桃の花

桃の里広場


昨日日曜日は午前も晴れて暖かい陽射しの包まれる中で、野外太極拳の練習。

午後は武術班の練習活動でした。

午後の練習には、大学受験に合格した教え子が練習に復活して来ました。

武術の指導者として、こういった出来事はとても嬉しいものです。


現代の日本社会には物質的に恵まれ、レジャーも沢山あり、

面白可笑しく人生を過ごすことを重視する生き方もあれば、

私達のように芸道の道をひたすらに目指す生き方もあり多種多様です。


私自身は10代後半から20代前半だった1980~1990年代のバブルブームに日本が沸いた頃、

それらを敬遠し、武術の道だけを志す生き方を選ぶようになりました。

当然に、面白可笑しい生き方をする方々に接することも幾つかありましたが、

彼等や、その彼等が真似をした先代たちと一緒にいても何も満たされないことを感じたからでした。

それは、それまでの自分自身のプロセスで「苦労して辿り着いたもの」と「苦労なく安易に辿り着けたもの」との自尊心:プライドがそう思わせたのだと思います。

「精神や身体に充実感なく、時間を費やしても何も得られない」

むしろ、

「精神や身体に充実感を重要視して、時間を費やすことには何も厭わない」

そう、考えていました。

よく人からは、

「頭が堅い」「変わっている」もっとすごいのは「かわいそう」と言われたことがあります。

そういう度ごとに、「まぁ、いいさ。自分には自分の道がある」

そう自らを奮い立たせて今日まで来ました。


2011年から行ってきた「武術発展五ヵ年計画」を昨年でひと先ず区切りをつけて、

今年から新しい発展計画をスタートしました。

いつも、こうしたこともあって、私の最優先するのは、

この理不尽な現代日本社会の中でも、有意義な人生を武術活動で一緒に力を合わせて築いていこう。

そうずっと考えて来ました。

ふと、この1年間ぐらいは今までの活動がようやく成果も出始めて、

昨日の午後の武術班の練習活動では、

復活した教え子と、新しく加わったルーキーと発展計画を牽引した武術隊との練習の内容には、

とても大きな充実感を覚えました。

随分と時間はかかったけれど、自分が安徽省武術隊で学んだスタイル、

もう今は廃止統合されてしまった上海体育学院競技体校武術隊の融合体で、

私の学んだ伝統中国武術の功法(健身 修身 防身)を中国武術段位制套路の用法に取り込んだ現代日本人ライフスタイルの新しい武術隊を体育館の中に広がる活気に完成できた実感を思いました。


帰り際に、もう1人の教え子が「トランプの由来」を仲間たちに語っていました。

それは、

トランプの4種類は、スペード、ハート、ダイヤ、クラブがあり、

・スペードマークは、主に貴族を表しています。

このマークの形の由来は、騎士、貴族、貴族の剣、冬、風の星座(ふたご座・てんびん座・みずがめ座) からきています。

・ハートマークは、主に僧侶を表しています。

ハートマークの形の由来は、僧侶の教える魂、聖杯、愛、感情、春、水の星座(かに座・さそり座・うお座) からきています。


・ダイヤマークは、主に商人を表しています。

ダイヤマークの形の由来は、商人の貨幣、経済力、夏、地の星座(おうし座・おとめ座・山羊座) からきています。

ダイヤマークはわかりやすく、お金に関係することを表しています。


・クラブマークは、主に農民を表しています。

クラブマークの形の由来は、農民のこん棒、その先に飾ったクローバーの葉、勇気、仕事、努力、秋、火の星座(おひつじ座・しし座・いて座) からきています。


私は昔からトランプを使ったカード・ゲームが好きで今はコンピューター相手に行って相手からよく巻き上げています(笑)

カード・ゲームで脳を鍛える

彼の話を一緒にこういった由来を、聞きながら彼等の武術的成長だけでなく「知識:知性」を自分自身で高めていることに頼もしく感じました。


そして、その後にまたいつものようにラジウム鉱泉の中でゆっくりと至極の時間を過ごしている時に、

自分の中でひらめきました。

私という人間は単に「スペード」と「クラブ」重視の人間だということでした(笑)


しかしながら、それは平和に見えても殺伐とした、

この現代日本社会の環境は、私の少年時代とさほど変わっていなくて、

若き教え子たちが、武芸と知性を同時に自分から高めていく生き方を選んで進んでいることに、

とても感銘を受けました。

そして同時に、私より前で日本人が自身で長い期間をかけて中国大陸へ幾度と赴き本場の正統な中国武術スタイルを学び、武術道徳的な善意を意識して普及活動を展開した人はなく、

日本人が日本人意識で作った武術、太極拳を行っている商売スタイルが主流です。

むしろ私の感じたことでは、逆に何かと理由や難癖、謂れの無い非難や批判を浴びせてくる人達が多かったです。

直感で思ったことは、

そういう彼等はおそらく「ダイヤ」の世界にいる人間だということを感じました。

商人は自分達よりも、価値が上がるものや質の高いものを持つ存在を厭う意識を持つ傾向にあるので、

それは振り返れば仕方のないことで、それもまた人の世か、そんなことを感じました。


こうして長き時間が経って思うのは、

「何でも金で買えると考える」ダイヤ系思考が嫌いで、

やろうと思えば「自分の身ひとつで何でも生み出せる」クラブ系、そして常に自分の身や、

大事なものを守ろう、と考えるスペード系の両方の思考を意識する環境になっていったと思います。


中国武術界では、指導者は「教練」「総教練」と称しますが、

「教え・教えられ、相互に、練り・練られ」という意味で教練と言っています。


昨日はまさしく、ひらめくヒントを沢山、教え子たちから教えられました。

今年2016年、新たなる出発は始まったばかりです。

「治にいて乱を忘れず」

「知足常楽:満ち足りることを知っていれば、常に楽しみ有り」

この2つを大事に、未だ観ぬ将来をみんなで力を合わせて、

この不条理な世の中であっても楽しく頑張りたいと思います。