借り出した”教誨”を読む。柚月裕子さんの単行本である。半年前にリクエストをしておいた本、それだけ読者が多いということだろう。作者は”臨床真理”で”このミステリーがすごい!”大賞でデビュー。法廷物が得意。かなりの著書を読んできた。今回の参考文献を見ると”教誨師”、”死刑の基準”、”死刑に直面する人たち”、”秋田「連続」児童殺人事件”が並ぶ。
遠縁の死刑囚とは一度しか会ったことはなかった主人公が母と身元引き取り人となり、死刑囚・・女性・・の遺骨と遺品を受け取るところから物語は始まる。幼児連続殺人事件・・自分の子どもと知り合いの子どもを殺害・・の被告が死刑を言い渡され、10年を経て、刑が執行された。引き取り手のない遺骨の埋葬場所を決めるべく被告女性の住んでいた場所である青森県を主人公が、現地を訪ねる。最期のことばは”約束は守ったよ、褒めて”。狭い閉鎖社会、複雑な親族関係。少しづつ真実が分かってくる。結局、遺骨は故郷の”かげろう橋”・・子どもが亡くなった場所・・から撒くことになった。