うらのセミ。
夜、風呂に入ると気になる音がする。
ジッ!
ジッ…ジッ!
不審音~?
耳を澄ますと、やっぱり
聞こえるな。
…ジッ!
セミだよ。
だよね。
昼間、命を惜しむように
声をからして
絞りだすように鳴いてた、あんなに騒がしかったヤツが、
ジッ!
って
暑さにノボせたか?
こっちも暑さに辟易して、生命エネルギーを小さく保ち、
コンパクトにちぢこまって生きてる。
片付かないあれこれを
横目に見ながら
息をひそめて暮らしてる。
あ~あ。
みに行きたかった映画も
終わっちゃうなあ~。
あのね。
一瞬、
ちょいとの間だけ
気温が下がり風でも吹いてくれたらな~。
その間に
チョチョイと用事を済ましちゃうのに。
おかたづけ。
家を出ていた数ヶ月の間に集めた資料やフライヤー。
私の心の拠り所である本の山。
片付ける時期がきたようだ。
もっともシンドイのは、
私の大きなもとい、
小さな肩にのしかかる
懸案事項のコングラガッタ毛糸玉。
恐かった、辛かった思い出を掘り返す。
その経験を思い返すたび
感情があふれでて、涙がとまらない。
ものすんごく疲れる。
しかし、抑えこんできた気持を
正直に伝えることしか前に進む道はない。
相手にだって、それなりの言い分があるだろう。
どなり合いや涙で感情を乱すことなく
互いの気持を
正面から受け止め
理解できるところは理解し
互いを「一人の人間として尊重し合うこと」
がパートナーとしてともに歩んでいく
「最低限」の
人生の半分強、生きてきてしまった。
これからも自分の心と
何とか折り合いをつけながら
一生を過ごしていくだろう。
そんな私と暮らすには
ビョ~キを理解してくれる方でなければ
ビョ~キが悪化の一途をたどるのは、必至だ。
相手がコドモの様に
すねたり泣き出したりしたら、ガッカリだけど…。
涼しいオト。
ムビラ演奏のアルバムである。
涼しい音を!と所望して
「新譜ですけど…」
と紹介された。
基本、中古しか買わないからな。
毎晩聞いている。
涼しい!気がする。
聴けば聴くほど
バラエティ~に富んだ楽曲である。
ムビラが好きだった
Miles Davisのフレーズを使った曲
が気に入ってる。
アルバムタイトル
「Essential Tremor」
Richard Crandell
リチャード・クランデルさんが患っている
病気の名前。
トレマーは、
リズミックな震え、振動。
何か動作をしようとしたときに手、腕、頭、顎、舌が速く、
細かく震える病気だそうだ。
原因不明の難病である。
ギタリスト(そしてピアニスト)の彼が
病気による震えの影響を受けにくい
ムビラで演奏をしている。
病名をアルバムタイトルにしてるんだ!
とびっくり!
トレマー=振動は「音」そのものを指す…。
ってその考え方に共感!
毎晩、涼しい「振動」を感じながら
なんとかやり過ごしてる。
やってしまった!
腹イタである。
「冷たい物飲み過ぎると
腹イタになるよっ!」
子供の頃から言われてきて自らも言ってきた。
暑くて、暑過ぎたからさぁ~
近頃、エネルギーが落ちてきて~
言い訳である。
何か楽しい予定を
目前にして
こういう事やっちゃうんだなぁ~。
イイ大人が
情けない話である。
油断である。
体調管理に
不安を与える
自然環境の厳しさよ。
…とぼやきながら
エアコンをきかせた
部屋で寝転がり
ヒートアイランドに
拍車をかけている。
感情の海。
月に一度か
二十数日ごとか位の
周期で
溜めこんだわだかまりや
抑えこんでいた悲しみが
時々キュ~に
噴き出す時がある。
感情を
解き放ち
目前にあらわにする。
そうして
日のもとにさらして
殺菌?
することも
必要かも…
それは
かなり
疲れる作業である。
小さな葉っぱにしがみついたアリンコが
感情の海に放り出される。
しょっぱい波に溺れ
得体の知れないモンが
しつこく絡みついて
ベタベタ~
たまんない。
辛さのビッグウェーブ
に翻弄されて
フラフラになった。
海の底から
ひっくりかえして
ドッシャンバッシャン
を何百回かすると
真っ黒な水面に
深い蒼が映り
水平線に何やら
明るさが見えてくる。
そんな風景を
幾度繰り返せば
自分のマっコトの真実が
見えてくるんだろうか。
目前に立ちはだかる壁
と対峙しながら、
自分を閉じ込める囲いを突き崩す。
囲いは自家製だから、
なおのこと頑強で厄介だ。
海では嵐に揉まれ、
陸では「囲い」の成り立ちを分析する。
あ~めんどくせ~!
投げ出した~い!
辛すぎるんだもん。
あきらめの。
深いヌマの底で
抱えこんでいる。
沼のミナモは
深い緑の藻に
おおわれて
ソヨとも揺れない。
静か。
ところで
ナマズのコドモの
胸の内は
激しく波うっている。
大きな木々が
激しく揺れて
大風がザワ~ザワ~と
足元では
燃えさかる焚き火の薪がはぜ
小枝が弾け飛んで。
見つめると
顔の産毛がチリチリと
焼けるような。
ナマズっ子は
静かに
動かない。
そのままで
パクぅ~パクぅ~っと
諦めの泡を吐いている。
そいつらが
沼の上で
パチパチと
割れて
熱い泡の
かげろうが立ち登り
少しだけ
景色が
揺れた。
沼の底で
ひそやかな闘士と
小さな決心を
抱えて
ヌメヌメと
しっぽを
ふった。





















