今日は12月の自身のリサイタルプログラムのコンセプトについて、少し語ってみたいと思います。
ズバリ、一言で言ったら
「別れ」
となります。核となるのは、ショパンのマズルカop.59 「3つのマズルカ」です。
実は、こちらの曲、一曲目イ短調を2019年に弾き始めたのですが、ちょうどその年の10月に私の母が82歳で亡くなりました。
ずっと元気だけが取り柄の明るい性格の母でしたが、最晩年に肝臓を患い、急速に悪化しました。ずっと1人で暮らせていましたし、病院に入院したのは最後の3週間だけ、、
あっという間の出来事でした。
ショパンのマズルカ作品59-1を深めて弾くほどに、母の死と被る内容と感じて、この曲をこの時期にちょうど弾いていた因果を感じずにはいられませんでした。
そんな理由で、私にとって、このマズルカは特別な意味を持つ曲となったのでした。
その後も、ショパンの作品、いろいろと弾きましたが、特にショパン晩年期の作品からは、いわゆる「哀別」や「天国」などを連想させられる雰囲気を感じ、プログラムがつながって出来上がっていきました。
リサイタルの時期が12月、クリスマス🎄シーズンということもあり、バッハのクリスマスにちなんだ作品を二曲、それから、バッハ=ブゾーニのシャコンヌを第一部で演奏します。
バッハのシャコンヌd mollは、名作中の名作ですが、バッハが初めの奥さんを亡くした年に作曲していますし、d mollでこの曲想ということは、かなり強いメッセージを感じずにはいられません。
そして、第二部はオールショパンです。
「別れ」をテーマに晩年作品をメインに構成しています。
人の死は、特に近しければ近しいほど、そのことに向き合って理解するのに時間がかかるようです。
私の場合は、3年くらい経ち、ようやく最近、整理ができてきたように思います。
そのタイミングで、というか、一区切りとして、このようなプログラムを構成できたことを感謝しています。