長拳


中国武術 長拳:Chang quan の沿革について



日本国内で好まれる呼称での「功夫:カンフー」を代表される拳種としての「長拳」は、伸びやかな姿勢で大きくスピードは速く動き、そして時には静かにリズムは滑らかで安定した技法を持つ中国武術の有名な一拳種です。

”長拳”の名は、中国王朝の「明清」の時代に多くの拳論の中にその存在を記されています。
その中で「戚継光」の著書に「紀効新書」があり、その中に「宋太祖三十二勢長拳」のことが記載されています。

そしてまた同時代の文献に「長拳兼短打」とあり、これは拳を「大きく長く打つ:長拳」の技法と「短く速く打つ:短打」の技法が特徴として相互に補い合える関係になっていたことを意味しています。

そこで文中には、”長拳変勢:長拳は勢いを変える” ”短打不変勢:短打は勢いを変えない ”とあり、ここで長距離には「長拳」を近くにおいては「短打」をという技能が確立しました。

中華民国、1937年技撃学会が著した書物に「国術大全」があります。この中には「長拳」という拳種が既に存在し、その影響を与えたと思われる伝統拳系列に「燕青拳」「二郎拳」「行拳」「六合拳」などと並列してあります。

1949年に中華人民共和国成立後、国家体育運動委員会は伝統武術専門家を全国から招き、調査と研究をしました。

そこから中国武術協会が発足し、伝統体育運動項目の全国普及に努めるために、「査拳」「華拳」「花拳」「紅拳」「砲拳」など伝統少林拳系拳種を総編し総合的な規範「拳術」としての「長拳」を策定しました。

そこで、この長拳において技術基礎として「四撃」「八法」「十二型」を技能標準としました。
ここでは「姿勢展:姿勢は大きく伸びやかに」「大開大合:全身を大きく開き、大きく合わせる」「翻転騰躍;翻がえり、転じ、飛び上がり、躍動する」という特徴を持つ武術拳種の総称としました。

そして「規定長拳」という概念が生まれ「甲組長拳」「乙組長拳」「初級長拳」などの「套路」が総編され、その水準に相応しく「刀術」「剣術」「棍術」「槍術」が出来ました。

この「規定武術」項目では、より多くの人々の心身が健全であるためにも青少年育成のために普及が成されました。

そして中国全土に広く普及され、そこからより発展のためにも「競技」が推奨され競技会とその出場選手が排出されるようになりました。

それから選手は「規定」よりも、より高い身体素質を向上できるようになり、その「高まった身体素質」をも評価していくために、「規定」に加えて「自選」武術項目をも設置されて行われるようになりました。

これを機会に長拳の技術要素が確定され、それは「拳」「掌」「勾」の基本手型に「弓歩」「馬歩」「僕歩」「歇歩」「虚歩」の基本歩型、そして跳躍技法は「騰空飛脚」「旋風脚」「騰空擺蓮脚」「旋子」などが加わり、片足で支えるバランス感覚能力を誇示する平衡動作「提膝平衡」「側身平衡」「燕式平衡」が取り入れられ、確定した「長拳」技能の模範訓練プログラムや評価方式が完成しました。

そして、この時勢において進化していく水準に合わせて「刀術」「剣術」「棍術」「槍術」の技能も向上し成熟するようになりました。

ここで「現代長拳」は、この産生スタイルが結晶し確定し、現代武術人たちの日々の自己発展性において技術体系は完成するようになりました。

既にこの体育項目でもある「長拳」は中国全土、世界各国に広まり、優れた武術教育活動として広まりました。