「コメディ」について考えてみた | よこけんの右往左往

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「よこけん」こと、 ミュージカル俳優、横沢健司のひびを綴った日記です。

相変わらず画像が表示されないので、鎌倉の写真を上げるのはまた今度にする。


さて、世間では『半沢直樹』というドラマが大ヒットだったそうな。

他のドラマがことごとく爆死する中、一人だけ視聴率を三十パーセントも四十パーセントも叩き出して、「倍返し」が流行語になるほどだ。

見たことないんだけど、そんなに面白かったの??

設定がリアルだったり、有名タレントのゴリ押しじゃない所が評価されたというのは聞いたことがあるが、それほどでも無いという人もいる。

好みの問題も大きいし、こればかりは自分で見てみるしかないか。もはや僕は日本のドラマにはこれっぽっちも期待してないので、どうしても及び腰になってしまうが。


その中で「芝居が上手」という意見があり、「あれはコメディだから、判断しずらい」という反論があった。

コメディだから芝居がいい加減で良いという風潮。

これが気持ち悪くてしょうがない。

見る方が言うならまだ仕方ないが、作る側が明らかにこのスタンスだから困る。そしてこれは、ミュージカル俳優の間でもかなり浸透してしまっている

コメディだから感情が本物でなくても良い。コメディだから芝居中に笑ってしまっても良い。コメディだから本筋に関係ないギャグを入れても良い。コメディだからあり得ないキャラ設定でも良い。etc.etc...。

コメディこそ、一分の隙もなく精密に、笑わせるつもりなど一切なく真剣に真面目に演じなければ成立しないというのに。

コメディは、コントとは違うのだ。


海外では、そういう時ファルス(笑劇)とコメディ(喜劇)と使い分けたりする。

が、演劇は大抵芸術性が絡んできて、流行り廃りや好き嫌いもあるし、厳密な分類は難しい。

僕もかなり長い間、それらの違いが分からずに悩んできた。なんとなくいいものとそうでないものの見分けがつくようになり、自分の好みがはっきりしてきたのは、海外ドラマを沢山見るようになってからだ。

舞台においては、ニール・サイモンの脚本に触れた、『プロミセス・プロミセス』の影響が大きい。

僕が日本映画で唯一大好きな三谷幸喜も(映画より舞台の方がやっぱり良かったりするけど)、ニール・サイモンに憧れたと言っている。

三谷幸喜が素晴らしい、と言う人は多いだろうが、それ以外で素晴らしいコメディ作家がパッと思いつかない。

いや、いるんだろうけど。僕が知らないだけで沢山いるんだろうけど。それにしても余りにも名前が挙がってこない。

日本には、ちゃんとしたコメディのセンスはまだ入ってきてないんじゃないかと思ってしまう。


ただ、笑いのセンスには、お国柄がだいぶ関係する。「お笑い」なんかは、やっぱり日本のものがダントツに面白いし、肌に合う。

だからこそ、あれをコメディだと思い込んでる人が多いのではないか。

まだまだこれから熟成されてくるだろうか。