千秋楽 | よこけんの右往左往

よこけんの右往左往

「よこけん」こと、 ミュージカル俳優、横沢健司のひびを綴った日記です。

ここ数日、生活サイクルがメタメタなせいか、眠れなくなったので、ぼちぼちエリザを思い出してみる。


千秋楽。

当日に打ち上げがない千秋楽の場合、名残を惜しむ暇などない。

本番中に、用済みになった順にメイク道具を片付け、終わったら衣装小道具楽屋を片付ける。

地方公演の場合は、これに新幹線や飛行機のタイムリミットが加わる。

ベテランになると、普段と変わらないようなタイムで撤収することも可能だ。

だから、千秋楽には、既に数日前から『やり遂げた感』が漂っており、当日のピークが何処に来るかと言うと、カーテンコールの瞬間だ。

この挨拶が、初参加組は感きわまり系なのに対して、続投組はユーモアを交えた軽妙なトークだったりして面白い。

この時ばかりは、普段物事に動じないような人も、うるっときたりしてしまう。

これは、足掛け8ヵ月の長い公演でも、本番が1ヵ月に満たないような短い公演でも、いつも一緒だ。

そしてそれが終われば、みんな蜘蛛の子を散らす様に、撤収していくのである。

またすぐに同僚になるかもしれない、或いは、もう会う事も無いかもしれない。

そんな職業ならではの、感傷と見栄が入り交じった瞬間の光景なのかもしれない。