植え返したら遠隔がいいな。遠すぎるから。 | 心臓病(植込み型除細動機)の私の生活

心臓病(植込み型除細動機)の私の生活

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ケータイの電磁波が「心臓ペースメーカに悪影響を与える…」と大騒ぎしていたのは、もはや“昔の話”になろうとしているのかもしれない。心臓ペースメーカの老舗であるメドトロニック社の日本法人を訪問する機会があり、最新の心臓ペースメーカの事情を伺うことができた。その技術や機能に驚かされるばかりだったので、本稿にてご報告しておこう。

 メドトロニック社の歴史は古く、世界初の電池式体外型心臓ペースメーカ開発者でもあるアール・バッケン氏により1949年、米国ミネソタ州ミネアポリスで設立された。医療機器の修理請負から医療機器の販売・修理へと事業を広げ、生体工学技術を応用した数々の先端医療技術を提供している企業である。世界120以上の国々で250を超える製造施設、営業所、研究施設、教育施設等を構える国際医療機器企業で、心臓ペースメーカに関しては世界最大シェアを誇っている。

 一口に心臓ペースメーカといっても、色々ある。心臓ペースメーカは、一般的に徐脈(心拍が遅すぎる状態)の治療を目的に、心臓をモニターし患者の心拍が遅すぎる場合に電気刺激を与えることで心拍を適切な状態に調整する植込型の医療機器である。心臓(心室)を左右からほぼ同時に電気刺激して動きのバランスを取り戻し、心臓の機能や症状を改善するCRT(心臓再同期療法)や、心室頻脈や心室細動など致死的不整脈を感知し、電気刺激を送るICD(植え込み型除細動器)、さらにCRTとICD機能を備えた、CRT-Dなどもある。

 これら植込型ペースメーカは、ケータイ端末よりも二回りぐらい小さいサイズで、これを鎖骨の下部の皮下などに植込む。本体にはバッテリーが内蔵されており、心臓を刺激する電気信号を送出するというのが当初のペースメーカであったが、昨今のそれはもはや小型の“コンピュータ”と言えるほどの機能を備える。実際に心臓ペースメーカ(CRT-Dなど)は心臓の状態を常時監視しているわけである。もし不整脈を検知した場合は電気信号を心臓に送るわけだが、心調律の監視をしている訳だから、心臓に関する情報もペースメーカ内に情報として蓄積することが可能になった。

 心臓ペースメーカを装着している患者は、3~4カ月おきに外来にて機器の状態をチェックする必要があるのだが、ここで心臓ペースメーカに蓄積された情報の読み出しも行われる。本来、この定期検査では、ペースメーカの電池電圧、リードの状態など、機器のチェックを目的とした診察を行うのものだが、同時に心臓ペースメーカに蓄積されている不整脈イベント、心不全診断情報なども読み出される。もはや、心臓ペースメーカは、“患者の心臓を中心に健康状態をモニタする電子機器”へと進化を遂げているのだ。

 この“3~4カ月おきの外来受診”というのは、患者の命に関わる機器のチェックというわけで重要なものではあるが、当然手間もかかる。ICD、CRT-D植込患者数も年々増加し、来院する患者数も増加をたどっている。医療従事者はチェックに携わる時間が長くなる一方、現場ではスタッフの確保がますます難しい状態となっているのだ。患者も外来での待ち時間が長くなるし、またペースメーカ植込患者の高齢化も進んでおり、来院の際に付き添いが必要になるケースも出てこよう。なんとか、この「来院の手間」を改善したいと考えるのは、医療機関側も、患者側も同じことである。

 これを解決するのが「通信技術」の有効活用だ。すなわち、心臓ペースメーカに通信機能を持たせ、ペースメーカに蓄積された情報を電話回線を通じてサーバに蓄積、これに医療機関がアクセスし問題がある場合は医師から患者へフィードバックする体制を作れば、医療機関側、患者側の双方に取ってメリットがある。そもそも、心臓ペースメーカ自体が“患者の心臓を管理するコンピュータ”といえるものになっているのだから、通信機能を持たせることで面倒な通院を最小限に抑えられる。

