長も望んでいないのに検察の失態を暴いたりしたら、かつてのウン・ボンヒ事件の時のノ・ジウク検事のようになる…と。
ジヘの言葉に何も言えなくなるユジョン。
自分の部屋で、事件の資料を見ていたジウク。
仕事をしているからとボンヒ父の事を忘れられるはずも無く…疲れたように目を閉じます。

そこへ、事件の事でジウクに話をしにやって来たボンヒ。

『ノ弁護士さん…』と、声をかけようとして、眠っているジウクに気付きます。

そ~っとジウクの横にしゃがんで、その寝顔を見つめます。
資料を床に置き、ジウクの顔に手を伸ばすボンヒ。
ジウクを見つめながら優しく髪を撫で…

その指先が触れないように、ジウクの鼻筋や唇をなぞり…最後にその頬にそっと手を当てます。
頬から手を離したボンヒはジウクの寝顔を見つめながら『信じられないな…私の男だって事。』と、呟きます。
ジウクが起きないように静かに部屋を出て行くボンヒ。
ボンヒが出て行ってしまうと、そっと目を開けるジウク。

眠っていなかったジウクは辛そうに、何度も何度も溜息をつきます。
車で事務所に帰る途中のパン係長。
一瞬、助手席に視線を落とし、暗い表情になります。
助手席のシートには封筒が置かれています。
事務所に戻って来るとすぐ、パン係長はジウクに封筒を渡します。
何も言わず封筒を渡すパン係長と、黙ってそれを受け取るジウク。
ジウクは自分の部屋で封筒の中から書類を取り出します。
書類には放火犯の写真が添付されていました。
それは間違いなく、ボンヒの部屋にあったボンヒ父の写真と同一人物です。
恐る恐る書類をめくるジウク。
「火災事件 死亡者身上情報」と書かれた書類にはボンヒ父の名前や年齢…そして、家族の名前が。
死亡者の名前はウン・マンス。娘の名前はウン・ボンヒ。

今まで疑惑だったものが真実へとその形を変えてえ行きます。
「火災証明願」の書類には担当検事チャン・ムヨン(検事長の名前)の文字が。
当時の新聞記事のコピーには『報復放火で検事夫婦残念ながら死亡』と…。
書類を見ているジウクの目に、涙が溢れ出します。
手から離れた書類が、テーブルの上で乾いた音を立て…

両手で顔を覆って涙を流すジウク。
その時、パン係長がやって来た気配を感じ、ジウクは慌てて涙を拭って立ち上がります。
『申し訳ありませんが、ファイルを…見ました。』
『ああ…そうだったんですか?』と、平静を装うジウク。
『ウン弁護士さんの父親が、そうでしょう?加害者ウン・マンス。』と、静かに尋ねるパン係長。
『はい。ああ、でも気にしません。ウン・ボンヒが直接そうしたわけでもないし…時代が時代なんだから、連座制もあるまいし。ウン・ボンヒとは…何の関係もない事じゃないですか。そうでしょう?』と、同意を求めるようにパン係長を見つめるジウク。

何も答えずジウクを見つめるパン係長。
『ウン・ボンヒとは…本当に何も…関係の無い…事じゃないですか、パン係長さん。そうでしょう?』と、もう一度すがるように尋ねるジウク。
『ああ…。』とだけ言って、少し頷き微笑むパン係長。
それに答えるように、係長に微笑み返すジウク。
『皆さん待っておられますよ。』
『ああ、はい。すぐ行きます。』
ジウクの返事を聞いて部屋を出て行くパン係長。
パン係長には関係ないと言ったものの…そんなに簡単に割り切れるものなのか?
またソファーに座り、考え込んでしまうジウク。
ジウクが階段を下りて行くと、皆が楽しそうに話をしながらピザを食べていました。

