小沢健二「LIFE再現ライブ」 | 今酔の肴

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小沢健二「LIFE再現ライブ」、このライブが開催される情報を知ったのはJ-WAVEで流れてきたチケット先行告知だった。 

自分の仕事柄、その日にJ-WAVEが聞けたのはラッキーだったと思う。

そのライブのチケット先行は直ぐに応募した(落選した)

その後何度もチケットに落選した(何度も落胆した)

 

そもそも忙しさで一次選考の情報を見逃していた自分が悪い。

いや、ツイート(ポスト?)を間引くイーロン・マスクが悪い。

それでも自分にとっては、何だかんだTwitterが最高の情報収集ツールなのです。

でも結局イーロン・マスクが悪い。

 

イーロン・マスクのせいにするな!

忙しさっていうのは人をおかしくします。

人の生活をおかしくするんです。

 

小沢健二『LIFE』が発売されてから30年。

あの頃ライブの情報を知るっていうのは、雑誌『ぴあ』やファンクラブの会報が主だった。

SNSも無かった。インターネットも無かった。

 

情報も無かった。お金も無かった。

自分のお金でライブに行った事も無かった。少ないお小遣いで買えるのはアルバムでは無くシングルCD(短冊)だった。

 

当然あの頃の小沢健二のライブには間に合わなかった。

それが30年後の2024年8月31日にライブが観れる。

 

お小遣いをやりくりして短冊CDを購入していたあの頃とは、もう違う。

個人売買も無かった。中古屋も周りには無かった。

 

今は多少無理をすれば、大人の力(金)で簡単にチケットは手に入ってしまうんです。

それぐらい自分には昨日のライブが重要だったのです。

 

九月の繁忙期前倒しで忙し過ぎた八月の最終週。

天気予報と毎日にらめっこしていた八月の最終週。

 

ライブ当日、九段下駅に降りた瞬間に雰囲気がもう違っていました。

【ボーダー柄の人を見失ったら進めなくなるゲーム】を勝手に開催し、そのまま無事日本武道館にゴール。

自分より人生の先輩達が、至る所で繰り広げる幸せそうな顔。

 

そもそも、このライブ自体がもう頭がおかしい出来事なんですよ。

30年前にスタジオ録音されたアルバムを生バンド(ほぼオーケストラ)で再現するという。

 

そして演者も頭がおかしけりゃ、客も頭がおかしい。

台風で公共交通機関が止まっているのに、全国からおじさま・おばさま・息子・娘達が集結している訳なんです。

 

そんな悪天候なか日本武道館はほぼ空席なし。

期待が期待という言葉以上の何かに包まれ、ライブが始まりました。

 

ちなみにここから普通の人は詳細なレポートをあげるんだろうけど、自分はそういうの無理です。

それは、そういう感情では見ていられなかったからです。

 

どこから書きましょうか?

まずは『流星ビバップ』ですかね。

 

ライブ後半でアルバム『LIFE』を完全再現するこのライブ。

正直前半には期待していなかった自分が居ました。

その気持ちは直ぐに打ち砕かれました。そして『強い気持ち・強い愛』で壊されました。

 

正直『強い気持ち・強い愛』に何も思い入れは無いはずなのに、何故か涙が止まりませんでした。

時間という概念が感情に影響するって言うのは、こういう事なんだと思いました。

 

そして『大人になれば』、この曲は大好きです。

この辺りから自分が何故、ソウル・ジャズ・ワールドミュージックが好きになったのかが解ります。

それは「小沢健二とピチカート・ファイヴを好きになったからだ!」

 

そして、そして『ぶぎ・ばく・べいびー』

この辺りから自分が何故、ヒップホップを好きになったのかも解ります。

それは、あの頃「スチャダラパーとEAST ENDに出会えたからだ!」

 

この辺りでもう気持ちがティーンになっているというか、ティーンの頃の自分に戻っていたんですよね。

当時、田舎でモヤモヤしていた自分にはその辺の音楽っていうのは憧れだった。

都会への憧れ、東京への憧れ、文化への憧れ。

そんな気持ちを抱えたまま『LIFE』パートに入ります。

 

正直、一日経った今では、もうその辺りの記憶が無いんです。

あれは夢だったんじゃないか?そう思ったりもします。

 

「なんで会場全体でこんなに歌えるの?」

そんな誰でも言える簡単な感想しか今は書けません。

 

