今日は犬のボズの誕生日。とはいっても正確な誕生日はわからない。忘れないようにクリスマスにした。
ボズは夫の会社の近所の家で生まれ、つながれたままろくな食事も水も、ましてや散歩もさせてもらえなかった犬だった。夫はときどき弁当の残りをやり、水を替えてやり、家に帰ると1週間に一度くらい、いかに彼がかわいそうな犬であるかを力説した。1週間に一度と言うのがみそで、これが毎日だったらおそらく私も「飼おう!」とは言わなかっただろう。
ひと月ほど経ったある日、私は「貰ってくれば?餌をやって散歩するくらいは出来るから。名前はボズ・スキャッグスとケニー・ロギンスのどっちがいい?」といったら夫は「ボズ!!」
こうして彼は我が家の長男となった。しかし、何年か後に癲癇のような病気になり、ある日の夕方、私が帰るのを待たずに死んでいた。今でもクリスマスにはケーキを買って、まるで死んだ子の年を数えるように写真に「誕生日おめでとう」と言う。アレから8年経った。