健康と食事
 
私たちの健康を支えてくれるのに、食事、運動、休養(睡眠)、快いお話、ストレス解消などいくつかの柱があります。 
今回はその中の「食事」についてお話したいと思います。 

皆さんの周りに高齢者の方でとっても元気にお暮らしの方がたくさんいらっしゃると思います。その原因は何だと思われますか? 





■質問■
何でしょう?適度な運動をすることでしょうか?
 

もちろんそれも関係すると思いますが、1つには長い間の食生活があげられると思います。炭水化物、脂肪、ビタミン、ミネラルなどバランスのとれた栄養素が必要です。中でも野菜の持つ色素を多くの種類とることが、五臓六腑を強くし、健康体を作ることにつながります。


 ■回答■

■質問■
野菜の色素ですか。
野菜にもいろいろな色をしたものがありますが、その色によって体の中での働きが違うのですか?
 

そうです。色の違うものは働きも違うんですよ。 
赤い食べ物は心臓や小腸の働きを良くします。人参、赤蕪、苺、無花果、西瓜などです。青い食べ物は、肝臓や胆のうの働きをよくします。つまりパセリ、ピーマン、ほうれん草、小松菜、三つ葉、莢豌豆などがあります。 


 ■回答■

■質問■
なるほど、おもしろいですね。では黄色い食べ物にはどんな働きがあるのですか?
 

黄色い食べ物は、脾臓や胃の働きをよくします。南瓜、玉蜀黍、バナナ、柿、大豆、アスパラガス、みかん、カリフラワーなどです。 
また、黒い食べ物は、腎臓の働きを良くします。牛蒡、蓮根、黒胡麻、椎茸、昆布、ひじき、若芽などです。 
そして白い食べ物は、肺や大腸の働きをよくします。大根、白菜、白胡麻、玉葱、蕪、キャベツ、梨などがあります。つまり、交通信号の赤、青、黄に黒白を加えた物が、健康を守る五色の構成となります。 


 ■回答■

■質問■ 
赤、青、黄、黒、白の五色ですね。わかりました。
これらの色の食べ物をバランスよく食べることが、大切なのですね。
 

そうです。
さて、私たちは生まれた時から、自然治癒力が備わっております。体質的な面もありますが、その働きが強ければ病気にかかりにくく、治りも早い傾向にあります。 

私たちは日常生活において、この自然治癒力を高めることによって、より健康的な生活を送ることができるのです。昔から「衣食同僚」という諺がある様に、私たちの身を養い、自然治癒力を高める食べ物は自然界にたくさんあります。中国の古典の中にも、体の働きを高め健康を生み出す食物を五色の別に分けたり、五味の別に分けたりしてあります。 

たとえば、先ほどの話の様に「青い食べ物は肝臓や胆のうに栄養を与え、また、酸味は肝臓や胆のうの働きを高める」という由です。酸味は肝臓系に、苦みは心臓系に、甘味は脾臓系に、辛味は肺系に、鹹味(しょっぱい)は腎臓系にという風に五つの味に分けられます。

これらを現代の食文化に取り入れ、自然の食べ物をできるだけ種類を多くバランスを取りながら健全な食生活をしていきたいと思います。 


 ■回答■

■質問■
正しい食事は病気になりにくい体を作り、さらに病気を直す力も高くするわけですね。 
ほんとに食事って大切なんですね。いろいろな色や味のする食べ物は、それぞれ体にとって 別々の働きをしているということがよくわかりました。
ですから多くの種類を取り入れた食事をすることが、健康への近道ということですね。
 

血管の老化を防ぎ、元気な血液を作り、サラサラと血液を流すのは、すこやかな食事をとる事、つまり健康への第一歩なのです。 


 ■回答■


わかりました。わたしも今日からちょっと食事の内容を見直してみます。 

 


            