階段の途中で足を止め、その光景を眺めるジウク。
明るく笑うボンヒの笑顔を見ているうちに、ジウクも自然と笑顔になります。

でも、ボンヒの幸せそうな笑顔を見れば見るほど、現実はジウクの心に重くのしかかり…

やり切れない思いで、ボンヒを見つめ続けるジウク。
その夜、悪夢にうなされるジウク。

ジウクの首を絞めようと両手を伸ばして近付いてくる男の姿。
その顔を見ようとした瞬間!男の姿はボンヒに変わって…

驚いて飛び起きるジウク。
そこには大きな枕を抱えたボンヒが立っていました。
うなされているジウクに手を伸ばそうとしていたボンヒは『だ、大丈夫ですか?』と、驚いています。
あまりに驚いたので何も答えられず、肩で大きく息をするジウク。
ジウクの隣に座って心配そうに見つめるボンヒに、やっとの思いで『ああ…だ、大丈夫だ。』と、声を絞り出します。
『ところで、いつからそこにいたんだ?』と、少し落ち着きを取り戻したジウク。
『ちょっと前から。』と、まだ心配そうに見つめているボンヒ。
『ああ…ちょっと前ね。』と、ジウクはボンヒが枕を抱えている事に気付きます。
じ~っとボンヒを見つめるジウクに気付いて、バツが悪そうに視線を逸らすボンヒ。
ハハッと笑って『何だ、これは?』と、枕を見るジウク。
『誤解しないで下さいよ!どこまでもノ弁護士さんの事が…ダーリンが悪夢にうなされて眠れていないんじゃないかと心配してそうなんじゃないですか。絶対にそういう事じゃないですから、そういう誤解はしないで下さい。分かりましたか?』と、慌てるボンヒ。
『ああ…よく分からないなぁ。そんなふうに睨んでも分からないなぁ。』と言うジウクに思わず笑ってしまうボンヒ。

『そうか。分かったよ。』と、つられてジウクも笑い出します。
『本当に大丈夫なんですよね?』と、心配するボンヒに、少し躊躇いつつも『ああ、大丈夫だ。』と、答えるジウク。
ジウクの腕枕でソファーに横になるボンヒ。

『ダーリンは、どうして検事になったの?』
『俺の父さんが検事だったんだ。』
『お父さんみたいになりたかったのね。』
少し間をおいて『ああ。』と答えるジウク。
『お父さんは自慢される事でしょうね。』
『さあね。よく分からないよ。』
その答えを不思議に思い、ジウクの方に体を向けるボンヒ。

『なぜですか?』と言って見つめるボンヒに何も答えられず『ボンヒ、お前は?お前はどうして弁護士になったんだ?』と尋ね返すジウク。
『ああ。私は…最初はある変態判事のせいで、運動もやめて勉強を始めたんだけど…。やってみたら、どうやら運命だったような気がしたんです。おそらく…私のお父さんのような人たちのために、弁護士になったみたいです。』
『そんな人たちって、どんな人たちなんだ?』
『私みたいな人たち。世の中全てから誤解を受けて悔しい思いをしている人たち。』
『世の中全ての犯罪者が…』と言いかけてやめるジウク。
『えっ?』
『いや…。いや、何でもない。』

怪訝そう見つめるボンヒを誤魔化すように抱き締めるジウク。
ボンヒもジウクの背中に腕を回して抱き締めます。

『ごめん。ごめんな、ボンヒ。』そう呟いて、ジウクはボンヒを強く強く抱き締めます。

*ボンヒが弁護士を目指した理由に「ある変態判事」と言っていましたが、この話は最初の方のエピローグにありましたね。日本でもよくある?コートの下は全裸の変態。ボンヒの目の前でコートを広げた変態でしたが、相手が悪かった!ボンヒにキックされて警察に連れて行かれた変態でしたが…実は力のある判事だったようで、ボンヒの話を信じようとしなかった警察。判事にペコペコする警察の偉い人を見て悔しがっていたボンヒでしたね。あの話がここで使われるとは思わなかった。
翌朝、ボンヒが目を覚ますと隣にジウクの姿はありませんでした。


