4/23(火)の夜、兵庫県立芸術文化センター小ホールにて、日本シューベルト協会の演奏会に出演させていただきました。
お知らせしていたブログはこちら↓
日本シューベルト協会第158回演奏会
〜後期ロマン派、そして近代へ〜
新しい曲と歌い手さんたちとの出会いで、見える(聞こえる)世界が広がって、充実の時間でした。
演奏に反省はありますが、(特に姿勢。翌日に他の曲をさらっていて、緊張している時の自分の姿勢の欠陥に気づきました。肩が前に出ちゃうんだよね。次こそは!)…終わってホッとしています。
Facebookでシューベルト協会の投稿によると、
いわばマニアックなプログラムであったにも関わらず、終演後にお客様が口々に「楽しかった!」「いい曲ばかり!」とおっしゃっているのが印象的でした。
たくさんのお客様にお越しいただきました!
ありがとうございました。
プログラム記録↓
出演者↓
演奏会のプロデュース役のお一人、廣澤敦子さんと。廣澤さんから、この演奏会の出演のご依頼をいただきました。↓
さて、ここからはピアノのついてのお話。
長文で専門的です。
コンサート当日の午後は、調律が終わってすぐにリハーサルというスケジュールでした。歌い手一人につき13分というルール。
その際、ピアノの鳴り方がイマイチだなと感じました。私だけがそう感じたのではなく、客席でリハーサルを聴いていた廣澤さんも同様に言っていました。
高音のきらびやかさ、音色の変化、音の鋭さ、音のふくよかさ。全てがなんとなくイマイチ。ピアノが寝ぼけている感じ。
そしてリハーサル中に気づいたことは、この楽器の癖。ソフトペダルをふむと音質が明らかに変わります。踏んでいない音と比べて、音質が貧弱になりすぎるのです。
リハーサル中は歌い手とのやり取りに集中したい。
でも私自身が楽器に慣れる時間が欲しい。
そのため、リハーサルが終わってから個人練習の時間をもらうことにしました。
調律は毎度おなじみの荒木欣一さんで、リハーサル後まで立ち合って最終調整という契約でした。個人練習が終わるまで楽器の調整を待っていただくことになりました。ちなみにコンサート会場での調律では、荒木欣一さんは株式会社シャドーからの派遣という形式になります。
個人練習を始める前に荒木さんに
ソフトを踏むと音質がかなり変わりますね。
と言ったら
弦溝がかなり付いている楽器なので。(仕方がないですね。)
ということでした。
ピアノのハンマーに弦の溝がついているということは、ハンマーフェルトの固い部分(溝の底面となる部分で、たたかれて固くなっている)が弦に当たります。それがソフトペダルを踏んでいないときの音質です。
一方ソフトペダルを踏むとハンマーが横に動くので、弦の溝ではなく、比較的やわらかいハンマーフェルトが弦をたたきます。
このため、ソフトペダルをふむと音質が明らかに変わるのです。
この症状は当日の調律で調整できるレベルではありません。
ということは、ソフトペダルを踏むタイミングを再調整するしかない。私は本番で緊張するとソフトペダルを多めに踏んでしまうクセがある個人練習の時間で、「昨日までの練習ではここでふんでいたけど今日はふまない」という場所を確認して、楽譜にメモ。
ようやく私自身が楽器に慣れることが出来ました。
歌い手とリハーサルしながら、すぐに楽器に慣れることが出来ればいいのですが。そこまで器用じゃないのよ。
ところでピアノは、歌い手全員のリハーサルが終わって私が個人練習を始める頃には音が鳴ってきました。楽器が目覚めてきたという感じ。廣澤さんも同様に感じたそうです。これは今までにない経験で、「どうしてだろう?」と疑問に思いました。
そして本番での楽器は、荒木さんの最終調整のおかげで見違えるように音がよく鳴って音色の変化も自在で、弾きやすかったです。
リハーサルと本番で楽器の状態がこれほど違うのは初めてでした。リハーサル時には響くように感じるのに、本番では客席に人が入って音を吸うから響きが変わることは、どのホールでも感じます。
でも今回は響き方ではなく、楽器自体が変わっていったという感覚がありました。 よい方向に変わってくれたので、いいのですが。
そこでコンサート翌日、荒木さんに質問。(しつこい)
リハーサルと本番で楽器の状態があれほど違うのは初めてでした。芸文のピアノは、楽器が目覚めるまでに時間がかかるのでしょうか…?
お返事がこちら↓
最近の芸文のピアノは使用頻度も多く消耗が激しいのも事実です。ハンマーの弦溝が多めに付いていてソフトペダル使用の時との違いも極端に出てしまっています。(ご指摘通り)
弦溝が深いと弦を叩く時にハンマーフェルトが弦にまとわりつくような感覚なので、音の立ち上がりが鈍くなっているのはあるかもしれません。弾き続けることで叩かれてその辺が解消されていくのだと思います。
ほぉ~、なるほどね。
ピアノは部品ひとつひとつが生き物のように変化するのですね。
演奏者はそれに敏感に対応していくのです。
大変だけど、おもしろい!
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