レッジョ・エミリア研修で、「レミダ」という場所を訪れました。

↑入り口はこのような感じ✨
レミダとは、レッジョ・エミリアのアプローチを広めるための財団「レッジョ・チルドレン」と、レッジョ・エミリア市、そして市内の工場から出される廃棄物を収集する会社とがコラボして設立した施設。

工場で捨てられる運命にあった廃材たちが回収されて〝素材〟として蘇り、ストックされ、市内の幼児学校や教育現場へと送られていきます。


↑ただ回収してストックするだけでなく、このように美しく陳列されます✨
もはや、「いらなくなったもの」には見えませんよね😳‼️

ここで重要なのは、「リサイクル」すなわち「使い終わったものを再び使う」というわけではないこと。新品の廃材…と言うと変かも知れませんが、ゴムの型を抜いた後のものや、洋服を仕立てる際に出た余りの生地などが集まってきます。

レミダはレッジョ以外にも世界各地に広まっているそう。地域の工事等から出されるものが集まるため、各地の地場産業を色濃く反映するようです✨
レッジョ・エミリアはMax Maraがあるため、生地や糸などが豊富にありました😊しかも、繰り返しになりますが工場から出る新品の廃材であるため、まだ市場に出回る前の最新トレンドの生地を使って、こどもたちは造形活動をすることができることもあるようです😳なんて贅沢な✨

ちなみにレミダの素材を得るためには、年間400ユーロを支払って会員になることで、自由に素材を持って行くことができるようになるとのこと。午後になると教育現場の方々が訪れて素材を持っていくそうです。
他には、来た人が折り紙(と言っても日本によくある正方形のものだけでなく、いろいろな紙が置かれています)で舟を作って並べることができるコーナーや、

いらなくなった本を一冊持ってきて、レミダにある好きな本と交換できる場などもありました😊
これは日本でもぜひやってみたい♫
このような企画展示は、もしかしたら都度変わるのかもしれません。


さらに、ワークショップも行なっているそうで、今回も私たち向けに開催していただけました✨

レッジョ・エミリア市から市立の園に向けて「こんなプロジェクトをやってみてください」という提案があるようで(プロジェクトとドキュメンテーションについては、また別の投稿にてまとめます)、今年は「広場(Piazza)」というテーマのもと、こどもたちが探究学習を行なっているそうです。

ワークショップでは、これにちなみ、映像資料を観てそれぞれが思い描いた「広場(Piazza)」のイメージを布地や糸を使って表現しました。のりを使うことができないため、接着方法も含めて模索していきます。
↑これが、私の作った作品💦
一緒に参加されていた方々が幼稚園や保育園でアートを教えていらっしゃる方や、アーティストさんだったため、かな〜〜〜り皆さんに比べてクオリティー的に低くなってしまいました😭

けれど不思議なもので、創作活動をしていると不思議と偶然の中でアイディアが湧いてくるもの💡
こちらのブログ(https://ameblo.jp/yokomeyagi19/entry-12377143161.html)で「Creative accidents」についてお話しましたが、作っているうちに
・あ、穴を開けて通した糸が蜘蛛の糸に見えてきた🕷
・時間がないから布をなにかの形に切れなかったけれど、それはそれで見立て遊びができる‼️

など、作品の捉え直しを都度都度行うことができました。

タイトルは「Move & Encounter」
蜘蛛=日本から来た異質な存在の自分が、広場を歩く。すると、緑(自然や安らぎ)ピンク(花、幸せ)オレンジ(太陽、温もり、人の温かさ)水色(噴水、空、雨、爽やかな気持ち)に出会えることができる。
さらに、鏡状の紙に縫い付けたため、そこに何かを映すことで、また新たな出会いがある…というテーマを持たせています😊蜘蛛を動かして遊ぶこともできます♫

たぶん、できた成果物のみを見て判断する結果主義、「できた・できない」という評価だと、この作品は「C」がつけられることでしょう。
見た目が微妙。写実的でもない。他の人と比べて明らかに残念。

でも、もしレッジョ・エミリアの園の先生方が私の制作過程を見たら、
・しばらく固まっていたけれど、黒い糸を見つけて動き出すことができた。
・黒いミシン糸では細過ぎたから、白い太めの糸を選ぶことができた。
・そこから蜘蛛というアイディアを得ることができた。
・蜘蛛の脚を取り付けるのに時間をかけていた。
・布を付ける中で、いろいろな見立てを閃き、「これは太陽であり、温もりでもあるんだ」などと呟いていた。

といったように、プロセスの中で何かを生み出していく姿をしっかりと捉え、それをその子の持っている力として肯定的に受け止めてくださることでしょう。

さて、そろそろレッジョ・エミリア・アプローチの核とも言えるプロジェクトドキュメンテーションについてまとめようかと思います。そうすることで、幼児学校の様子や、0歳〜誰でも来ることができる図書館・児童館的な施設であるオロロッジョを紹介する際に、その本質が少しずつ見えてくるのではないかと思います。

前回までに紹介させていただいた、マラグッツィ国際センター然り、レミダ然り、確かにレッジョ・エミリアの施設は内外ともに、ものすごく美しいです✨
でも、その表面だけ捉えて「わぁ、設備が整っていてすごい‼️」というようにしか見れないと、結局「日本では無理だ。レッジョはいいなぁ〜」という〝ないものねだり論〟に終始してしまうのではないかと思うのです。

ということで、次回からそういった部分も含めながらレッジョ・エミリアで学んだことをまとめていきたいと思います📝