
お怒りごもっともです・・・。
怒りのポイントを、分けて解説します。
なお、解釈が別れる部分もありますので、以下の文章は歯科医師全員の意見ではなく、私個人の意見であり、先生によっては異なる意見もあるということをお断りしておきます。
「ちまちまと治療」というのは、患者さんの不満の中で大きなものです。
私は、隣りあった歯であれば、一度に治療することのリスク(痛みが出る確率が上がってしまうこと)を説明の上で、同意があれば3~4本一気に治療することもありますが、予約の混み具合、先生の方針等でちまちまになってしまうこともあります。
また、根の治療のように、痛みはなくても根の中が完全にきれいになるまで、回数がかかることや、見極めを行うために段階的に治療を進めざるを得ない場合もあります。
「不具合が生じたら~管理がなってない~」ですが、患者さんからすれば「一度直したのに、なぜまた痛くなるのか?下手な治療だったからではないのか?」と疑問を持つのは当然でしょう。
歯科医師の立場からの言い訳としては
・一度直したとはいえ、人工の材料は、天然の歯に比べると強度、虫歯、歯周病に対する抵抗性に劣る。
・そもそも、歯になにかトラブルがあって治したということは、歯磨きを含めた生活習慣、咬み合わせ等に変化がなければ、同じようにトラブルが起こる事はありうる。
というものです。
ただ、これを後から言うと言い訳に聞こえてしまうので、治療前、治療中、治療後と、何度も言葉を変えて説明するようにしています。
事前の説明があれば、再治療になったとしても、それほどは怒られません。
もちろん、再治療になってしまった時は、申し訳ない気持ちで一杯なのですが・・・。
「立てつけが~大工は普通無償で~」
治療の種類にもよるのですが、原則として保険診療においては「やりなおしだから無料」という考えはありません。
一応の基準として、詰め物であれば半年、被せ物であれば2年以内は「保険が適用されない」ので、無料で治療をすることはあります。
やりなおしも、昨日の治療のやりなおしなら無料もアリでしょうが、3年前の治療のやりなおしを無料でというのは難しいでしょう。
では、一ヶ月なら?半年なら?1年なら?となると、ケースバイケースです、という言葉で逃げるしか無くなってしまいますが…。
私は、再発の可能性が高いと思われる場合は、「治療のやり直しになることもあるし、やり直しでも費用が発生することもあります」と説明するようにしています。
歯科医師をやっていると、このような不満を訴える患者さんに接することはよくあります。
そのような事柄も「削りたくない、抜きたくない」という考えに至った理由です。