12月の朝だもの。
日の出時刻は、吊り輪前。
あっという間にわたしの目の高さまで伸び上がってくるオレンジは
なんであんなに強いんだろう。
少しずつ、少しずつ
雲の隙間を縫いながら
青銅色のような空に染みわたり、
様々なオレンジ色を想像していたわたしの瞼を突き抜けて
わたしもオレンジになった。
いまはもう、わたしを見下ろしているオレンジが、
簡単に突き抜けるわたしの身体は
こんなに薄っぺらいもので包まれているだけなんだ、と
自身の驚きに、目が開き、
薄い組織を取り払って
オレンジを見つめようとするけれど、
わたしには敵わないらしい。
いま、わたしの
薄っぺらい表面細胞を突き抜ける。
叩き起こされる、
わたしの小さなオレンジ。