中国武術運動は「健身、修身、防身」の3つの包括が重要で、武芸は「たたかい」を好むのではなく、
自分を活かすため、人を活かすための精神を重視しています。
動作運動の性質では、攻防技術・功法・套路の3つを含む心身強化術ということができます。
更に詳しく記せば、攻防技術は防身、功法意識は修身、套路運動は健身というように分かれています。
「防身」は精神的にも肉体的にもわが身を防ぐ「守衛」の意味があります。
これは昨今の日本国内でもみれば、
マスメディアなどから大量に流されてくる情報の洪水から不必要な情報=不安要素を退けられる判断意識力を高め、
防ぐため、あるいは護るための攻撃能力を持てることが護身術となり、
ありとあらゆる面からでも自身への守衛による信頼感を築くことが大事であり、
「修身」では功法のよる心身への爽快感から肉体的な安堵感を得て、

尚且つ東洋思想・哲学、武術精神としては孔子の説く 規範的な儒教意識、
老子・荘子の説く 捉われることなく自然体である心性は自由である道家思想、
釈迦如来の説く、仏教的解釈性の大慈悲の合わせた概念が武術倫理道徳観となって
精神的・肉体的な充実を図り、こころもからだにも安心世界を構築することにあります。

「健身」は、套路運動による継続的で安定して行える具体的なリフレッシュ効果のある
体育運動としても目的意識がおかれています。

現在の日本国内では、先ず一番わかりやすい「健身」から入り、
「修身」を経て、今これからとても大事な心身のメンタル面でも「防身」は大事です。
 
「健身」
 
意識運動:武術五元素、打つ、蹴る、関節技、体当たり、投げ受け身の技法で目的に合わせて大脳を駆使して動かす。
       
呼吸運動:動作において呼吸を合わせての肺活量を増大させられる。 
 
全身運動:両手、両足の四肢を武術意識に合わせた、質と量の高い全身運動による血液循環力の向上。
 
競賽:競技によるモチベーションとレベルアップで向上感を高める。

「修身」
 
精神修養、伝統武徳の意識
中国武術における精神修養は古く長き伝統思想や哲学に重きを置いた考え方で「武徳:武術道徳」として大きな影響を受け、その内容は儒教的徳性(規範)、道教的心性(自然)、仏教的解釈性(慈悲)の3つが融合させた文化感覚です。
 
伝統功法における意識的概念
 
・道家功法:道法自然、陰陽、五行変化、行気

・仏家功法:体悟、宇宙与自心、唱虚静、通過座禅、参禅、瞑想、除雑念、浄心身、人生的悟解
天台:止観
禅:禅正
密:ヨガ 三密「身密・手に諸尊の印契(印相)を結ぶ」「口密(語密)・口に真言を読誦する」、「心密・心に曼荼羅の諸尊を観想する」

・儒家功法:規範、練心 「正」「直」「養気」その性質としては「仁」「義」「礼」「智」「信」「勇」の道徳精神に集約されています。
 
意 「意識的概念」 
正 「身与意」 一致 返先天 穏秩序
静 畜気 聚能 静中行気 陰陽相合
松 外形要松 空山無人 水流花開
息 調形 調息 調心 性命圭旨
空 性命双修 恬淡虚無 真之気 無極生太極
順 随 上下合随 前後相随 内外相随 身歩相随 不追求 不強制 不則易
導 得 流水不腐 戸枢不蠢
観 観想 清風洗心 観心 如明月在懐
抱 見素抱朴 精気神 「神抱」「意抱」
守 意守丹田 意到則気到
 
「防身」
攻防動作:護身術の実践、間合いを知り、守衛の感覚の理解、防御、節制の為の攻撃。
       武術五元素における攻防で、方向性、角度、力の大小の調節感覚。
 
予防医学における生活習慣病の予防意識を持ち、実践を行い、心身の安定感を堅持する。