●植村直己冒険館を拝観(後編)
2023/11/10(金)…後編
展示室から出て通路に入りますと壁には "エベレスト登山隊" に関する解説板が有掲げられていました。
此方は日本人として初めてエベレスト登頂に成功した時の言葉 "9時10分。ただいまエベレストの頂上に着きました!" についての解説板。
前述の通り植村&松浦の両隊員が日本人初登頂を成し遂げた。
(エベレスト登山隊 ①)
その時のルートを詳細に記したのが此方の絵図。
彼らが辿ったルートが詳細に描かれています。
極地法と呼ばれるタクティクスを駆使しての登頂でした。
初登頂の後には別ルート(南壁ルート)での登頂を目指したが此方は標高8050m地点で撤退となったが日本の登山界にとっては歴史的な快挙でした。
(エベレスト登山隊 ②)
植村直己の登山家以外のもう1つの顔としては冒険家が挙げられる。
アマゾン川6000㎞を筏下りを成功させたり北極での活動など。
此方の解説板には北極に於ける "犬橇での3000㎞の冒険" についての事が記されています。
彼が経験した困難を乗り切る姿が感動的です。
(北極での犬橇の旅)
冒険家として歴史に名を刻んだ植村氏に因んで日高町が制定したのが "植村直己冒険賞" です。
日本人の中で顕著な冒険を成し遂げた人に与えられる賞で先行員によって毎年1名が選定されます。
此方がその賞についての解説板ですから拡大クリックしてご覧下さい。
(植村直己冒険賞)
前述の賞に輝いた人の中に "神田道夫氏(2000年度)" が居ました。
熱気球による世界記録を幾つか樹立した方でした。
彼は熱気球による太平洋横断に挑戦すると言う冒険を試みたが三度目の挑戦時にアリューシャン沖で行方不明となった。
彼が遭難時に乗っていたゴンドラは "スターライト号" ですが何年か後に悪石島(鹿児島県)に漂着して人々を驚かせたと言うエピソードが有ります。
(神田道夫の冒険 ①)
此方が奇跡的な漂流の末に回収されたスターライト号です。
当然ながら神田氏の姿は見付からずその行方は永遠に分からず。
展示されたスターライト号の傍で記念撮影。
(神田道夫の冒険 ②)
私は神田道夫氏については全く知りませんでしたが此方の解説板を読んでそれを知りました。
単独で冒険に挑んで最後は人知れず消えて行ったのは植村氏との共通点です。
何れにしても冒険心を燃やしてチャレンジした事は称賛されるべき。
(神田道夫の冒険 ③)
2023年度の植村直己冒険賞の受賞者は野村良太氏(北海道)らしいです。
彼についての特別展が設けられて居ました。
北海道の分水嶺ルートの連続踏破に成功した事が受賞の理由。
元からして登山道が存在しないルートですから歩くのは藪が積雪で覆われる積雪期に限られるが当然ながら冬季の北海道の気候が厳しいのは周知。
そんな中での挑戦に挑んで成功を収めたのですからスゴ過ぎ。
此方のテントは彼が使った物です。
(野村良太氏の冬季用テント)
野村氏が使った山道具が展示されます。
スキー板、コンロ、テントシューズ、スキーアイゼン、ザック等々。
これらの道具を完全に使い熟せてこそ冒険が可能となるのです。
(野村良太氏の山道具)
"これで館内は網羅したかな?" と思ってパンフレットを再確認してみたら見逃した部屋に気付きましたから其方へ。
渡り廊下を通って展示室の方に戻ります。
私のバックに見えるガラス張りの部屋は館内のカフェです。
外は小雨で肌寒い。
(渡り廊下)
私が見逃したのは "南極体験コーナー" です。
此方の部屋には植村氏が実際に南極で使った犬橇、極地用テントが展示されており拝観者は自由に犬橇に乗ったりテントの中に潜り込むのもOK。
その他にはエベレスト頂上への最終アタック時に背負ったザック(重量25㎏)も有って試しに背負う事も出来る。
私も長年に渡って登山をやって来ましたが25㎏のザックを背負ったのは31歳の時に敢行した富良野岳~トムラウシ~旭岳への縦走山行の時だけ。
エベレスト頂上でこんな重荷を背負うなど私にはとても考えられない。
この部屋の中で記念撮影です。
(南極体験コーナー ①)
此方は極地用テント&犬橇です。
当に植村氏の活動が実感できる部屋ですな。
(南極体験コーナー ②)
世界№1の登山家と言えば "ラインホルト・メスナー氏(イタリア)" を挙げる人が多いであろう。
エベレストへの無酸素登頂を始め8000m峰を踏破するなどその最強さ自他共に認める存在。
この施設には彼からピッケルが贈られておりそれが展示される。
(ラインホルト・メスナー)
これで館内の展示品は網羅したと判断した。
時刻は16:35ですから拝観時間は3時間40分にも及びました。
いつもの私らしくじっくりと時間を掛けた拝観となったのです。
最後に受付の方にお願いして館内の通路にて写真を撮って貰う。
(館内の通路)
退館後は冒険館の屋上に移動します。
屋上の壁には植村氏の生涯についての写真並びに解説文が記されております。
館内にも同様の展示が有りますから言うならば "復習" の様なものでしょうかな? (笑)
(冒険館の屋上)
雨は未だ止まずに降り続く。
帰りは往路を引き返すのみだが陽が短い季節に加えて雨天の為に暗くなるのが予想以上に速かった。
県道482号線は明延鉱山の傍を通過するが幅員は狭くてアップダウンが続くカーブの連続で運転が非常に怖かった。
一宮町でR29に合流して漸く安堵しました。
往復182㎞の長いドライブの終着点である自宅に着いたのは19:25となった。