健康の源である「気」は胃腸でつくられます

東洋医学では、健康に留意して生活をすることを「養生」といい、「気」を整えることを基本としています。
「気」とは生命活動を営むエネルギーで、西洋医学でいう免疫力(病気に対する抵抗力)にもあたります。
そのため、季節の移り変わりや環境の変化、不摂生、加齢などにより「気」が衰弱すると、抵抗力も弱まり、外部からの病因の侵入をはね返すことができずに病気になりやすくなります。
東洋医学では、「気」は日々の胃腸の働きによってつくられると考えます。
ですから、胃腸を健やかに保つことは健康を守る上で大変重要なのです。
生まれつき胃腸が弱い人だけでなく、加齢に伴い胃腸の働きが弱くなっている人も、胃腸の働きを高めることで「気」を蓄えましょう。
ストレスで胃腸の働きが低下している場合は、胃腸の働きを高めて「気」を補うだけでなく、生活習慣を見直し、「気・血・水」のバランスを整えることで、「気」の巡りを改善させることも大切です。

気・血・水って何?

五臓の役割

胃腸の働きが低下すると、胃もたれや消化不良、食欲不振、便秘、下痢など胃腸に直接関係する症状だけでなく、疲れや肩こり、かぜなどの不調となって全身に様々な症状が起こることがあります。
東洋医学では、「気・血・水」をうまく巡らせるために「肝」「心」「脾」「肺」「腎」という「五臓」が働いていると考えられています。
健康には、五臓の働きを穏やかに整えて「気」を十分に養うことが大切です。
五臓のそれぞれは、西洋医学でいうところの臓器の名称とは必ずしも一致しません。
「脾」は西洋医学でいう胃腸機能の他、消化吸収の働き全体を指します。
体質的に「脾」(胃腸)が弱い人もいますが、現代のストレス社会では、「肝」(自律神経)の乱れから「脾」の乱れを招くケースも少なくありません。
 また、「脾」は「腎」(老化)とも深く関係があります。

「肝」の乱れは年代によって現れ方が違う

「先天の気」と「後天の気」を養生する

「気」には、「先天の気」と「後天の気」の2種類があります。
前者は親から受け継ぎ、生まれながらもっているエネルギーで、心身の生理機能をつかさどる五臓の1つである「腎」に蓄えられます。
「腎」は老化との関係が深く、腎臓、膀胱などの泌尿器や内分泌にかかわります。
後者は「脾」(胃腸)と関係が深く※、日々補充するエネルギーで胃腸の働きによってつくられます。
「先天の気」は生まれた段階でほぼ総量が決まっており、加齢と共にすり減っていきます。
「後天の気」は暮らしの中で食養生などを通じて補充できるものですが、それをつくる胃腸の働きもまた、年齢と共に衰えていきます。
不摂生により「先天の気」を不必要にすり減らすことなく、養生を通じて胃腸の働きを高め、「後天の気」を蓄えていく。
これを日々の生活の中で実践していくことが大切です。

※「後天の気」は「肺」(呼吸)とも関係するが、通常は同じ空気を吸い込んでいるため、個人差がある胃腸の働きと比べ、呼吸器の病気がなければ「肺」による「後天の気」の優劣はみられにくい。

「先天の気」

「後天の気」

エネルギーボールを意識する

東洋医学に見る胃腸と老化

熱を発している 冷えて寒さに弱くなる

体格がよく 疲れにくい体 胃腸が強い 華奢な体格で 疲れやすい体 胃腸が弱い

東洋医学では、「老化」の状態を2つの流れで捉えています。
1つは、「陽から陰」への流れです。
古代中国では万物を「陰」と「陽」に分けて様々な現象を捉えてきました。
この陰陽論は医学にも用いられ、東洋医学では、新陳代謝が活発で、体が熱を発することができる状態を「陽」。
体の一部または全部の新陳代謝が低下し、体が冷えて寒さに弱くなる状態を「陰」と考えています。
もう1つは、「実から虚」への流れです。
「実」とは、体格がよく、積極的で疲れにくく、胃腸が強い状態のことをいい、一方「虚」は、華奢な体格や水太り、消極的で疲れやすく、胃腸が弱い状態のことを指しています。
歳をとるに従い、誰でも「陽から陰」、「実から虚」に向かっていくと考えられています。

「心身一如」の考え方