自分も含め両隣の知らない人がテンション上がり過ぎ、結果的に席が一つずれていました。

これは自分にしか言えない感想なのかもしれません。

そんな感想でもありきたりに過ぎません。

 

でも、思い出しました。ある曲であの頃の自分にまた戻ってしまいました。

これは自分にしか書けない感想(思い出)なのかも知れません。

 

『ドアをノックするのは誰だ?』のシングルに収録されていた『ドアをノックするのは誰だ? (ドアノック失敗!)』。

何でこの曲(曲ですらない)を何回もリピートして聞いていたかは、あの頃の自分に聞いても、今の自分に聞いても答えはきっと出ません。

 

自分、『LIFE』の中では『ラブリー』が一番好きだと30年間思っていたんです。

そもそも小沢健二を好きになるきっかけが、『ラブリー』をラジオで聞いたからだったと思います。

『ラブリー』も『ドアをノックするのは誰だ?』も両方短冊シングルで購入し、何度も聞いていました。

 

それでも30年、29年?後に気づかされたんです。

もしかしたらドアノックが一番好きかも?

 

ドアノックの元ネタ

Eric Kaz 『Come With Me』はレコードで持っている

 

Jackson5 『 I will find a way』もレコードで持っている

 

ラブリーの元ネタ

Betty Wright 『Clean Up Woman』も勿論レコードで持っている

 

なるほど、自分が渋谷系と言われる音楽の元ネタレコード掘るのをを始めきっかけも小沢健二だったんだ!

渋谷の宇田川町に入り浸ってレコードを買い漁っていたのも小沢健二がきっかけだったんだ!!

学生時代に渋谷系残党を豪語し(それは今でもかな?)、DJなんてしていたのも小沢健二がきっかけだったんだ!!!

 

自分の思い出話はどうでもいい、今は本当にどうでもいい。

ライブの感想に戻りましょう。

 

本当に記憶が無いんです(円盤出してください)

もう一度言います。収録していたらしいじゃないですか?(円盤を出してください)

 

文字にするとあっという間のラスト曲、『愛し愛されいきるのさ』

そして、ステージが明るくなってからの、小沢健二たった一人だけの。『愛し愛されいきるのさ』

予定調和のアンコールなんてやらせないタイミングでの『愛し愛されいきるのさ』

 

その後10秒カウントダウンして暗転からの言葉

 

 

「昨日の武道館の帰り道の匂いが今でも匂う」というツイートを見かけた。

自分もライブ後なぜか急に嗅覚が鋭くなった。

それが昨日のライブのせいなのか、疲れによる新たな能力の覚醒なのか、たんなる病気なのか、それは解らない。

大人は色々ある。

 

昨日のライブを今の今まで引きずった24時間。

それもコレを書き終えたら終わり。

ぼくらは旅に出る。

生活に帰ろう。

 

明日九月一日からは繁忙期。

それでも生活に帰ろう。

日付も変わる。早く生活に帰ろう。

 

何かをリセットする。本来、ライブって言うのはそういう物。

非現実を味わう物。非現実を味わせてくれる物。

それがライブ(エンターテインメント)。

翌日には寂しいという気持ちに変わってしまうけれども、現実があるから非現実を味わえる。

 

今は日曜日の夜。

思い切って自分の生活に帰ろう。

 

ありがとう。

小沢健二「LIFE再現ライブ」。本当にありがとう。

このまま夢に出てこなければ、自分は生活という場に帰れます。

 

 
さぁ、生活の場に帰ろう。
 
改めて30年。
えっ、30年!?
自分も大人になった

 

夢で見たよな 大人って感じ? ちょっと判ってきたきたみたい。

音楽の歌詞に重点を置かない自分だけれども、今日はこの曲が心に刺さる。

 

本当に大人になっているのかな?いや、子供のままでもいいや。

今夜は生活の場に帰ろう。

そう思う自分がここに居ました。

 

いま聞いている音楽で、30年後にまた聞きたい音楽なんてあるのかな?

そんな音楽なんてあるのかな?無いのかな?

そういう音楽にはこれから出会えないかもしれないけれども、音楽は自分にとって旅路。

 

人生の選択を迫られた時、心をリセットしてくる音楽。

それが『LIFE』なんだな。

 

そう改めて思った。思わせてくれたライブだったな。

なんて思ったりもします(照れくさい文章だよ、まったく。)

 

【※追記】結局、翌日朝の通勤でも小沢健二を聞いていました。

簡単には生活の場に帰れません。