借りてきた本が返還期日を過ぎた。終日、机に座り、「万葉集」と取り組む。”基礎知識”というタイトルの本である。いわば、万葉集の入門書。全20巻、約4500首の歌からなる。それを全体から把握しようというつもりである。歌のいくつかは覚えていたり、さわりだけ知っているものもある。万葉集の巻末の” 新しき年の初めの初春の今日降る雪のいやしけ吉事 ”などは年賀状書きの際に思い浮かぶ大伴家持の歌である。今回、巻頭は雄略天皇御製の”籠(こ)もよ み籠持ち ふくしもよ みぶくし持ち この岡に 菜摘ます児 家告(の)らせ 名告(の)らね そらみつ 大和の国は 押しなべて 我れこそ居(を)れ しきなべて 我こそいませ 我こそば 告らめ 家をも名をも ” であることを知った。ふくしとはシャベルの一種。野に出て、若菜摘む女性に言い寄り、家や名前を聞き出そうとする強引な雄略天皇の姿である。
ざっと、読んだ、今後は約4500首を一つ一つ味わい尽くすか、ちと思案橋。