何となく違和感を感じるボンヒ。
ボンヒより先に起きたジウクはジムで運動をしていました。
何をしていても、頭から離れる事のない悩み…。

今朝ずっと見つめていたボンヒの寝顔や…

炎の中で力尽きていく父の姿、そして幼いジウクを抱き上げてくれた優しかった父の事…そんな事を考えながら走り続けます。
ジウクが帰って来ると、台所で待っていたボンヒがお盆を持って駆け寄ります。

お盆の上にはオレンジ色の液体が入ったコップが載っています。
『体に良い物がぜ~んぶ入ってます。』と、得意気にお盆を差し出すボンヒ。
『ああ…。でも、これ…色がちょっと…
』と、警戒するジウク。
『健康的な色でしょう?』
『ああ、だから…確かなようだな。うん。』と、コップを取り上げて飲んでみるジウクですが…

一口飲んだ途端、わ~っ!と、口を押さえます
『ここに不眠症のお茶も入っているのか!?』
『入っていませんよ。』と、キョトンとするボンヒ。
仕方なくもう一度、飲んでみたものの…とても全部は飲みきれず『有り難う。ごちそうさま。』と言ってお盆にコップを戻すジウク。
満足げにフフッと笑って『じゃあ、モーニングポッポ(キス)
』と、ジウクにキスしようと顔を近付けるボンヒ。
反射的に一歩後ろに下がって、ボンヒのキスを拒否してしまうジウク。

ジウクの態度に驚くボンヒと、無意識にボンヒを避けてしまった事にジウクも驚いてしまいます。
慌てて『ああ。俺、今…汗の匂いがすごくしてるから。すぐシャワーして来るよ。』と、言い訳して行ってしまうジウク。
お盆を持ったまま、その場で呆然とするボンヒ。
『それでも良いのに…。何だろう?』と、二階のジウクの部屋を見上げます。
部屋に入ったジウクはソファーに座り、溜息をついて頭を抱えます。
まだ、ボ~っとしてその場所に立っているボンヒ。
『もしかして、まずくて怒ったのかな?』と、残っていたジュースを飲んでみます。

飲んだ瞬間、ビックリ
『うわっ!まずくて飲めやしない!怒って当然よね。うん、そうよね。そうよ、だからそうなのよ!』と、自分に言い聞かせるボンヒ。
ボンヒがかわいそう
ここで、ユジョンとジヘが同じマンションに住んでいることが発覚する場面があるのですが…ストーリーにあまり関係なさそうなのでカットします
検察で見かけたユジョンが追いかけていた男の事が気になるウニョク。
どこかで見たような気がするけれど、どうしても思い出せないようです。

事務所の中をブツブツ言いながら歩き回るウニョクを不思議そうに見ているパン係長とボンヒ。
『ちゃんとやれよ、チ弁護士!ホントに!』と、イライラして怒るジウク。
『ここの所ずっとこうなんですよ。誰だか分からない誰かを探してるんですよ。』と、パン係長。
ジヘが男の事を「放火犯」と言っていた事を思い出し『放火犯…放火犯…』と呟くウニョク。

その言葉を聞いて『ああ!そう言えば、カン・ソンイルさんの事件の目撃者…』と、言いかけたボンヒの言葉にピン
とくるウニョク。
『ウン弁護士!ああ、俺ホントにウン弁護士の事がすごく好きだ!』と、大喜びで自分の席に戻ります。

