弟君のお誘いがあって、見分不相応の能楽観賞、
場所は先日ランチをいただいた紅葉坂、掃部山公園の隣
演目は「三井寺」、母子の別れと再会をテーマ・・・らしい。
能の舞台はもともと屋外にあるもので、
建築物の中に建築物があるという入れ篭(こ)式の造りになっています。
国技館の土俵の上部に吊ってある屋根も同じ形式、
このように屋内に設けられるようになったのは、明治以降です。
この画像の位置は「脇正面」、右側の斜めになっているところが「中正面」、
一番良い席は画面右奥の「正面」です。
屋根は天井から吊っているので、
本来、柱はなくても構造的にまったく問題ありません。
相撲の場合は安全上の点からなくなりましたが、
能では面をつけた立ち役が舞台上で自身の位置を測るための目安となっており、
今でも実用的役割を果たしています。
また画像左側に廊下みたいなものがありますが、
「橋掛り」といいます、舞台に向ってやや斜めに設けられており、
正面から見た場合に遠近法で広く見せる役割をなしています。
ちなみに横浜能楽堂では正面に2階席が設けられていて、
全国でも珍しい設計になっています。
設計は大江建築アトリエ、1996年の竣工です。
むくりのある茅葺屋根を模したデザインで緑青色の銅の一文字葺き、
実質的には二階部分になります。
屋根の勾配が急なデザインにより、
雨が降れば雨水が勢いよく落ちてくるため、
正面入り口上部に唐破風を設け配慮しています。