しばらくお休みいただきました。
休む前にコメントいただいた方、ご心配いただいた方、返事もせずに大変失礼しました。
1か月ちょっと経過してやっと更新する気になれました。
まずなぜお休みしたか、1月26日にさかのぼります。
前夜夫とけんかして、朝お互い顔を合わせずに夫は仕事に、私は友達と約束があったので東京ドームへ出かけました。昼過ぎ夫から電話があり「入院することになった」というのです。昨夜のこともあったし大したことはないと思い、私は病院には翌日に行くことにしました。
翌日入院に必要と思われるものをスポーツバッグいっぱいに詰めて病院へ行き、入院手続きをして救急病棟へ行きました。そこで夫がいうには、心臓の周りに水が溜まっていて、そこへカテーテルを挿入して1.2リットルの貯留水を抜いたことを聞きました。そこで初めて私はここ何か月かの夫の症状に納得がいったのです。空咳が出る、息切れがする、食欲がない、やっと合点がいきました。
救急病棟から入院病棟へ行くというとき、担当医が表れて簡単な説明をしてくれました。「肺がんです」
足元の床が沈んだように思いました。タバコは何年も前にやめたのに、無駄だったの?それと夫の苦しそうな様子、正直言って生きて帰れないかもしれない、という恐怖がわいてきました。それでも夫はだいぶ楽になった様子で比較的元気です。食欲もあり病院で出される食事も全部食べられたようでした。
ほとんど空になったバッグを担いで駅まで歩きましたが、どうしても駅の階段が上がれませんでした。バッグが行きよりも何倍も重く感じられました。
それから約1週間詳しい検査をして、立春の日主治医から詳しい説明を聞きました。幸い骨や脳への転移は今のところ見られない。手術はできないが化学療法で効果が期待できることを夫と一緒に聞きました。病室に戻った夫は「あ~あ、最悪な病気になっちゃったよ」と少々がっかりした様子。そりゃそうですよね、肺がんなんて考えたこともなかったのに・・・・・私が「治療法はあるのだから頑張って治療して、早く退院してまた秩父へお蕎麦食べに行こうよ!」というと「そば食べたいよな!!」その後昼食のスパゲティナポリタンをおいしそうに食べ、家から持って行ったイモせんべいをかじっていました。それからは知らせるべき人には連絡したのですが、肺がんであることを隠すことは本人も私もしませんでした。3人のお姉ちゃんとやっと生まれた男の子を甘やかした父親によって、甘ちゃんに育ったはずのこの末っ子は、甥や私が驚くほどのタフな精神力を発揮したのです。
翌週から抗がん剤投与が始まりました。といっても夫に使われるのは2種類で1時間半ほどの点滴で終わるものでした。昔のドラマのような吐き気などはまったくなく、ちょっとした倦怠感と食べたいのに食事を見るのがいや、という日が1日だけ、その日もおせんべいやフルーツは食べられました。水をたくさん飲みなさい、と言われて毎日ペットボトルの水やコーラやジュースを一生懸命運びました。髪の毛もほとんど抜けることはありませんでした。一時期減少した白血球も順調に戻りました。
そのうち心臓の周りに水がたまることもなくなり、呼吸も楽になり自分で歩いてトイレへ行けるようになり、やがて携帯電話がかけられるエリヤまで歩けるようになると、あちこち電話をはじめ、お見舞いの人がたくさん現れるようになりました。ただ一つ本人が残念だったろうと思うことは、かわいい看護婦さんの手を握ってトイレに連れて行ってもらえなくなったこと。プライマリケアと言って担当の看護婦さんが決まっていて、とってもかわいい人だったのです。
3週間たって2回目の化学療法、2月29日でした。前回より少し早めに倦怠感が来ました。今回は2週間くらい立つと髪が抜けるかもしれない、と言われたそうですが今のところ大丈夫。
そして3月3日土曜日、無事に退院しました。1回目の抗がん剤がとても効果が出ていて、ほとんど目立った副作用がないしよい状態なのだそうです。これから1週間に一度外来で診察を受け、3度目以降の化学療法は外来で受ける予定です。
甥の車で退院してその足で食べたかったピザを食べに行き、夜はちゃんとお祝いできなかった61回目のバースデイをお寿司の出前で祝いました。内緒でちょっぴりビールも飲みました。その後はベッドに横になって大好きな野球を見ていました。
これを機に会社の役員はやめ非常勤になる予定。予定よりは少し早いけど年金生活に入ります。
おいしいものを食べに行ったり温泉に行ったり、やりたいことはいっぱい。
私は詳しい病状の説明を受けるまでの間、ミシンキルト講師養成講座の宿題をしては見たのですが、フットコントローラーを踏んでは涙し、曲がってまた涙を流しながらほどいて、の繰り返しであきらめて受講をやめました。それでとても気分が楽になりました。
キルト塾へ行くとヴォーグの担当者や小関先生に「ブログやめてどうしたの?いろいろな人に聞かれるのよ!」と言われ、意外にもたくさんの人が私のブログを読んでくださっていることがわかりました。しかし、どうしても更新する気分にはなれませんでした。夫と一緒に家に帰ることができて、やはりまたはじめようと思いました。
そして私には絶対そんなことはないだろうと思っていたのに、1週間で2キロ痩せました。しかし、痩せると夫が心配すると思い一生懸命食べました。病院が駅から徒歩15分くらいのところにあるので毎日毎日往復30分歩きました。そのせいか食べても食べても太ることはありませんでした。入院の翌日から皆勤賞で歩きました。せっかくだからこれからは運動代わりに毎日歩こうと思います。
これからは以前のようにお気楽なことはかけないかもしれません、更新の頻度も落ちると思いますが、もしよろしかったらまたお付き合いください。
本当にご心配おかけしました。ありがとうございました。