机の上に置かれた資料をめくって『誰だか見つけた!イ・ジュネさんだ!』と、顔を輝かせるウニョク。
『お願いしたい事があるんです。個人的な事で。』と、言い辛そうにするジウクを見て『個人的な事ですか~。お二人の婚姻届けですか?』と笑うパン係長ですが、真面目な顔のジウクを見てすぐに『すみません。面白くないですね。』と、態度を改めます。
『僕の両親の事故について知りたい事があるんです。その事件の状況やでなければ…』と、言葉をためらうジウク。
パン係長も真剣な顔でジウクを見つめます。
『でなければ…犯人の事なんかを。そんな所です。』
『なぜ、突然そんな事を?』
『何となくです。突然。』と、誤魔化すジウク。
『分かりました。出来るだけ早く…』と言うパン係長の言葉を『いや、いや…。ああ、そこまで急ぐ必要はありません。その…急用じゃないから、ただゆっくり…ゆっくり、調べてください。』と、遮ります。
『はい。分かりました。』と、それ以上は何も尋ねる事はせずに部屋を出て行くパン係長。
パン係長がいなくなると、ソファーに座って考え込むジウク。
それから、落ち着かないのか事務所中を念入りに掃除し始めるジウク。

掃除が終わると冷蔵庫を開けて中の物を全部取り出して片付け、それが終わると食器を全部磨き始めます。
事務所で、何やら悩んでいたウニョクが顔を上げると目の前にジウクが立っています。
『どうした?』と、驚くウニョク。
『ただ、見てるんだ。お前は何してるんだ?』
『俺は仕事してるんだ。何だよ?』
『ああ、仕事してるのか。手伝ってやる!手伝えって言ってただろう?複雑なのでも良いし、単純なのでも良いぞ。ただ、俺が今、考え事をしたくないから、時間を潰せる事なら何でもいい。手伝ってやる。』と、突然のジウクの申し出に驚くウニョク。
『どうしたんだ急に親切になって!?まあ有難いけど、無いぞ。』
『無いのか?』と、ガッカリするジウク。
『ああ。お前が嫌いな書類整理があったけど、ほとんど終わったし。刑事事件は…それは、俺がこの前話した火事の上訴審の事件しかないぞ。』
その言葉を聞いて返事に困るジウク。
『有難いけど、気持ちだけ受け取るよ。』と、仕事を始めるウニョク。
少し考えて『やるよ!その事件、俺がやる。』と言うジウク。
『火事の事件だぞ、ジウク!?』と心配するウニョク。
『いや、大丈夫だ。俺が検事時代に火災の事件を受けなかったわけでもないし。ああ、できるみたいだ。できるはずだ。大丈夫だ。手伝ってやる。』
『お前、本当に大丈夫なのか?』と、確認するウニョクに『ああ。』とジウクが答えている所にボンヒがやって来ます。
『一緒にやりましょう、ノ弁護士さん。私もお手伝いします。』と言うボンヒに慌てるジウク。
少し躊躇って『大丈夫なのか?』と尋ねるジウクに頷くボンヒ。
ウニョクは黙って書類をボンヒに渡します。
書類を受け取りジウクを見て微笑むボンヒに、困ってしまうジウク。
ウニョクはジウクとボンヒに事件の詳しい経過を説明しています。

『カン・ソンイルさんが有罪判決を受けた理由は、殺人動機、状況証拠、目撃証言のためだ。』と、ウニョク。
火事で亡くなったチェ・ソンウに娘を轢き逃げされたソンイルは『このままでは済まさないぞ!娘の恨みをはらしてやる!』と、ソンウを脅迫していた経緯があったようです。
そんな事があって警察がソンイルに目をつけていた所、火事でソンウが亡くなってしまった。
『それで今、カン・ソンイルは「俺は無実だ、無罪だ」と、こう主張しているんだな?』と、確認するジウクに『そうだ。』と答えるウニョク。
同じ頃、イ・ジュネの自白からソンイルの事件に辿り着いていたユジョンは、この事をジヘに相談していました。

事件を追及しようとしているユジョンを心配するジヘ。
検事長も望んでいないのに検察の失態を暴いたりしたら、かつてのウン・ボンヒ事件の時のノ・ジウク検事のようになる…と。
ジヘの言葉に何も言えなくなるユジョン。
自分の部屋で、事件の資料を見ていたジウク。
仕事をしているからとボンヒ父の事を忘れられるはずも無く…疲れたように目を閉じます。

