横尾の山にも、春が訪れ、

次々と色鮮やかな花が咲き誇っております。

でも、まだ朝晩は肌寒いですね。

 

去る3月28日(日)、無観客、規模縮小での

人形供養を開催をいたしました。

 

昨年は中止にしましたが、

さて今年は中止か、延期か、開催か、

実行委員会の方々と、何度も協議した結果、

まずは感染予防を第一に考え、三密を避けるため

無観客そして規模を縮小して、

人形供養する運びとなりました。

 

例年ならば、

供養祭を盛り上げる賑やかな子供行列、

我が子の晴れやかな姿をカメラで納める親御さん、

そして、祀られている人形の姿を撮る写真家や参詣者、

毎年、事前準備や当日の供養祭に

ご奉仕をしてくださる檀信徒さんが・・・。

 

しかし、今年はその光景もありませんでした。

ご奉仕くださる檀信徒さんでさえ、

密にならないよう最小限の人数で開催するしか

方法はありませんでした。

 

そして、もう一つの問題なのが、

人形を保管する場がなくなったことでした。

 

昨年分の人形がまだ倉庫に納まっている上に、

コロナ自粛で家の中や倉庫を整理する機会が

増えたせいか、例年より多くの人形が集まり、

当院の倉庫では収まりきれなくなりました。

近隣の寺院である光明院さん・安楽院さんに

ご相談したところ、静円寺の薬師堂の使用を

快く承諾して頂きました。

 

お預かりした人形の抜魂供養した後は、薬師堂に運び、

その繰り返しはさすがに体に堪えましたが、

お薬師さんのもとで、人形たちを見守って頂いていると、

おかげで安心して、保管することができました。

 

毎日のように増え続ける新型コロナウイルス

感染者数に怯え続ける日々が不安になり、

寝付けない日も続き、コロナ禍での開催は

自分の判断が果たして正しいのか?

自問自答しながらも毎日、本尊さんに向かい

『どうか、人形供養祭開催に携わる方々が

感染しませんように、無事に終えるように』と

すがる思いで、お祈願をしました。

 

人形供養の事前準備では、

地区の総代、役員、檀家さん、婦人部、実行委員の方々と

ともに境内の設置と人形の段飾り、陳列をしました。

 

 

コロナ禍でも準備のご奉仕にお越しいただき、

また、お仕事をされている方も

わざわざ有給休暇を取られたり、

なかには準備後にお仕事に向かわれる方も

いらっしゃいました。本当にご奉仕して下さる皆さんの

お気持ちが有難く、すごく勇気づけられました。

やはり、どんな形でも

この供養祭は続けていかなければいけないんだと。

 

長年、続けることができたのも、

地蔵院の檀家さんや地元の方々、近隣のお寺さんの

絆のおかげだと、心から感謝いたします。

 

細心の注意を払いながら、感染予防対策を行い、

着々と、準備を進めていきました。

最小限のお飾りと陳列で、

予定通り午前中にすべての準備がおわりました、

いつもなら、午後まで準備が掛かっていましたが、

規模縮小で準備する時間も短く済み、

あとは無事に当日の供養祭を迎えるのみでした。

 

今年は、桜が満開で人形と桜がよく映っていました。

今回のような満開の桜の下での供養祭は、

過去36年間でたった2回だけでした。

かなりレアなことなのに、

無観客はちょっともったいない気がしましたが、

何よりも感染予防が第一ですから、仕方ないです。

 

 

ちなみに、人形供養祭開催の日には晴れた日が少なく、

曇りや雨の日が多く、人形泣かせでもあります。

天気予報では、28日は雨の予報で、

しかも降水確率が90%。

前日に、実行委員さんに来ていただき、

境内にテントを設置してもらいました。

「明日は大雨じゃな、長靴とカッパを着用しなおえんな」

とか、「大雨ならお焚き上げを中止じゃろか?」など、

皆、苦笑いをしながら覚悟していました。

 

夕刻、本堂にて、人形の抜魂供養のあと、

境内に出て、淡島様のお社に向かい

『明日はどうか、雨が降りませんように、

せめて供養が終わるまでは雨が降りませんように』と

清酒と塩を供え、願掛けをしました。

 

しかし、その晩から大雨となり、雨音がますます

不安をあおり、なかなか寝付けませんでした。

 

そして迎えた、3月28日。

異例の無観客・規模縮小による人形供養が始まります。

 

大雨から一夜明けると、なんと雨が上がっていました。

淡島様のおかげはすごいなと、備え付けてある本坪鈴を

何回も鳴らして、嬉しさを表現していました。

 

実行委員の方々も徐々に集まり始め、

雨が上がったことに大いに驚き、

「ご本尊さまと淡島様のお力じゃな」と

口々に会話しながら、早速、傘を置いて

それぞれ準備に移りました。

 

その後、光明院さん、安楽院さんも集合し、

午前9時より本堂にて、供養が始まりました。

 

 

本堂の供養が終わり、

いよいよ人形のお焚き上げの儀式です。

 

 

お清めの塩、浄水で人形と道場を清め、

気持ちも高ぶっていきます。

集いし人形の御魂を、仏の世界へ戻るよう念を入れ、

太鼓と錫杖リズムに合わせて

精神統一し、般若心経を唱えがら

護摩壇に次々と抜魂した人形を投げ入れていきます。

 

 

実行委員の方々も手を合わせ、全員で

人形の供養のため、般若心経を唱えていると、

炎は不思議とまっすぐに上り、

まるで昇天する勢いで燃え上がります。

 

そして、淡島様にお祀りしている

人形の魂を移し込まれた護摩札を手に取り、

一つ一つ、人形の持ち主の名を挙げながら

護摩壇に投入いたしました。

 

 

その頃になると火の勢いも収まっていき、

すべての人形の護摩札の投入を終えると、

再び小雨が降りだしましたが・・・、

最後に淡島様と人形塚に拝礼し

人形供養を無事に終えることができました。

 

2年分の人形を供養して、やっと

肩の力が抜けました。

 

コロナ禍でありながらも、

協力して頂いた総代さん、檀家さん、

また準備のためご奉仕でお越し頂いた檀家さんには、

心よりい感謝申し上げます。

 

今回も人形供養を無事に開催することができたのは、

檀家さん、地元・業者の方々の

ご協力の賜だと、誇りに思っております。