学生の頃、アメリカの児童文学作家であるカニグズバーグの本を夢中になって読んでいたことを思い出しました✨

きっかけは、臨床心理学者である横湯園子先生の著書と出会ったこと。
そこで紹介されていたのが

『ドラゴンをさがせ』

という物語でした😊
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「なにしろ、アンドリュー・J・クロニスターは音楽の授業にはまったく出席していなかった。…アンディーは、幼稚園時代も入れるとエマーソン・C・D・S(カントリー・デイ・スクール)にほぼ七年間も通っていた。学校側は無理やりに音楽の授業に出席させるのではなく、出席したいと思わせたいと考えていた。だが、アンディーにはその気がまったくなかった。」(P.187)

冒頭は、このように始まります📖

この物語の主人公であるアンディーは、音楽の時間には美術室へ行き、ドラゴンの絵や作品を作るような11歳半の男の子。

彼は「有名で、やりてのシブーイ」探偵になることを夢見て、日々自分なりに「訓練」や相棒探しをしていました。

ある日、アンディーは学校の美術展で、自分が描いたドラゴンの絵を購入した、1人の女性と出会います。
それが、29歳で結婚もしているエディーでした。

エディーは、
それなりの所得層の人々が生活する住宅街での主婦コミュニティーに馴染めず、

さらには、

さまざまな仕事をしては全てクビになっているという経歴があります😅

でも、アンディーの「ドラゴン」の良さを感じ取ることができ、同じように同年代からは浮いているアンディーと一緒に探偵の修行をしていくのでした😊


やがて物語は、2人が本当の事件に巻き込まれ、それを解決する方向へと展開していきます。

探偵になりたいという願いを叶えるため、エディーが危険ギリギリのところの犯罪に出会わせるようアンディーのために仕掛けたとも読めます。

物語のクライマックスで、エディーアンディーに、特技である絵を使って犯人の似顔絵を描くよう促します。

「アンディーの目と自分の目が同じ高さになるように、エディーはアンディーの前でひざまずいた。アンディーは目をそらせた。『わたしの目を見て、アンディー。』とエディーはくいさがった。アンディーはその言葉にしたがった。『刑事さんのために、その男をかくのよ。あなたならできるわ。あなたの本当のドラゴンが何かを知るのよ。』」(P.328)

どのように2人が関係性を紡ぎ、どのように事件へと導かれていったのか、その後どうなったのか…こちらは、読んでみてからのお楽しみにしておきます😊✨


「綺麗」だけど胡散臭い世界と、その裏にある貧しさ・影・犯罪。
カニグズバーグ作品の大きなテーマでもある、ティーンエイジャーの時期にあるこどもの内面の揺れやアウトサイダー性。
そして、タイトルにもある「ドラゴン」とは何か…(読んだ方、ぜひ「あなたにとって『ドラゴン』とは何だと思いますか?」というテーマでお話したいです^ ^)


横湯先生も著書の中でおっしゃっていたかと思うのですが、この物語から、

・「先生」でも「親」でもない、タテでもヨコでもないナナメの存在の重要性

・こどもが夢中になっている世界にどっぷり浸る時間の大切さ

・こどもと共にいる存在の在り方

などを考えることができます😊


児童文学から学ぶこと、そこから視野や思考を広げ深めていくことの大切さを再認識しました^ ^
特に、こどもの放課後に携わっていらっしゃる方々に読んでいただきたい一冊です📖✨✨


※参考・引用文献…
『カニグズバーグ作品集3 「ぼくと〈ジョージ〉 ドラゴンをさがせ』(E.L.カニグズバーグ 著、松永ふみ子・小島希里 訳、2002年、岩波書店)