そこへ、事件の事でジウクに話をしにやって来たボンヒ。

『ノ弁護士さん…』と、声をかけようとして、眠っているジウクに気付きます。

そ~っとジウクの横にしゃがんで、その寝顔を見つめます。
資料を床に置き、ジウクの顔に手を伸ばすボンヒ。
ジウクを見つめながら優しく髪を撫で…

その指先が触れないように、ジウクの鼻筋や唇をなぞり…最後にその頬にそっと手を当てます。
頬から手を離したボンヒはジウクの寝顔を見つめながら『信じられないな…私の男だって事。』と、呟きます。
ジウクが起きないように静かに部屋を出て行くボンヒ。
ボンヒが出て行ってしまうと、そっと目を開けるジウク。

眠っていなかったジウクは辛そうに、何度も何度も溜息をつきます。
車で事務所に帰る途中のパン係長。
一瞬、助手席に視線を落とし、暗い表情になります。
助手席のシートには封筒が置かれています。
事務所に戻って来るとすぐ、パン係長はジウクに封筒を渡します。
何も言わず封筒を渡すパン係長と、黙ってそれを受け取るジウク。
ジウクは自分の部屋で封筒の中から書類を取り出します。
書類には放火犯の写真が添付されていました。
それは間違いなく、ボンヒの部屋にあったボンヒ父の写真と同一人物です。
恐る恐る書類をめくるジウク。
「火災事件 死亡者身上情報」と書かれた書類にはボンヒ父の名前や年齢…そして、家族の名前が。
死亡者の名前はウン・マンス。娘の名前はウン・ボンヒ。

今まで疑惑だったものが真実へとその形を変えてえ行きます。
「火災証明願」の書類には担当検事チャン・ムヨン(検事長の名前)の文字が。
当時の新聞記事のコピーには『報復放火で検事夫婦残念ながら死亡』と…。
書類を見ているジウクの目に、涙が溢れ出します。
手から離れた書類が、テーブルの上で乾いた音を立て…

両手で顔を覆って涙を流すジウク。
その時、パン係長がやって来た気配を感じ、ジウクは慌てて涙を拭って立ち上がります。
『申し訳ありませんが、ファイルを…見ました。』
『ああ…そうだったんですか?』と、平静を装うジウク。
『ウン弁護士さんの父親が、そうでしょう?加害者ウン・マンス。』と、静かに尋ねるパン係長。
『はい。ああ、でも気にしません。ウン・ボンヒが直接そうしたわけでもないし…時代が時代なんだから、連座制もあるまいし。ウン・ボンヒとは…何の関係もない事じゃないですか。そうでしょう?』と、同意を求めるようにパン係長を見つめるジウク。

何も答えずジウクを見つめるパン係長。
『ウン・ボンヒとは…本当に何も…関係の無い…事じゃないですか、パン係長さん。そうでしょう?』と、もう一度すがるように尋ねるジウク。
『ああ…。』とだけ言って、少し頷き微笑むパン係長。
それに答えるように、係長に微笑み返すジウク。
『皆さん待っておられますよ。』
『ああ、はい。すぐ行きます。』
ジウクの返事を聞いて部屋を出て行くパン係長。
パン係長には関係ないと言ったものの…そんなに簡単に割り切れるものなのか?
またソファーに座り、考え込んでしまうジウク。
ジウクが階段を下りて行くと、皆が楽しそうに話をしながらピザを食べていました。