 そして実際にメドトロニック社の心臓ペースメーカは、通信機能を備えたペースメーカと、通信を通じて遠隔で必要なデータを医療機関がモニタリングするシステムをセットにし、患者の健康を見守る「ケアリンク」というサービスを提供してきた。具体的には、植込型ペースメーカに外部接続機能を持たせ、患者は自宅で専用の通信装置に定期的にケーブル接続し、ペースメーカ内に蓄積されたデータを吸い上げ、電話回線経由でケアリンクのサーバにデータを蓄積、これを医療機関で管理できるようにしている。このサービスはすでに世界の心臓ペースメーカ利用者に提供されているのである。

 このように、“コンピュータ”化し、“通信機能”までもを備えた心臓ペースメーカに、さらに“無線通信機能”が備わったものまで登場しているのだそうだ。

 前述の通り、心臓ペースメーカからデータを吸い上げ、そのデータを遠隔で送信できるサービスが提供されることで、これは医療機関にも患者にも大きなメリットを生み出した。さらに、最新のICD、CRT-Dには無線通信機能が備えられ、「蓄積されているデータを医療機関に送る」という操作までも自動化することが可能となった。すなわち、ICD、CRT-D等と専用のデータ受信装置(親機のようなもの)が近距離無線通信を行い、データのやり取りを行うのである。データ受信装置を電話回線に設置しておけば、心臓ペースメーカから吸い上げたデータを自動的にサーバに送信し、医療機関向けに情報を送出してくれるのである。

 定期的にデータを送信するタイミングをセットしておけば、自動的にその日時に無線通信機能が動作し、データを医療機関へ送出する。たとえばデータ受信装置を寝室に設置し、夜寝ている間に、自動的に通信機能を動作させデータを送出するような設定ができる。

 さらにこの無線通信機能は、定期的なデータ送信の他にも、心臓に異常が出た場合の緊急のアラートの送出も可能だという。心臓ペースメーカが常に患者の健康状態をモニタリングし、万が一の場合には医療機関へ通報を行うようなことも現実のものとなっているのだ。ちなみに、無線通信といっても、近距離の広帯域無線通信(専用のバンドがあるそうだ)なので、送信出力もごくわずかで人体の影響は無い。

 わが国では、どうも「無線通信」と「心臓ペースメーカ」が極めて相性の悪いものとして扱われている。とくにケータイの電磁波が心臓ペースメーカに「影響がある」とされ、心臓ペースメーカとケータイは22cm以上離して利用することと定められたのはすでに10年近く前のこと。その後、心臓ペースメーカも対策が講じられているし、ケータイ自体も通信方式の進化で、より電磁波の影響は少なくなった。心臓ペースメーカは定期的な交換が必要であり、仮に当時影響が出たであろう心臓ペースメーカのわずかの機種を使っていた患者も、もうほとんどが最新のペースメーカに交換されているはず。ちなみに日本メドトロニック社、副社長の大西昭郎氏は「少なくとも当社のペースメーカは過去にもケータイの影響は一切受けないので、患者さんには安心して利用していただきたい」と断言されていた。世間一般に大騒ぎするほど、心臓ペースメーカとケータイは危険な関係ではなくなってきているようだ。

 このペースメーカ自体に内蔵される無線通信機能とケータイとでは、電波の出力も周波数も全く別物ではあるが、少なくともペースメーカに無線通信機能を備えるという発想は、わが国では到底思いつかないアイデアではなかろうか。わが国ではどうしても「法規制されたものには触らない」ような習慣があり、心臓ペースメーカと無線通信が鬼門のように扱われるわが国で、こういったアイデアに目を向け、研究開発しようという芽はなかなか育たないようだ。

 ちなみに、日本メドトロニック社の最新のペースメーカでは、無線通信機能に加え、加速度センサーも備えられている。つまり走ったりするとその動きが検知され、心臓に与える電気信号のペースを早めるような機能も備えられている。加速度センサーといえば、筆者の日頃所持するケータイにも内蔵されて歩数計機能として活躍してくれているが、最近のペースメーカーにはこのようなアイデアも搭載されているのだ。


診療報酬の改定に伴い4月から改定したらしい。


一般社団法人日本不整脈デバイス工業会より

http://www.jadia.or.jp/


俺のICDはならないかな?


まだまだ先かな?


病院が遠すぎる。


でも、買い物が出来るのがうれしいな。