導引術的、六大功用
古来、伝統の中国予防医学では、呼吸法としては吐納術、心身の活性化方法としては導引術があります。
正式な古代文献にあるものは、紀元前4~5世紀頃の春秋時代の老子に呼吸法や意守の方法が記され、技法としての呼吸法は吐納術、運動の内容は導引が紹介されています。
そして紀元前2世紀頃、前漢時代の淮南子に六禽戯、2世紀頃の後漢時代に三国志の魏の武将で政治家であった曹操の専属医師を務めていた神医と呼ばれた華侘の五禽戯があります。
これらから後々に、気功と呼ばれていく運動形態になっていき、少林武術や健身気功の八段錦などに変化していき、更に15~16世紀に一番多く広まった太極拳へと受け継がれていきます。
導引術的、六大功用と呼ばれ、行われることで、その働きは6種類に区分されています。
その六大功用とは、
推動
人体の体内での生長、生育の働きを高める効能。
血液、津液、を作り生成し、体内で流動して、それらの物質を推し動かし運行の促進を図る。
温抱
健康な心身だと、体内で陽気という状態での気化が図られ身体を冷たい空気や寒気から身を守る。
防御
季節で特に真冬には、強烈な寒気と共にやってくる邪気:ウィルスが体内に入ろうとしても、津液や粘膜などの抗疫作用が働き体内に入らせず防御される。
固攝
体内で生成される物質は血液、汗液、唾液、精液など、時にゲル状に固まり、体外へ排出できる。
気化
体内では、各種臓器などの動きの変化に伴い、変化(気化)しながら移動する、これらは精、気、血、津液などの水分になって転化しながら新陳代謝となっていく。
栄養
食べ物は体内に入り、胃から順に精微な栄養分が吸収されながら体内へと送られ、排出されていく老廃物などと分離する。
そして人体化生之道と呼ばれ、その効能は6種類。
1、平衡陰陽
春夏と秋冬で、相互に入れ替わる時期が、春分と秋分で、これらを分点といいます。その間の時期が至点といい冬至と夏至です。
立点といい4つあり、春夏秋冬各季節の立春、立夏、立秋、立冬で、これらの合計を八卦といいます。
陰陽季節で八卦の時候で、よくバランス:平衡を保つことで1年間の心身の安定化が計られ、常日頃から安心感と信頼が得られます。
2、調和気血
伝統中医学の概念では「心意気」というものがあり、「心至れば意に至る、意に至れば気に至る」という考え方をして、心を落ち着けて、意識を養い、気の流れは導引で行い、体内で作られた血液、津液、を作り生成した全体を流動して、調和を図り、調和気血と呼んでいます。
3、疎通経路
経絡は体内全身に巡らされたネットワークの経路で、五臓六腑の働きが有効であればあるほど、疎通経路の働きは向上し、生命活動は日頃から正常に動き、多くの疾病の発症なども未然に防ぐことができます。