階段の途中で足を止め、その光景を眺めるジウク。
明るく笑うボンヒの笑顔を見ているうちに、ジウクも自然と笑顔になります。

でも、ボンヒの幸せそうな笑顔を見れば見るほど、現実はジウクの心に重くのしかかり…

やり切れない思いで、ボンヒを見つめ続けるジウク。
その夜、悪夢にうなされるジウク。

ジウクの首を絞めようと両手を伸ばして近付いてくる男の姿。
その顔を見ようとした瞬間!男の姿はボンヒに変わって…

驚いて飛び起きるジウク。
そこには大きな枕を抱えたボンヒが立っていました。
うなされているジウクに手を伸ばそうとしていたボンヒは『だ、大丈夫ですか?』と、驚いています。
あまりに驚いたので何も答えられず、肩で大きく息をするジウク。
ジウクの隣に座って心配そうに見つめるボンヒに、やっとの思いで『ああ…だ、大丈夫だ。』と、声を絞り出します。
『ところで、いつからそこにいたんだ?』と、少し落ち着きを取り戻したジウク。
『ちょっと前から。』と、まだ心配そうに見つめているボンヒ。
『ああ…ちょっと前ね。』と、ジウクはボンヒが枕を抱えている事に気付きます。
じ~っとボンヒを見つめるジウクに気付いて、バツが悪そうに視線を逸らすボンヒ。
ハハッと笑って『何だ、これは?』と、枕を見るジウク。
『誤解しないで下さいよ!どこまでもノ弁護士さんの事が…ダーリンが悪夢にうなされて眠れていないんじゃないかと心配してそうなんじゃないですか。絶対にそういう事じゃないですから、そういう誤解はしないで下さい。分かりましたか?』と、慌てるボンヒ。
『ああ…よく分からないなぁ。そんなふうに睨んでも分からないなぁ。』と言うジウクに思わず笑ってしまうボンヒ。

『そうか。分かったよ。』と、つられてジウクも笑い出します。
『本当に大丈夫なんですよね?』と、心配するボンヒに、少し躊躇いつつも『ああ、大丈夫だ。』と、答えるジウク。
ジウクの腕枕でソファーに横になるボンヒ。

『ダーリンは、どうして検事になったの?』
『俺の父さんが検事だったんだ。』
『お父さんみたいになりたかったのね。』
少し間をおいて『ああ。』と答えるジウク。
『お父さんは自慢される事でしょうね。』
『さあね。よく分からないよ。』
その答えを不思議に思い、ジウクの方に体を向けるボンヒ。

『なぜですか?』と言って見つめるボンヒに何も答えられず『ボンヒ、お前は?お前はどうして弁護士になったんだ?』と尋ね返すジウク。
『ああ。私は…最初はある変態判事のせいで、運動もやめて勉強を始めたんだけど…。やってみたら、どうやら運命だったような気がしたんです。おそらく…私のお父さんのような人たちのために、弁護士になったみたいです。』
『そんな人たちって、どんな人たちなんだ?』
『私みたいな人たち。世の中全てから誤解を受けて悔しい思いをしている人たち。』
『世の中全ての犯罪者が…』と言いかけてやめるジウク。
『えっ?』
『いや…。いや、何でもない。』

怪訝そう見つめるボンヒを誤魔化すように抱き締めるジウク。
ボンヒもジウクの背中に腕を回して抱き締めます。

『ごめん。ごめんな、ボンヒ。』そう呟いて、ジウクはボンヒを強く強く抱き締めます。

*ボンヒが弁護士を目指した理由に「ある変態判事」と言っていましたが、この話は最初の方のエピローグにありましたね。日本でもよくある?コートの下は全裸の変態。ボンヒの目の前でコートを広げた変態でしたが、相手が悪かった!ボンヒにキックされて警察に連れて行かれた変態でしたが…実は力のある判事だったようで、ボンヒの話を信じようとしなかった警察。判事にペコペコする警察の偉い人を見て悔しがっていたボンヒでしたね。あの話がここで使われるとは思わなかった。
翌朝、ボンヒが目を覚ますと隣にジウクの姿はありませんでした。


