「がんとはなにか」についてのお勉強、6回目です。
前回は、「がんの治療薬と作用機序」として、分子標的薬について書きました。
今回はホルモン療法薬について書きます。
ホルモン療法薬
前立腺がんでは男性ホルモンであるアンドロゲン、乳がんや子宮体がんでは女性ホルモンであるエストロゲンが、がん細胞の増殖に大きく影響しています。そのため、これらのがんに性ホルモンが供給されないようにするために開発された薬がホルモン療法薬です。
ホルモン療法薬には、各ホルモンの受容体に対し、本来のホルモンよりも先に受容体を占拠する薬剤(受容体拮抗薬)や、ホルモンを作られないようにする薬剤(LH-RHアゴニスト製剤、アロマターゼ阻害剤)などがあります。
ホルモン療法薬の作用メカニズム(乳がんの場合)
受容体拮抗薬
受容体拮抗薬には、抗エストロゲン薬、抗アンドロゲン薬があります。これらの薬剤は、ホルモン受容体に結合するため、本来結合すべきホルモンが結合できず、その作用を阻害します。女性の場合、閉経前には卵巣からエストロゲンが分泌されます。そのため、その作用をブロックする抗エストロゲン薬が用いられることになります。
私も服用しておりますが、その代表的な薬剤が、タモキシフェン(ノルバデックス)です。
LH-RHアゴニスト製剤
LH-RHアゴニスト製剤は、正常では脳の視床下部から分泌され、脳下垂体に作用する黄体形成ホルモン放出ホルモン(luteinizing hormone-releasing horumone:LH-RH)の類似物質です。LH-RHアゴニスト製剤を体外から投与すると、脳下垂体のLH-RH受容体を占拠して、視床下部から分泌される正常なLH-RHに脳下垂体が反応しなくなります。そのため、黄体ホルモンが脳下垂体から分泌されなくなり、卵巣からのエストロゲン分泌が抑制されます。
代表的な薬剤として、リュープロレリン(リュープリン)、ゴセレリン(ゾラデックス)があります。
アロマターゼ阻害剤
アロマターゼ阻害剤は、副腎皮質から分泌されるアンドロゲンからエストロゲンに変換する酵素であるアロマターゼを阻害します。閉経後は卵巣が働いていませんが、アロマターゼによって、副腎から出るアンドロゲンがエストロゲンに合成されるようになります。そのため、この変換する過程をアロマターゼ阻害剤がブロックし、エストロゲン合成を阻害します。
代表的な薬剤として、アナストロゾール(アリミデックス)、レトロゾール(フェマーラ)、エキセメスタン(アロマシン)があります。
ホルモン療法薬の副作用
一般的には、更年期症状(のぼせ、ほてり、発汗、めまい)や骨粗鬆症、体重増加などの副作用があると言われています。
また、子宮体癌のリスクが増加するものもあります。
参考までに、私の場合の副作用について記載します。
私はタモキシフェンのみの服用です。タモキシフェンにもメーカーがいろいろありますが、私は後発医薬品で、サワイのものを服用しています。
ホルモン療法を始めて1か月ほどし、生理が止まりました。2か月くらいしたら、不正出血したので、産婦人科受診したら、卵巣嚢腫が見つかりました。その後タモキシフェンを休薬して1か月半ほどしたら、生理再開。
卵巣嚢腫の手術後、ホルモン療法を再開。その結果、やはり、生理がストップ。
そんなわけで、タモキシフェン服用と生理、私の場合は関係ありました。
卵巣の腫れについて、以前のブログにも書いていますが、こちらも、私の場合は関係していたと思います。
そういえば、先日の婦人科受診時に、卵巣について聞くのを忘れました。異常な大きさなら指摘されるよね。
子宮体癌のリスクがあるからそのチェックのための受診ということになってるので、その話しかなかった。
内膜が厚くなるそうですが、私の場合は、今のところ、大丈夫だそうです。
主治医が代わったからなあ・・・。
更年期症状について、服薬してしばらくしてから感じたのは、ホットフラッシュですね。
冬でも、突然熱くなり、汗が出てくる。
最近、白髪が増えました。それと、指の爪先が割れやすくなった気がします。
ホルモンバランスが崩れると、いろいろ支障が生じるとは思います。
タモキシフェンの副作用なのか、それとも年を取ったせいなのか、そのあたりの線引きは難しいですけどねえ。でも、これらの症状はタモキシフェン服用がきっかけであるとは思います。
副作用については個人差があるので、必ずしも私のような症状が出るわけではないので、ホルモン療法するかを迷われている方は、試してみて、しんどいならやめるとか選択肢はいろいろあると思います。
私は後一年、がんばります。


