「体重減ってきたわ」
主人は2年半前、癌の手術をしてから、いっきに15キロほど落ちた。同僚や友人は哀れんだような目で彼を見ていた。
しかし、食欲旺盛な主人は半年でもとに戻った。
周りは「治ったのでは」と思ったようだ。
主治医は、タバコこそ止めろと言ったものの、好きなものを食べろと言った。肝臓の数値もよくなかったが、内科医も「抗ガン剤をするためには食べてください」と言っていた。
彼には食事制限が一切なかった。
夜中であろうが、食事を作っている時もムシャムシャ常に何かを食べていた。体重も98キロ。無理矢理食べて維持しているかのような食べ方に恐ろしさを感じたが、それが主人なのだと思った。
今年のはじめ、主治医は「年内かもしれない」的な話をしていたが、彼はまだ仕事もしているし、冗談も言いながら外食にもいく。
そんな彼が今日
「体重減ってきたわ」
と90キロになったことをつぶやいた。
そういわれてみれば、間食してない。健康的な食生活に戻っただけなのだが、彼のトレードマークが少しずつ無くなってきたように感じた。
不安だったが年賀状も作った。色んなことが口に出せないだけで、先を推測しながら生活するのはつらい。今日は久々に風呂場で泣いてしまったが、主人もどこかで涙しているのだと思う。
夫婦はだんだん似てきますからね。。