何となく違和感を感じるボンヒ。
ボンヒより先に起きたジウクはジムで運動をしていました。
何をしていても、頭から離れる事のない悩み…。

今朝ずっと見つめていたボンヒの寝顔や…

炎の中で力尽きていく父の姿、そして幼いジウクを抱き上げてくれた優しかった父の事…そんな事を考えながら走り続けます。
ジウクが帰って来ると、台所で待っていたボンヒがお盆を持って駆け寄ります。

お盆の上にはオレンジ色の液体が入ったコップが載っています。
『体に良い物がぜ~んぶ入ってます。』と、得意気にお盆を差し出すボンヒ。
『ああ…。でも、これ…色がちょっと…

『健康的な色でしょう?』
『ああ、だから…確かなようだな。うん。』と、コップを取り上げて飲んでみるジウクですが…

一口飲んだ途端、わ~っ!と、口を押さえます

『ここに不眠症のお茶も入っているのか!?』
『入っていませんよ。』と、キョトンとするボンヒ。
仕方なくもう一度、飲んでみたものの…とても全部は飲みきれず『有り難う。ごちそうさま。』と言ってお盆にコップを戻すジウク。
満足げにフフッと笑って『じゃあ、モーニングポッポ(キス)

反射的に一歩後ろに下がって、ボンヒのキスを拒否してしまうジウク。

ジウクの態度に驚くボンヒと、無意識にボンヒを避けてしまった事にジウクも驚いてしまいます。
慌てて『ああ。俺、今…汗の匂いがすごくしてるから。すぐシャワーして来るよ。』と、言い訳して行ってしまうジウク。
お盆を持ったまま、その場で呆然とするボンヒ。
『それでも良いのに…。何だろう?』と、二階のジウクの部屋を見上げます。
部屋に入ったジウクはソファーに座り、溜息をついて頭を抱えます。
まだ、ボ~っとしてその場所に立っているボンヒ。
『もしかして、まずくて怒ったのかな?』と、残っていたジュースを飲んでみます。

飲んだ瞬間、ビックリ

『うわっ!まずくて飲めやしない!怒って当然よね。うん、そうよね。そうよ、だからそうなのよ!』と、自分に言い聞かせるボンヒ。
ボンヒがかわいそう

ここで、ユジョンとジヘが同じマンションに住んでいることが発覚する場面があるのですが…ストーリーにあまり関係なさそうなのでカットします

検察で見かけたユジョンが追いかけていた男の事が気になるウニョク。
どこかで見たような気がするけれど、どうしても思い出せないようです。

事務所の中をブツブツ言いながら歩き回るウニョクを不思議そうに見ているパン係長とボンヒ。
『ちゃんとやれよ、チ弁護士!ホントに!』と、イライラして怒るジウク。
『ここの所ずっとこうなんですよ。誰だか分からない誰かを探してるんですよ。』と、パン係長。
ジヘが男の事を「放火犯」と言っていた事を思い出し『放火犯…放火犯…』と呟くウニョク。

その言葉を聞いて『ああ!そう言えば、カン・ソンイルさんの事件の目撃者…』と、言いかけたボンヒの言葉にピン

『ウン弁護士!ああ、俺ホントにウン弁護士の事がすごく好きだ!』と、大喜びで自分の席に戻ります。

机の上に置かれた資料をめくって『誰だか見つけた!イ・ジュネさんだ!』と、顔を輝かせるウニョク。
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今回は何だか中途半端なところで終わりました。
2話連続放送だからこういう時もありますね

会話が少なめだったので連日のUPです。
明日はパソコンの前に座る時間が無さそうなので、ちょうど良かった

「ボンヒは関係ない」と頭では分かっていても、気持ちがついて行かないジウク。
一夜を共にした直後から変わってしまったジウクの態度に、ボンヒは訳が分からず不安でしょうね

ボンヒがかわいそう

長文を最後までお付き合い頂いて有り難うございました

画像お借りしました。